●2006年3月
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| 陽鳥のバカぁ! | |
| きゃうん!?い、いきなりそんな言葉責め、 ちょっと濡れちゃったじゃないですか!何ですか大胆な。 |
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| ていうかさ、なんでアンタ知らないウチに人の部屋に 上がり込んでるわけ?なんでベッドの下に手を入れてるわけ? |
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| つきひさんがお出掛け中に訪ねたら、親切にお義姉様が 「あがってお待ちなさい」と言ってくれたんで。 |
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| 肘から先がほこりにまみれた右腕の説明になっていない。 | |
| あらいやだ、ちゃんとお掃除しましょうね、つきひさん。 | |
| まあ、ソレを言われると…。 | |
| ところで、幸先の良いバカ呼ばわりはいったい何だったんですか? …あら、その手の袋は。またゲームですか。 |
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| あーそう、聞いてよ。学校終わって直行でゲームショップ行ったんだけど 間に合わなくって…すっかりクリスタルホワイト売り切れよ、何処も。 おかげで聖剣しか買えなかったワケよ、とほほ。 |
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| はぁ…悲しいんですか、ソレは?よく知りませんけど。 で、なんでバカ? |
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| 腹いせに、目に付いたモノを罵ってみた。 | |
| きゃうん!そんなテキトーな理由で! きょ、今日のつきひさんはひと味違いますわぁ……もっと♪ |
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| 良いからどきなさい、ベッドの枕元にDS置いてあるはずだから。 | |
| きゃうぅん!!ぞ、ぞんざいな扱い!ネコで良かった…! | |
| 聖剣プロジェクト、X! | |
| それはネタとしてフォローのしようがないかと。 | |
| 聖剣プロジェクト、イーグル! | |
| せめてAかA2になりませんか。 | |
| 聖剣プロジェクト、A子! | |
| あの、なんで今日私が来たか、聞かないんですか? | |
| 別に。用なんて無くても来るじゃない、あんた。…あー、充電切れてる。 | |
| …なんか、ここまで適当にあしらわれてると、昔のリアル鬼ごっこな 時代がむしろ懐かしく感じられますね…。 |
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| いいよ、聞くよ、充電しなきゃだし。で、なによ? | |
| あのですね、今度ウチの店で新作ゲームの ロケテをすることになりまして、それで興味おありかと。 |
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| まじか!(きゅぴーん) | |
| ろけて?なにそれ?チューチューロケッテ? | |
| えっと、ぺら、ロケーションテストの略だそうで、ゲームを本発売する前に テストでお店に置いて、お客さんの反応とか見るためのモノだそうで。 |
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| へー、でもそれもお金出してやるんでしょ? 未完成品にお金出すのって、損じゃない? |
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| …まぁ、いろいろな人がいるんだよ、世の中には。 大丈夫、かれんちゃんはちゃんとタダでやらせてあげるし。 |
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| 他の客の前でソレは、むしろ気まずいと言いますか…。 でも、てことは一杯お客さんがやってくれた方がいいわけでしょ? …言っちゃ何だけど、なんで陽鳥さんのお店で…。 |
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| 師匠に折り入って頼まれ…けほんけほん。 ウチの開発部が、いろんな環境のお店でデータ取りたいって、 日本に存在するゲーセンのほとんどに置かせて貰ってるみたい。 |
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| …それ、もう本発売規模だよね…。 しかし、みそかちゃん家の会社はゲームまで作ってるんだー。 |
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| 師匠に折り入って頼まれて新部署を…けほんけほん。 いまやゲーム市場は海外に通用する日本の主要産業なんですから。 |
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| ふーん…よくわかんないけど、さすがみそかちゃんはよく知ってるねー。 さすが大企業のお嬢様、自覚が違うナー。 |
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| そ、そんな、えへへ…。 よ、良かったらかれんちゃんも、ウチに来ても良いんだよ… 家族ぐるみというか、家族に…。てかふーふ…。 |
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| あ、あの人混み!?陽鳥さんのお店すごいひとだかりだよ!? 店の外まで!一体その時何が!? |
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| よーしえんぐ…え、あ?な、なんでしょ、あれ。 | |
| あ、あのー、何ですか、このひとだかりは? | |
| ■ | いや、ロケテ中の新作があるって言うんで来てみたんだけど、 ソレをもの凄いプレイでねじ伏せてるプレイヤが…。 |
| ▼ | 3周目くりやー!! |
| ■ | おおおぉぉぉっ!? |
| み、みそかちゃん……!? | |
| え、ええ、一体誰…? | |
| ロケテは新作がいち早くやれるから人が集まるんだね!気付かなかった! | |
| ぎゃふん!そっちですか! | |
| とにかく、陽鳥さんに会いに行こう。すいませーん、通して下さいー。 | |
| まったく、ウチの開発はどんなバランス悪いゲーム作ったのかしら。 帰ったら打ち首獄門の上市中引きずり回しに…。 |
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| ……あー、いらっしゃい、かれんちゃん、みそかちゃん。 | |
| 凄いですねー、なんか。3週目とか言ってましたけど。 | |
| 周ね、周。3週間もぶっ続けられたらたまったモノじゃ… とはいえ、現状でも充分インカム不足なんだけど…。早く落ちないかなぁ…。 |
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| うわぁ…オペレータ側の赤裸々な発言ですね…。 あ、もしかしていまプレイしてるのって…。 |
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| おーす、かれん。なんだ、アイツまだやってるのか…。 ずいぶんゆっくりトイレに行って来たつもりだったのに。 |
