●2006年4月
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| かれんのバカぁ! | |
| え?あれ!?なんで? 今月は私が罵倒されてスタートなの!? |
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| …ちょっと感じた? | |
| 私、そういう人種じゃないから。 | |
| でも、確かに今のかれんの発言は 姉に対する配慮が欠けていると言わざるを得ないわね。 |
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| えー?なんでぇ?そんなに常識外れでしたかー? | |
| いや、常識はおいといて、我々の事情を察していないと言うか。 | |
| …あ、そだね。ごめんなさい。 | |
| 全く…「花見の場所取り係をジャンケンで決めよう」だなんて…。 夜中じゅう公園の桜の下でくだを巻いてるわけでしょ? |
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| …そんなの…そんなの、奴らの格好の餌食じゃない…。 | |
| うぅ〜、でも、そしたら問答無用で私が場所取りなのー? なんか腑に落ちないなぁ。 |
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| アレよ、みそかちゃんの家お金持ちだし、人を雇って貰って…。 | |
| や。そんなのイヤ。 | |
| かれんならそう言うわよねぇ…。真っ直ぐなんだから。 | |
| …お、でも人を使うというのはいいぞ。 | |
| 思いついたのつきひちゃん? | |
| 要はだ、さっきの、我々が場所取りできない理由を 逆手に取れば…。 |
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| ……なるほどなるほど、おぬしも悪よのう…。 | |
| …わぁ、友達想いな姉たちだなぁ。 | |
| うぅ〜…。もう4月だというのに、夜は冷えますね…。 でも、今はガマンガマン。 |
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| ”陽鳥…さぁ、今夜、公園で会えないかな…? 一番立派な桜の下にゴザ敷いて待っててくれない?” |
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| あぁ…もう、つきひさんからこんなお電話頂けるなんて…!! 思わず録音してもう65536回くらい聞いちゃいました…。 あ、少し濡れて…。 |
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| あら、あんた。 | |
| とつきさん。奇遇ですね。私、いますっごく機嫌良いから なんでも許しちゃいますよ♪ |
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| …なんで私が貴方に許しを請うような事態に遭遇しなきゃ ならないの。走ってぶつかってアイスでもべっとり付けようか? |
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| どうぞ♪ | |
| うゎあ!気色悪い!この私を怖じ気づかせるとは! | |
| こんな夜中に公園ですか。いくら回りが花見の場所取りだらけで 人はいると言っても、少々危険ですよ。 |
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| その言葉、そっくり返すわよ。むしろ貴方の方が私より 自衛能力に乏しいと思うけれど。…あなたも場所取り? |
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| いえ、違います♪ | |
| そんだけ堂々とゴザ敷いて違うと言われても、ねぇ。 …で、なんでそのゴザの上にさらに布団が敷いてあるの。枕2つで。 |
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| 愛の巣です♪ | |
| ……ふぅん、ははぁ、なんか大体分かったわ。 何時間待たされるか分からないけど、せいぜい頑張りなさいな。 |
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| そういうとつきさんはこんな夜更けに何故公園なんかに? | |
| んふふ〜、教えない〜♪ | |
| 小脇に抱えたゴザと布団と枕2つが気になるんですけど。 | |
| えっと〜、一番立派な桜はどれかしらねー。 ……あら、陽鳥ちゃん、あなた、その桜。 |
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| えへへ〜、これが一番立派な木だと思って。 | |
| どきゃがれ。 | |
| 酷い!場所取りは早い者勝ちですよ!マナーも知らないんですか!? | |
| やっぱり場所取りなのかよ。 | |
| 違いますけど、ゴザを敷く約束なんです!ココをどくわけにはいきません! | |
| こっちだって、立派な桜の木の下で、っていう約束なの! 悪いけど、愛の前には他の何もかもが無力よ! |
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| まったく、同意見ですね!私の愛の力、拳に乗せましょうか!? | |
| …………… | |
| 陽鳥ー、ひどり、どこだろう…。立派な桜って言っても、 どれも似たり寄ったりだしなぁ。 |
