山吹ベースでベタなドラマっぽい家族もの。
 「伴田」「亜久津」「千石」「壇」と表札の4枚貼られた(うち3枚はボール紙にマジックで名前を書いただけの適当なもの)家が主な舞台。



登場人物

 亜久津仁
  主人公。スタントマン兼パチンコ屋のホール係。元ヤン。幼なじみの河村に、子どもの頃からひそかに思いを寄せている。
 河村隆
  亜久津の幼なじみ。寿司屋。先ごろ修行を終え、実家を継ぐために戻ってきた。親からは身を固めるよう言われている。
 壇太一
  亜久津の弟。兄を慕う純真な少年。中学生、あるいは小学生にさえ見えるが、実は……。
 千石清純
  亜久津の母親の違う弟。某黒いネコのマークのお届けもの会社社員。亜久津の働くパチンコ屋には出入禁止。
 不二周助
  河村の学生時代の友人。カメラマン。海外滞在の多い彼は、帰国のたびに必ず「かわむらすし」を訪れる。
 亜久津優紀
  亜久津の母親。お母さん、おばさんなどの呼称を嫌い、自分のことは優紀ちゃんと呼ばせたがる。
 伴田幹也
  亜久津の祖父。元中学校教師。老師の風格。

 南健太郎&東方雅美
  近所のコンビニで働く青年たち。南は千石のお気に入り。2人とも、亜久津が千石の兄だとは知らない。
 室町十次&錦織翼
  千石の会社の同僚。互いに自宅の行き来などもしている。
 新渡米稲吉&喜多一馬
  亜久津のパチンコ屋での同僚。寿司屋の常連。
 桃城武
  小学校教師。河村の学生時代の後輩。
 千歳千里
  亜久津のスタント仲間。かつて、袂を分かった親友、橘のことが今でも忘れられない。
 渡邊オサム
  Vシネ監督。亜久津をしばしば起用する。
 竜崎スミレ
  アクション女優。グラマー。
 石田銀
  近所にある寺の住職。河村と縁先に座ってお茶を飲み、天気の話などをする。
 石田鉄
  銀の弟で副住職。いつも境内を掃いている。



 しかし、何だかんだいじっても、亜久津とタカさんは幼なじみでアクタカで、不二とタカさんは同級生、桃とタカさんは先輩後輩ってところは崩せないのが私の限界です。
 亜久津と千石、亜久津と太一、亜久津と伴爺、あたりは、同級生から兄弟、先輩後輩から兄弟、生徒と先生から孫と祖父にシフトしても、あまり変わらないあたり、あれはフレキシブルな関係なのだな。
 亜久津のスタントマン、不二のカメラマンは、オフィシャルについても、こうなると良いなあ、とひそかに思っている将来像。
 亜久津のパチンコ屋店員は、すみません、コスプレ萌えです。何でかあの派手なベストに蝶ネクタイ、耳にインカム付けた姿に萌える……。自分がパチンコやらないせいかもしれません。
 コスプレ萌えといえば、コンビニ店員の地味s、お坊さんの石田兄弟もそうです。お坊さんは、ギリギリまで手塚とどっちにしようか迷いました。手塚だと袈裟だけど、石田兄弟なら作務衣だな、作務衣の方がより好きだ、で石田兄弟に。袈裟着てヘルメットかぶって原付で爆走する手塚も良いのですが。
 桃ちゃんは、年中ジャージで首からホイッスル下げてる学校の先生です。いつも自転車で町内を走り回っています。
 新渡米は亜久津に、もしかすると間違っているかもしれないんだけど説得力のある、あるいは、もしかすると正しいのかもしれないんだけど胡散臭い恋愛アドバイスを格言的にする係です。
 作中、一番かっこいい人設定なのが千歳。千歳橘の過去もち。
 亜久津も千歳も、スタントではバイクが主。私がライダースーツ萌えだからです。またコスプレかよ……と言われる前に自分で。でも、たまにVシネにヤクザで出演していたりもします。
 Vシネ監督がオサムちゃん。スミレちゃんは、還暦間近でなお、ノースタントのアクションができる武闘派女優です。オサムちゃん監督でシリーズも持ってます。
 家族は「ある」ものではなく、「なる」ものだ、というのがテーマ。



 第1話
 あらすじだけ作ってみました。

「ぼく、太一って言います」
 平穏な日常を送る元ヤンキー、亜久津の前に、突然、自分の息子だという少年が現れた。
 壇太一と名乗る彼は、先ごろ亡くなった母親に、自分にもしものことがあったら、亜久津を頼るように言われてきたらしい。
 身におぼえのない亜久津は狼狽えるが、周りの反応は冷ややか。
 せめて、片思いの幼なじみ、河村にだけは太一の存在を知られたくないと思うのだが、初孫に浮かれる優紀が太一を「かわむらすし」に連れて行き、あっさりバレる。
 ショックを受ける様子もない河村にショックを受ける亜久津。つい、太一にも辛くあたってしまったり。
 その後、色いろあって父子の絆が深まった頃、そういえば太一の学校はどうする、と伴田。
 近所の小学校か中学校に転入の手続きをしなければ、と話し合っているところで、太一の爆弾発言。
「あの、ぼく、18歳です」
 驚く一同。太一はどう見ても中学生、下手をすれば小学生にしか見えなかったのだ。
 年齢的に、自分の子では計算が合わないことに気づく亜久津。しかし、太一のことを思うと言えない。
 太一が18歳。冗談だろうと千石。本当ですと太一は健康保険証を見せた。確かに、その年齢。
「あら?」
 保険証に記された名前を見て、優紀が固まる。
「これ……」
 伴田が横からのぞいてひと言。
「ああ、君のご主人じゃないですか」
 太一は、亜久津の息子ではなく、優紀の息子だった。
 太一の母親は、実は女装した父親で、優紀の元夫だった。彼の言っていた亜久津は、仁ではなく優紀だったのだ。
 自分の子に気づかなかったのかよ、と怒る亜久津。太一が、年齢に比してあまりにも幼く見えたため、夫が連れていった息子だとは分からなかった、と項垂れる優紀。
 戸惑う太一。親だったら、ひと目見た瞬間に自分のことを分かるだろうに。落胆する彼に、仕方ないよ、と千石。
 そこへ出前を届けに河村が現れる。必死で誤解を解こうとする亜久津に、河村は、最初から気づいていたと言う。
 彼は、昔、この家に遊びにきたとき、太一がいたことを覚えていた。亜久津は、よく太一の面倒をみていた。優紀も然り。
「どうしてそれをすぐに言わねえんだ」
「いや……何か事情があって内緒にしてるのかな、と思って」
 必死になっていた当事者だから、かえって覚えていないこともある。
 これからだね、と笑う千石に、はいです、と太一が答えて終幕。



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