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| つきひ姉じゃないのかよ!! | |
| 何言ってるの?私はゲームが好きなだけで上手くないし。 今やってるのは、ほれ。 |
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| お前の力はこんなモノか!?もっと本気を見せてみろ!ゆるいわ! | |
| え、えーっ!!とおかさん!? | |
| あのコ、お酒が入るともの凄く強くなるんですよね…。ゲームでも何でも。 冗談でもジュースにアルコール混ぜるんじゃなかった…。 |
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| 原因は師匠じゃないですか。 | |
| 仕方ない、そろそろ私もプレイしたいし…奥の手を使うか。 陽鳥、電話かして。 |
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| あいよ。 | |
| ………・? | |
| ……十数分後、とおかさんは駆けつけた中学校の生活指導教諭に 連れられて、店外へ消えていきました。 |
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| お…鬼だ!あんたらツラの皮被った鬼だ! | |
| 鬼だってツラの皮くらい被ってるわよ。 さーて、いっちょやらせてもらいますか。陽鳥、サーヴィスボタン。 |
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| あいよー。 | |
| そ、そんなコト公衆の面前で……あれ?公衆がいない。 | |
| 帰って頂きました♪ | |
| え、どういうコト? | |
| え、えっとー、つ、つきひお義姉様、ファイトー! | |
| 声援ありがとう!だがもう遅い、すでにコンティニューのカウントダウン中さ! | |
| 早過ぎる!上手くないと言うかヘタだよ! | |
| ぐさ。 | |
| あ、あのー!つきひさん!なんで肩落として倉庫へ引き籠もろうと!? ま、待ってくださいー! |
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| ウチの開発部はなんて鬼バランスなゲームを作ってるのかしら。 帰ったら…。 |
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| ねえ、やってみていいんだよね?みそかちゃん。 | |
| あ、ええ!ええええええええ是非是非どうぞ! 左手のボタンが左右移動で、右手のレヴァが技を…。 |
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| …それ、ゲーム違うよね。これシューティングだし。 えいやっ、スタート! |
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| あ、すごいすごい、上手じゃないですか。 もうつきひお義姉様の終わった地点越えますよ。 |
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| がたっ! | |
| いま、倉庫で狼狽する物音が。 | |
| (…そろそろかしら。このゲームにはかれんさんプレイ時を網膜パタン 指紋照合体臭甘度その他諸々で見分けて、ある仕掛けが発動する仕組みに…) |
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| …ん?アレ?変だよなんか、勝手にキャラが動いて…。 | |
| よし来た! | |
| 弾幕が、文字を作ってる…? 「カ・レ・ン・サ・ン・ア・イ・シ・……」 |
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| キャーッ!キャーッ!もひとつキャーッ! | |
| あらぁ?お楽しみね皆の衆。 | |
| わーーっっ!! | |
| ろろろろ老師!?なんでいきなり画面に映ってるんですか!? | |
| やーね、人間の精神活動はすべて電気信号の仕業なのよ? ならこうして精神を電気機器に反映させるくらい、できて当然じゃない? |
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| あ、そっか、なるほどー。 | |
| かれんちゃん、ぜんぜんなるほどじゃないから。 てか、今回はちょっとタイミング悪すぎますよ!いくら老師でも…。 |
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| あのさ、なんでこの筐体、カメラ付いてるわけ?おかげでそっちが見えるけど。 | |
| ぎくっ! | |
| レヴァには指紋照合でしょ、画面上には網膜照合でしょ、なんか匂いセンサまで ついてるけど。…で、肝心のカメラがなんでこんな下の方に…。 |
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| ぎくぎくっっ!! | |
| …まぁ、おかげで私は今えぐるような角度からお嬢様ふたりのスカートの中が まんべんなく拝めているわけだけどねー…あ、もしかしてそのため |
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| ぶつんっっ!! | |
| …み、みそかちゃん、凄い顔……。いきなりコンセント引き抜いて、大丈夫? | |
| はぁ…はぁ…あ、ご、ごめんなさい♪さすがに常識外れのとつきさんでも、 いきなりゲーム機を乗っ取るのはさすがに怖くって、つい。 |
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| …まーねー、私は慣れっこだけど…。 そういえば、結局さっきの弾幕はなんだったんだろう…。 |
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| ままままま、済んだコトはおいといて、せっかくだし他のゲームで遊びましょ? あ、エアホッケーとか、エアホッケー。 |
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| ……つきひさーん、何処ですかぁー?こんな暗い倉庫の中に籠もって、 これほどのチャンス滅多にないんですから、どうなっても知りませんよぐへへ…。 |
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| ぱぁぁぁぁ…。 | |
| きゃっ!?何コノ輝きは!?倉庫の奥から!? おかしい、照明は付けていないはずなのに!? |
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| はわあぁぁ…。 | |
| つ、つきひさんが、輝いている!? | |
| ちょ、陽鳥、アンタのトコまた基盤の蔵書量増えてるじゃない! こんな場末のゲーセンでこの品揃え、並じゃないって! すげーすげー!「トレジャーハンター権藤」やっていい!? |
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| あは…復活して良かったですね、つきひさん。 もうこのテンションは、何を言っても崩せませんしね…。 |
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| 貴方達、次はもっとプロテクトを強化して、精神汚染に耐える基盤を作りなさい。 | |
| ● | 無理です。 |
| 打ち首。 |
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