●2007年5月
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| はぁ…。 | |
| お医者様でも、草津の湯でも治せない。 | |
| えぇえ!?い、いちとせが!?マジか!? | |
| まぁ、つきひさんったら失礼な。 女の子は誰だって恋心の種を小さな胸に秘めてるんですよ。 |
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| 同性に植え付ける種は九分九厘持ち合わせてないと思う。 | |
| ね、とおかさん。とおかさんはいちとせさんと付き合い長いし、 分かってあげられますよね? |
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| そりゃね、いつものことだし。 | |
| あらま、実は恋多き乙女だったなんて、さすがの陽鳥も意外。 | |
| いや、こいつさ…。 | |
| 五月病げしゅる〜…。 | |
| うゎ、オチ言っちゃった。この後どうやって漫才繋げれば…!? | |
| 何ですか、オチとか漫才とか。 でもいつも無謀に元気ないちとせさんが、やはり意外ですけど。 |
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| にんともかんとも、ゴールデンウィークじゃないでしゅか。 そいでして、憂鬱でありまして。 |
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| ?? なんで?神社的に一大事でもあるの? | |
| 盆でも正月でもないんだから、仕事は増えないと思いますが。 | |
| 神社的というか、家族的な問題で…。 | |
| え!?いちとせ、家族いたの!? | |
| ひとりで神社切り盛りしてると思ってたんですか!? | |
| …まぁ、血縁はおじいさんひとりだし、あまり……なヒトだから、 大半は切り盛りしていると言っても過言じゃないけど。 |
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| ぷしゅ〜…。 | |
| …実は苦労人なのか…? | |
| 見習いましょうね、つきひさん。 | |
| いや、私も苦労してるよ!?ダメ姉妹とか、ダメ級長とか。 | |
| 級長はともかく、姉妹的に一番ダメなのはつきひさんかと。 | |
| …自分を殺してまで、客観的な視点を…。 | |
| ………ちょっと凹んだ…。 | |
| はぁ〜。はぁ〜。はあぁ〜…。 | |
| はいはい、わざとらしい溜息で気を引かないで良いから。 聞いてあげますよ、私は知ってるけど。 |
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| あのげしゅね、田舎に帰るんげしゅ、この時期、毎年。 ばあさまが待ってるので。 |
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| あら、素敵じゃないですか。何が溜息なんですか? | |
| ウチのばさまも巫女で。 | |
| お、血統なのか。 | |
| 全日本巫女教育委員会名誉会長で。 | |
| お、そんな会あるのか。 | |
| 私立巫女養育専門学校通称「巫女の門」教育理事長で。 | |
| ……そんな学校あるのか…。 | |
| 入学者の8割は一週間で泣いて逃げ出すというスパルタ校で。 | |
| ………そんな話、現実にあるのか…。 | |
| そこでGWの間、再教育を受けるハメに…。 | |
| …そっか、頑張れよ…。 | |
| 連休明けに、笑顔で逢いましょう♪ | |
| わんぱくでもいい、逞しく育って欲しい。 | |
| みんな助ける気ゼロげしゅか!? | |
| いや、だって、家族の問題に部外者が…ねえ? | |
| 巫女の血筋なんて、一滴も流れてなんか…ねえ? | |
| てか毎年のことなんだから、いい加減覚悟決めろよ。 | |
| やーげしゅの!アレだけは何度やっても慣れないんですにょ! | |
| …いったい、どんなコトやるの…? | |
| 焼けた鉄板の上でブレイクダンスとか。 | |
| どこの世紀末だよ!? | |
| 人を三人殺したウシと格闘とか。 | |
| 世紀末だけど現代だよ!? | |
| …それ、誰も解りません。 | |
| とにかく想像を絶する過酷さで、想像できましぇん…。 | |
| 現実に受けてるんだろ。 | |
| …毎年、愚考では及びも付かない地獄を作って待ってるげしゅ…。 | |
| …そんな学校、卒業できる人間はいるのか? | |
| げしゅ以外にもほんの一握りいるげしゅが、大抵は裏の世界で 政財界とか暗躍しているので表には姿を見せないげしゅ。 |
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| …巫女の存在の認識を改める必要がありそうです。 | |