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| もうちょっと公園の奥に向かった方が、よく咲いてるみたいじゃない? | |
| はぁ、結局夜のうちに様子を見に来るんだからなぁ。 朝の花見の時刻まで待たせるつもりじゃなかったの? |
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| いや…ちょっと心配になって。 | |
| なんだかんだで友達想いなんだねー。 | |
| ていうかさ、陽鳥だけじゃ心許ないからって…。 | |
| とつきにも同じ連絡を、私がしたわけじゃない。 2人で場所取りすれば確実だろうと思って。 |
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| うん、そうだね。 | |
| ……それって、逆に、2人が衝突したりすると思わない? | |
| …あ。 | |
| 一番立派な桜の木の下の土地所有権は私のモンだぁ! | |
| とかお互いに叫び合ったりしてさ。 | |
| いや、いま実際に聞こえましたよ!?副音声で! | |
| しまった、予想通りか♪ | |
| 楽しそうだし! | |
| 実際は、そんな愉快な現場を目撃したくて寒い中出向いたのよねー♪ | |
| ちょっとでも友達想いだと感心した自分が愚かだったよ! | |
| あ、あそこだお姉ちゃん!もの凄いオーラを感じる! | |
| おぉ!空気が歪んでますよ! | |
| …あぁ、もう…。花見会場が滅茶苦茶になっちゃうの…? | |
| じゃーん、けーん! | |
| ジャンケンかよ! | |
| あっちむいて! | |
| あっちむいてほいかよ! | |
| …あら? | |
| とつきさんも聞こえました?今、つきひさんの声が…。 | |
| いや、私に聞こえたのはこよみ先輩の声だけどね。 | |
| …むぐ。 | |
| いかんいかん…ココで見つかったらせっかくの見世物がパァだ。 | |
| …なんて姉共だよ…。こんなベンチの下に入り込んでまで。 | |
| あーっち、むい…て…。はぁ、はぁ。 な、なんでアンタとっとと負けないのよ…。 |
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| そっちこそ…。もう何百回繰り返したんでしょうか…。 か、確率計算的にありえないです…。 |
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| 要は、ソレだけ…。 | |
| お互いの愛が大きい、と言うことですね。 | |
| な、なんだか戦いの果てに友情が芽生えてますよ。 | |
| …そ、想像以上に面白いわね、あのコ達…。 | |
| 笑ってる場合じゃないでしょうに。あの2人が心から結託したら、 その連携にお姉ちゃん達は耐える自信があるの? |
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| ないな。 | |
| ないわね。 | |
| どうするの。 | |
| ど、どうしよう…。 | |
| どうしましょう…!? | |
| と、とりあえずベンチの下に3人は狭すぎるから、もう出よ…。 | |
| うに?お三方、なにしてるげしゅのか? | |
| わぁあ! | |
| あ、あの声は!? | |
| どうやら、空耳じゃ無かったようね…。 | |
| い、いちとせ…なんでこんなトコロに。 | |
| 今日朝から花見やるって連絡くれたじゃないげしゅかー。 そんで、誰か場所取りとかしてるかなー、と思い至りましゅて。 |
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| ま、まぁ場所取りしているというか、させていたわけだけれど。 | |
| …もしかして、私のことですか? | |
| 先輩…私も、場所取り要員として? | |
| わぁ!見つかってるよ! | |
| そりゃ、あんだけ大声上げてたら、この2人に見つからないわけが。 | |
| 場所取り…ですか。それで、あんな電話…。 | |
| い、いや、それはね?陽鳥さんや…。聞いて? | |
| もう、そうならそうと言ってくれれば喜んで馳せ参じましたのに♪ | |
| …え?場所取り、してくれた? | |
| そりゃもう、つきひさんとのお花見のためなら喜んで! | |
| ていうか、ウソの電話の件、怒ってない…? | |
| だって、来てくれたじゃないですか、つきひさん。 | |
| …あ……。 | |
| …とつき、も? | |
| ……ええ、先輩。 | |
| あらら、姉二人が、嬉しいような、罪の意識で眠れないのかい踊れ踊れ というか苦々しいような表情を浮かべちゃって。 |
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| 若いって、いいな。 | |
| 同い年ですよ、いちとせさん。 | |
| あー、じゃ、せっかくこんなに大勢揃ったんだし、始めちゃいますか? | |
| いいわね、それ。夜桜も風情があって素敵だし。 | |
| つきひさんといっしょに見られれば枯れ木だって素敵です♪ | |
| むしろ花なんか見てる場合じゃないわけだけれど。 | |
| なんだかんだでどこか仲良しなんだから。ふふ。 …ところで、いちとせさん、わざわざ陣中見舞いのつもりで? |
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| あー、いや、ていうか、さっきテレビで…。 | |
| ざーーーーーーーーーっ!! | |
| 夜半から土砂降り、って言ってたげしゅので…。 | |
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