●2008年9月
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たあぁまやあぁ! | |
あっ、つきひ!またあっちで光ったわよ! | |
かぁぎやあぁ! | |
……荒れ狂う豪雨を眺めつつ、何を大声張り上げてるかなご両人。 | |
秋の長雨と申しますけど、学校もお休みになる豪雨がコレだけ続くと さすがに屋根の下の一人遊びも退屈になってきまして。 |
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で、窓から雷を探しつつ、何回光るか数えてたわけよ。 | |
なんで数えるのに花火の掛け声が必要なの? | |
だってー、つまんないんだもん、持ってるゲームも一通りやっちゃったし。 | |
雷でネット障害が起きて、インターネットも使えないそうよ。 | |
まぁ、たまにはそれくらいのほうがつきひ姉には良い休暇かな。 | |
二人ともー、人生ゲームでもやろうぜー。 | |
やっぱりゲームかよ! | |
…っと、電話だわ。電話回線は生きてるのねー。はいはいー。 | |
電話出る前に「はいはい」って、オバサンくさいよな…。 | |
何かおっしゃいました…? | |
ひぃっ!?もう戻って…!?なな何にもおっしゃってませんことよ? | |
ったく…また教育が必要かしら…。かれん、あなたによ。はい子機。 | |
??わたし?…もしもし。 | |
…助けてぇ…。 | |
!!? ちょ、その声、みそかちゃん!?どうしたの!? | |
かれんさん…お願い…私…。助け ---ブツッ--- | |
あら…停電… | |
ガラガラガラガラッ! | |
っきゃああぁっ! | |
あら、可愛い声。つきひ、あなた雷平気じゃなかった?さっきまで。 もしかして暗いのが駄目とか? |
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っっつ、ついだよ!急に暗くなって急に光ったから相乗効果で驚いて… かれん?どうした?電話、なんだった? |
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…大変…。 | |
はい? | |
みそかちゃんが、みそかちゃんが大変みたいなの! ねぇどうしよう!?私どうしよう!? |
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お、落ち着いて。みそかちゃんに何かあったのね? | |
助けてって、助けてって何度も…! | |
電話は途中で切れちゃったんだよな…くそ、安否を知る術もないか…。 | |
私、みそかちゃんの家まで行ってくる! | |
ちょ、待ちなさいかれん!この雨の中無茶よ! | |
でも、でも行かないと…! | |
ピンポーン… | |
あぁもう、こんな時に誰だよ! | |
せめてちゃんと防水対策してから、でないと雨で体冷やして…。 | |
そんな暇ないの!早く行かないと、みそかちゃんが…! | |
…あのー。 | |
何!?こんな時に! | |
みそかちゃんの使いの者が、車で迎えに来てくれてますが…。 | |
は? | |
おじゃましまー…。 | |
わぁ、やっぱり広いわねみそか邸…。尋常じゃないわよ…。 | |
そのだだっ広い邸宅が、丸ごと停電で薄暗いというのもまた、格別な味わいで…。 | |
みそかちゃーん! | |
まっ、待て!かれん! | |
待てない!急がないと! | |
あなた、迷わずにみそかちゃんの部屋まで辿り着けるの!? | |
辿り着けない! | |
だめじゃん! | |
ほら、落ち着いて、非常時だからこそね?…運転手さんも使用人さんも 見当たらないし、自分たちで探すしかないかな…? |
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こういうとき、ラスボスは最深部と決まってるんだが。 | |
みそかちゃんはラスボスじゃないわよ。 | |
見て二人とも!こんなところに秘密の地下室への入り口が!ここじゃない!? | |
間違いなくソコではないから安心しなさいかれん。 | |
…金持ちの邸宅の秘密の地下室って…淫靡なイメージしか沸かないな…。 | |
手分けして探しましょうか?最初に見つけた人が連絡。 みんな、ケータイ持ってる? |
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持ってない! | |
持ってない! | |
あら奇遇、私も忘れてきたのよ。 | |
ならそんな提案するな! | |
いや、手分けしよう!連絡取れなくてもいいから、誰かがいち早く見つけて みそかちゃんのそばに行ってあげないと! |
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…それもそうだな、非常時だしな。 | |
じゃ、お互い別方向を探しましょう!各自、散開! | |
私はこの地下室を…。 | |
つきひは向こう、お願いね? | |
いやあぁっ、もう、もういやぁ!やめてください!やめてぇ! | |
みそかちゃん! | |
…か、かれんちゃん…? | |
みそかちゃん…!良かった…大丈夫? | |
うん、うん!大丈夫!来てくれたんだね…ありがとう…! 途中で電話切れちゃったから、伝わらなかったかと思ってた…! |
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何があったの?怖い目に遭わされた? | |
うん…あの…きゃああぁぁぁあ! | |
えっ、何!?誰かいるの!?出てきなさ… | |
…また、光ったぁ…。 | |
…はい? | |
かみなりが、ピカッて、ピカッてなって…やあぁぁん、遅れて音があぁ! | |
………。 | |
かれんちゃあぁん…。うぅ、ぐす…。 | |
はいはい…あぁもう…。ま、無事で良かった。 | |
ごめんね、わざわざ…あ、電気、ついた。 | |
ふぅ…さて、じゃ次は家のダメ姉二人を探しに行きますか。 | |
え、行っちゃうの…? | |
一緒に行こうか、みそかちゃん。 | |
…う、うん! | |
あら、これまた美味しそうな…。一口だけ、ぺろっ。 さすが金持ちの厨房は品揃えが段違いねぇー。 |
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こ、これ、未発表の続編!?みそかちゃんとこで作ってるゲームのサンプルが この部屋に集まってるのか…!うおぉっ、コレは幻のゴールドカートリッ… |
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……などと言った映像が、監視カメラに収められておりました。 | |
ば、ばかなっ!?当時、屋敷は停電で…! | |
停電だからこそ、非常電源は全て防犯関連に使われる仕組みなんです。 | |
ち、違うのよ!?本当に探してたら迷い込んだだけで、 歩いてたら顔の高さに食材がたまたま…。 |
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反省しなさい。 | |
ハイ。 | |
ゴメンね、せっかくの防犯カメラなのにこんなおバカな姿ばっかり映させちゃって。 | |
いえいえ、設置していて良かったです。 | |
証拠に使う気だ! | |
訴訟沙汰だけは、なにとぞご勘弁を! | |
い、いやいやいや、そんなつもりは…。 | |
?? | |
(…必死に私のことを探してくれてるかれんちゃんの姿、とても凛々しかったです♪) |
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