| まぁソレはウソげしゅっけど。 | |
| 信じちゃったよ!流れ的にあり得そうで信じちゃったよ! | |
| こら、いちとせ、おでこ出しなさい。めっ。 | |
| 当て身投げ! | |
| ぐあっ!デコピンを当て身投げされた! | |
| コレが修行をモノにした巫女の力げしゅふ。 | |
| …恐ろしい…コレが、巫女の…。 | |
| なんか、こんなのウチの姉もやってた気がするぞ…。 | |
| 分かりました。同情はしますけど…実際のトコロ、 私たちに出来るコトってあるんですか? |
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| 出来るなら助けてやりたいけど。 | |
| ……応援して。 | |
| え? | |
| 励まして!ガンバレって、負けるなって、応援して! そうすれば、修行中もみんなの顔を思い出して、乗り切れると思う…。 |
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| ……いちとせ…。 | |
| いちとせさん…。 | |
| ………いちとせ…………ぁぁあ甘えるなぁ!! | |
| 当て身投げ! | |
| ぎゃん! | |
| …今のは、つきひさんが悪いと思う。 | |
| 使いどころ間違ってたよな。 | |
| 頸椎の捻挫と引き替えに得た冷視線…割にあわん…。 | |
| ふぁあ…おはよぉ…。 | |
| おはようございます、つきひさん、連休はどうでした? | |
| ほんの数日じゃ全然足りないよ…。全ボス永パ見つけるつもりだったのに…。 | |
| 良く分かりませんがそれはスコアラ的にありうべからざる姿だと思います。 | |
| おーっす、いちとせ来た? | |
| よ、とおか。そういえば、今朝はまだ…。 | |
| …満足に励まして送り出せませんでしたからね…。心身共に衰弱してるのかも。 | |
| あのいちとせが?そんな……こと、あるかもな…随分な様子だったし。 | |
| いやいや、大丈夫でしょう。言ったろ、毎年って。 | |
| ぐにゃーん!!いちとせたまの登場なのだー!! | |
| ぎゃああっぁっ!す、スカート…!!中…!ぱんつぱんつ!! | |
| いちとせさん!なんで床から突如生えてくるんですか! つきひさんのスカートの中から離れなさい!! |
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| …身近に見たことあるよなワザだこと…。 | |
| おりょー?ココはどこぞよ? 美味しそうないちごがたくさん目の前に浮かんでおる…。 |
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| そんなワケないだろ!今日はブルーのストライプ…。あ。 | |
| こんな誘導尋問に引っかかるとは、まだまだよの。 | |
| ……ブルーのストライプ…。ハァ…。 | |
| …鼻血吹いて卒倒してしまった。 ま、よ、いちとせ。元気そうで。 |
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| うにゅにゅー。不肖いちとせ、恥ずかしながら帰って参りました! | |
| またヘンなワザ身につけたみたいだけど…。 とりあえず生きてたんだな。耐えられて何より。 |
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| 無問題げしゅよぅ。何があったって耐えられましゅろ。 だって、みんな待ってくれてるし、それに…。ちら。 |
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| あぁもう、今?はいはい…。なでなで。 | |
| ぐふふ、とおかきゅんが頭撫でてくれるって約束してくれたから。 いちとせは、この瞬間の為なら生身でドロップすら撃墜しますぞ! |
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| なでなで。 | |
| はきゅ〜ん…。ごろごろ。 | |
| ……意外と、同性に植え付ける恋心は、みんな持ってるかも知れない。 | |
| そうですよ、つきひさん、実はつきひさんの心の底にも…。 | |
| 心の底まですくい上げるつもりは、ない。 | |
| なでなで。 | |
| ごろごろ。 | |
| ただいまー……ねぇ、お姉。 | |
| ん、何?とおか。 | |
| 私立巫女養成学校って、知ってる? | |
| 違うわよ、私立巫女養育専門学校でしょう。 | |
| …まさか、本当に…? | |
| ドーマンセーマンって、なんかエロイ響きよね。 | |
| それ陰陽師だから。 |
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