小説『蝶が、石の花に変わる森の、5人と1人』について

イリヤ・ミハイロヴィッチ・モロゾフ
イリヤ・ミハイロヴィッチ・モロゾフ(?〜1942)

あえて言おう。カスであると。

この一言が、この小説の評価のすべてである。多分。

これをベースに漫画を描きたいので、ストーリーについては、この文章では、あまり触れないことにするが、ストーリー自体、矛盾や間違いが多すぎて、ストーリーそのものを語る事自体が、そもそも難しいという、本当にスゴい小説だ。

だいたいのあらすじは、魔族の住む森に住む、魔女5人姉妹のもとにひきとられた少し気弱な少年が、5人姉妹とともに魔族を狩るハンターと戦うといった話で、漫画でいう正邪逆転ファンタジーみたいな雰囲気に近い。

この魔族というのが、どうにも陰気で陰険で、ひねくれた、どうしょうもない奴らなんであるが、この魔族を狩るハンターどもも、自分勝手な正義感に酔った、サディストの変態どもで、とにかく、主人公の少年は、魔族を守るためにこの、サディストの変態、魔族ハンターと戦うはめになる。

読んでて、なんとなく分かるでしょ。この主人公の苦しみが。

ハリウッド映画とか、アニメとかのヒーロー物って、だいたいが、ヒーローが守る対象が、子供だとか、可愛い女の子とか(大風呂敷広げたものでは、人類全体)、つまりは、「守るだけの甲斐がある」ものじゃない。 だけど、この魔族ってのは、見た目も中身も、マジで最悪。主人公が気の毒になってくる。

多分これも、風刺かなんかの可能性が高い。かなり近い解釈とだと勝手に自分で思っているのは、魔族 = スターリン政府  魔族ハンター = 反共勢力 みたいなもんだろうか。国民を平気で餓死させたり、処刑したりするスターリン政府と、ボルシェヴィズム打倒とか言って、ロシアになだれ込んできたナチスドイツの軍隊、それで、その最悪のスターリン政府を守るために、戦わされる末端の赤軍兵士、敵も最悪のナチ野郎、味方も最悪の粛清の鬼スターリン、・・・・・・みたいな想像が膨らむけど、モロゾフの詩同様、例によって、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・結局、よく分かりません。

風刺って、本当にむずかしいよね。誰にでも分かるように表現したら、「そんなまわりくどい言い方やめて、はっきり言えば?」というように、風刺の味が無くなってしまう。で、ぱっと読んだ感じ、分からないように書いたら、今度は、何を風刺したのか分からなくなってしまう。風刺というジャンルは、簡単に手が出せるものではないのかもしれない。

何でこの小説のカスなのか、って言えば、ありえない間違い矛盾、作者のご都合主義で勝手に書き換えられる、ストーリー展開である。

例えば、洞窟の中で雨が降ってくる。それは、そういう洞窟なのかと言えば、そんなことはなく、作者が、登場人物が洞窟にいたことを忘れていただけなのだ。それで、作者は、

・・・・雨が降ってきたようであったが、実は、雨なんか、降ってはいなかった。

という一文で、雨が降ってこなかったことにしてしまう。すごいでしょ。作者のこの感性。

爆笑してしまったのが、「ピョートルの身の上話」だ。これはすごい。すごすぎる。

登場人物のひとり、マーシャが、身の上話をするのだが、なんと、話が終わるころには、マーシャが語っていたのが、いつの間にかピョートルが語っていたことになっているのだ。勿論、作者が忘れていたのである。それで、モロゾフは、

・・・それはピョートルじゃなかった。マーシャだった。この二人は、本当によく似ているから、間違われることが多い。

と、勝手にマーシャとピョートルが似ていることにして、その場を切り抜けた・・・・はずだったが、切り抜けられなかった。

なぜか?マーシャは、実はもう、ハンターにやられて、死んでいたのだ。そう、作者モロゾフは、マーシャが死んでいたのを忘れていたのだった! それで、マーシャが死んでいたことを思い出したモロゾフは、

・・・・・実は、それはマーシャではなく、やはり、ピョートルだった。間違いない。ピョートルだ!

と、強引にピョートルにしてしまった。結局、語り手は、マーシャ → ピョートル → マーシャ → ピョートル、とめまぐるしく変化して、最後はピョートルに落ち着いた。

これも何かの風刺なんだろうか。・・・・というのは、そのピョートル(マーシャじゃないよ)の身の上話が、なんか、村人が協力して、悪い領主をやっつけるとかいう、ちょっとロシア革命を思わせるような話なんである。

スターリンの死後の評価が、フルシチョフ政府とブレジネフ政府でコロコロ変わったように、共産国家では、英雄だったのが悪人に、悪人だったのが英雄にとコロコロ変わるなんてしょっちゅうある。スターリンのほかには、例えばトハチェフスキーとか。

それどころか、いたはずの人間が、「はじめからいなかった人間」になってしまうなんてゾッとしない話もある。北朝鮮も、工作員金賢姫の存在そのものを否定している。

それで、そういったコロコロ変わるソ連政府の、矛盾とかご都合主義を皮肉って書いたのか、と言えば、単に忘れていただけのような気もしてくる。はい、お約束の、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・結局、よく分かりません。

小説の後半は、矛盾間違いのアリ地獄である。 だってねえ、登場人物の生死を忘れている人が書いてるんだから、他の設定も忘れてるに決まってるじゃない。図解すると、

[矛盾] → [勝手な設定を加えてカバー] → [その設定も忘れて矛盾]  → [さらに勝手な設定を加えてカバー] → [その設定も忘れて矛盾]  → (以下、アリ地獄)

になるのである。名づけて「アリ地獄小説」とでも読んだらいいのだろうか。

別に「週間少年ジャンプ」で連載してんじゃなんだからさ、間違いがあったら、戻って直せばいいのに、直さないんだよ。この人。そういう信念があるのかどうかは、分からないけど。

モロゾフは、どういう意図があって、こんな、わけのわからない小説を発表したんだろうか。はい、お約束の、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・結局、よく分かりません。

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル