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●2009年2月
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ひんどりん、ひんどりん。 |
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呼ばれ慣れない呼び方をするあなたはいちとせさん。 何の御用ですか？ |
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明日、暇げしゅか？ |
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死ねぇ！！ |
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あれぇ！？暇かどうか訊いただけでなんでやねん！？ |
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あなた、明日が何の日かご存知でしょう！？2月14日！ |
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”にいよ”の日。 |
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なんだそのにいよって！？ |
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お、御嶽山出身の妖怪で…。 |
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妖怪に記念日は要りません。そう言う訳で決戦当日なので。 |
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だから頼みに来たんじゃないげしゅるかぁ！ |
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なんですかもうワケ解らない！ |
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うんとね、うんとね…。 |
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はぁ…とおかさんにチョコ贈りたい！ってのは良いですけど、 肝心のチョコを前日になっても用意してないだなんて。 |
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てひひぃ。げしゅは伝説に残る渡し方を伝授して欲しいだけげしゅよ？ |
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そんなコト言っても、ないものは渡せないでしょう。 |
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あれぇ？ひどりーん、知らないんげしゅか？現代日本には全国津々浦々 コンビニエンススストアという便利なお店が…。 |
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喝ーっっ！！ |
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ひゃあぁあ！？ |
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良いコト！？いちとせさん、ヴァレンタインのチョコは渡し方だけではないの！ 心こもったチョッコレィト、ソレを準備する時点から勝負は始まってるの！ |
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い、イエッ、サー！ |
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さらに言えば相手に思いを募らせつつ一年のこの日この時を待ち望む、 その気持ちがあってこそのヴァレンタイン！つまり一年中が勝負！ |
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ひどりん、募った思いをいっつも吐き出し続けてるげしゅのに…。 |
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シャラッップ！ |
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。 |
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なんか言え！ |
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自分で黙れって。 |
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そういうわけですので、手作りです。今向かっている店で原材料を買ったら、 いちとせさん家でレッツメイキング、ですからね！ |
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家っさー！ |
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あと、スが多い。 |
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……あ、ありがとう…！ |
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あら、あなたたたち、前日に準備なんて切羽詰ってるわね。 |
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たが多いですとつきさん。 |
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自分だって今この店にいるくせに。 |
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あら、見くびらないで欲しいわねいちとせ嬢。私はこよみ先輩へ贈るチョコを 買い求めにココに立っている訳じゃないわよ。 |
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え、じゃあなんですか？ |
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バイトよ！ |
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ゲーッ！ |
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あら、何よゲーッて。女子高生が健全にお金稼いでるのがおかしい？ |
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女子高生！？ゲーッ！ |
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普通じゃない人が普通な事するとこんなに普通じゃないなんて…。 |
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この季節だけの短期バイトがあったから、ちょうどお金が要り様だったし。 |
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あら、何を買われるんですか？ |
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チョコ。 |
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まだなんじゃねえか！ |
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ほほほ、やっぱり働いて貯めたお金で贈るモノのほうが心がこもると思って。 |
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…なんか、今日は妙に常識的な発言が多くて、逆に気味悪いですね…。 |
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…でも勉強になりましゅー。メモメモ。 |
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人のおでこにメモ取らないで下さい。 |
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まぁ、今日は客と店員の関係だから、いらっしゃ〜いだわさ。 どれでもお好きなものお買い上げくださいな。ただし。 |
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ただし？ |
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もう直前でろくなもの残ってないけど。 |
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ダメジャン！ |
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てかあんたもダメジャン！ |
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ソウジャン！買えないジャン！ |
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はぁ…コンビニで板チョコ買って溶かすとしますか…。 |
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わーい、コンビニ、わーい。 |
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好きなの？ |
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あ、そういえばさっきまでとつき来てたのに。タイミング悪いわね貴方達。 |
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あら、そうだったんですか？ |
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姉の勤労ぶりを心配して？ |
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言うわね、緑髪。いつまでも緑だと思うなよ。 |
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ひ、ひぃぃ！ |
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ま、貴方達もがんばりなさいな。ひやかしは帰った帰った。 |
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あ、あっちのコーナー、結構残ってましゅよ。 |
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え、どれどれ？ |
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ゲテモノチョココーナー。 |
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そういうのはね、嫌いな相手にあげるの。 |
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はい、湯せんで溶けましたかー？ |
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おぉぉ…我輩の心のクランキーチョコが…こんな姿に…。 |
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ちょ、なんでクランキー！？グロっ、見た目グロっ！ |
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一粒一粒が、いちとせの愛。 |
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グロい愛ね。良いです、もう。じゃ型に流し込んでー。 |
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でろでろでろー。 |
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冷やします。 |
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そんでそんで！？ |
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終わり。 |
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がくー！全然手作りっぽくないげしゅけど！？ |
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何をおっしゃいます、チョコの型を一から金型成型したくせに。 |
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お金かかりましゅね金型って。 |
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ともかくコレで贈るべきものは完成。あとは渡すことだけを考えて。 |
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そ、そんな、とおかりゅん…！心の準備が…ひぎぃっ。 |
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渡した後のことまで考えなくて良いです。 |
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おはよーグルトー。とおかりゅんっ。 |
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おーす、いちとせ。登校中に逢うのも久しぶりな。 |
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あ、そうそう、コレ。はい。 |
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何？チョコ？ |
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ヴァレンタインだし、とおかにゅんにはいつもお世話になってるから。 |
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め、珍しいないちとせにしては。あ、じゃあこっちからも、はい。 |
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……え？ |
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チョコ。なんか今年はお姉がチョコ売り場でバイトしててさ。 て、偵察に行ったついでに、買ってみたんだけど…。 |
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…あ、そういえば昨日、とおかみゅんも来たって、とつき姉が…。 |
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…いらなかった？いちとせ、甘いモノダメだっけ？ |
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う、ううん！嬉しいげしゅ！大切に飲み込みましゅ！ |
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噛むか溶かすかしてくれ！ |
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…というわけで、全部ひどりんのおかげでしゅ！さんくすふぉーえばー！ |
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…私、伝説の樹の下で渡しなさい、って伝授しませんでしたっけ？ |
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無視しました。 |
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とんだピエロだよ！はぁ…もっとも、良かったのかも知れませんね。 私、ずっと樹の下で待ってたのにつきひさん来てくれなくて…。 |
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そりゃそうげしゅよ。 |
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？？ |
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首を吊った生徒の霊がカップルをとり殺すなんて伝説のある樹じゃ。 |
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ぶっそうな樹が植わってるな我が校！ |
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…で、でね？はい、コレ。 |
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なんですか？私に？ |
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うん、お世話になったから。とってもとっても、ありがとう♪ |
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…あ、あの、いえ、こちらこそ…？ |
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さーて、つきひんにもあげてこようーっと。 |
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……はぁ、もう。いちとせさんに、小手先なんて要らないんじゃないかしら。 |
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…おっす、つきひ、陽鳥…。昨日いちとせから、貰った…？ |
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……あぁ…。 |
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なんか、粒々がグロいチョコで…。 |
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私、柿の種チョコ…。 |
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私なんか、さきいかチョコ…。 えっと、私、ゲテモノチョコは誰にあげるって言いましたっけ…？ |
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