●2005年10月
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| …という夢を、見たのだわ。 | |
| へぇ〜、良いねソレ。素敵だねー。 | |
| …ん?どうした?何の夢? | |
| あ、つきひ姉。えっとね、こよみ姉が…。 | |
| 姉妹仲良く温泉に行く夢を見たのよ。 | |
| 夢かよ!今月のイラストって、夢かよ! | |
| 何気なく一線を越えた発言をしない。 | |
| しょうがないじゃない、姉妹三人、両親からの仕送りだけで 暮らしている身ですモノ。旅行なんて。 |
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| 近所のスーパ銭湯で間に合わせよう、ね? | |
| ……あそこ、潰れた…。 | |
| え。 | |
| …まあ、イマドキシャンプーも石鹸も持参しなきゃ行けない 銭湯なんて、他の店に淘汰されるわよねぇ。 |
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| でも、つきひさんなんかは決まったシャンプー以外使いたくない 人だから、全然構いやしなかったんですのにね。 |
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| うん…。露天風呂もあったし、結構気に入ってたんだけど。 もっとも、あんたに捕捉されそうだから最近は警戒して あまり行けてなかったんだけどね…陽鳥、さん。 |
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| う…ぐ。唐突の登場すら軽く流された上にイヤミまで。 | |
| あらぁ、陽鳥ちゃん、いつの間に。気付かなかったわ。 | |
| ソレはソレで傷つくんですけど、お義姉様。 | |
| あれ?なんですか陽鳥さん、その紙切れ。 | |
| あ!そ、その、コレは…!!きゃ! | |
| 「温泉旅館 特別招待券」。 | |
| ああん、返して下さいお義姉様ー!! | |
| その数、2枚。 | |
| ……。 | |
| ……。 | |
| だ、だからお義姉様とかれんさんには隠してたのに…。 | |
| じゃーん! | |
| けーん! | |
| な、なんでそこの二人で勝負するの!? | |
| あ…私はシードなんだ、良かった。 | |
| ごらぁ!つきひも参戦しなさい! | |
| な、なんで!? | |
| だれが陽鳥さんと行くのか、勝負だから! | |
| 私がシード!? | |
| ぽん!!! | |
| わーい♪勝ったなりー! | |
| 負けたっ…!って、いちとせ!? | |
| く……っ、勝負は時の運、楽しんできてね、いちとせちゃん。 | |
| 私たちの分までゆっくりしてきてね、いちとせさん。 | |
| なんで爽やかに送り出してるの!? | |
| あ、あの…私、いちとせさんと、旅館の夜を…二人きりで… あんなこんな…あ、あぁ…。ぷしゅー…。 |
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| わちき、実は夜は凄いにょよ…?くぷぷ。 | |
| いや、別に無理に猥褻行為を働かなくて良いから、陽鳥。 | |
| ところで、何のじゃんけんだったでげしゅか? | |
| わかってねぇ! | |
| ぬぽぽ、なんか盛り上がっていたのでつい。 | |
| 「ぬぽぽ」って、笑い声…? | |
| 陽鳥ちゃんがね、"温泉旅行で初宿泊デート、今日は 覚悟してきたから、浴衣は優しくはだけさせてね 大学一年目みたいな青春紀行大作戦」を計画してて。 |
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| …いや、ほぼ合ってますけど。 | |
| 取らぬ狸の皮算用もそこまで行けば立派なモンだよ。 | |
| あぁ、そうだたげしゅか。これはこれは無粋なマネを。 | |
| やっぱり、いちとせさんは凄いなぁ。 | |
| でも、それなら、はいコレ。 | |
| なになに?…「温泉招待券」? | |
| な!?ま、まさかいちとせまで!?なんで同性にしか モテないの私!?罪深き私を許したまへ…。 |
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| 落ち着いて、つきひ姉、今度は人数分あるよ。 | |
| あら、私の分まで。 | |
| 知り合い全員に配って回るつもりだったげしゅので。 | |
| どうしたの、こんなチケット…あ、この温泉の場所って。 | |
| …いちとせさんの、神社の住所ですね。 | |
| 実はげしゅね、昨日庭を掘っていたら突然温水が 地下からじゅぽじゅぽと。 |
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| なんか擬音がエロいよ!? | |
| ていうか、なんでいちとせさん、庭を掘ったりしてたんですか…? | |
| いや、それは、げしゅなりに、 穴を掘って埋める徒労を体感しておこうと。 |
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| ……ううわ。 | |
| で、こうして温泉を構えてひともうけしようってワケね。 | |
| ぶっちゃけ採算は度外視なんでしゅけど。みんなに 楽しんで貰えれば、って。 |
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| 聞いた?陽鳥。 | |
| …昨日沸いたばかりの温泉をもはや整備して、こんなチケットまで…。 | |
| そっちに吃驚かよ。 | |
| せっかくげしゅし、これから神社まで見に来ないべいべ? お背中お流ししましゅよー…この、体、で…。 |
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| お、お願い致します! | |
| 誰でもいいのかよ! | |
| ま、行ってみますか。ちょうど風呂釜が壊れてたし。 | |
| ………えぇ!?ちょ、そんなの知らなかったよ!? | |
| …今朝、シャワー浴びてたら謎の髪の毛が侵入してきて、ボカンと…。 | |
| 全然謎じゃねえよ。 | |
| うおぉ!なんかウォータスライダまである! | |
| これ、本当に温泉…? | |
| ていうか、これを一日で…? | |
| ぎゅふふ、こんなコトもあろうかと日々準備を重ねていたんげしゅよ。 | |
| あ、いちとせー。チケットありがとう。 | |
| お、とおか。あんたも貰ってたのか。 | |
| うん…貰ったのは良いんだけど。 | |
| ……? | |
| そういえば、何処にも全く水が流れてないわね。 | |
| なんか、さっき水道管工事の人が家に入っていったよ。 | |
| ま!まさか!? | |
| 水道管を突き破ったってオチ!? | |
| しかも下水道だって。 | |
| せめて上水道で誤解しろYO! | |
| え?温泉ってお湯を沸かして出来るんじゃないげしゅのか? | |
| そーいうまがい物も確かに多々あるけど! | |
| ていうか下水道だし。 | |
| あー…結局温泉どころか、お風呂にも入れずじまいか…。 | |
| ……ふふ。 | |
| あ、お義姉様、それ、さっき温泉宿泊券のチケット…。 | |
| ……。 | |
| ……。 | |
| ……。 | |
| ……。 | |
| ……。 | |
| じゃーん!!けーーん!! | |
| やめてぇ!!私のチケットを勝手に取り合うのは止めてぇ! |
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