●2005年6月
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| 雨よ…雨ね…雨だわ…。 | |
| そりゃそうだよー。6月なんだから | |
| ジューンブライド!? | |
| 違う。 | |
| こよみ先輩と永遠の約束を誓い合った私は、梅雨の日本を離れ はるか南国へ蜜月の旅に…。そして毎夜毎晩ぐへへへへへへ |
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| 女子高生が同性に抱く正常な想像じゃないよ…。 | |
| あによ。 でも今日は雨は降らないってお天気の精が言ってなかった? |
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| お天気キャスターなら言ってたけどね。夕方になって降り始めて。 私たちは降る前に帰ってこられたからいいけど。 |
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| …はっ!?そういえば、先輩今日は委員会だとか 心の中でつぶやいていたような…!? |
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| 無断で読心するなよ…。 | |
| 今頃下駄箱で傘がないと途方に暮れているはず! 待ってて先輩今すぐ傘をお届けしマース!! |
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| いやー、一時はどうなることかと思ったわ。ありがとねかれん。 | |
| 困った時はお互い様だよー。今度は私が傘持ってきて貰うから。 | |
| あら、しっかりしてること。はいはい、機会があったらね。 | |
| あはは。 | |
| うふふ。 | |
| あはうふじゃねぇぇっ! | |
| わーっ!!? | |
| ぎゃっ、出たな妖怪! | |
| せんぱぁい…!なんで私が傘を持っていくのを待っててくれないんですか? 愛の量を示せるだけ持ってきましたのに…ひぃふぅみぃ… |
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| 妖怪呼ばわりに対するツッコミはないんだ…。 | |
| あのねぇ、いきなり目の前の水溜まりから浮上する後輩に対して どういう健全な愛情を抱けばいいわけ? |
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| …健全でなくても…いいんですよ?ぽっ | |
| お、大人の話?わたし、先に帰ってようか? | |
| お願い…かれん、ここにいて…。 ていうかさ、とつき、あんた人の傘は何本も抱えてるクセして、自分が 傘さしてないじゃない。そんな人から借りられないわよ。 |
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| 大丈夫です、私は傘が無くても濡れませんから。 | |
| …あ、ホントだ。一滴たりとも…。なんか体表1ミリではじいてるよ? | |
| つくづく常道を外れた女ね。じゃ、私かれんの傘で帰るから。 | |
| ああーっ!?待ってくださいせんぱーい!? | |
| いい?半径50センチ以内に近づくんじゃないわよ? | |
| 無理デスよぉつきひさん、そんなに離れたらお互い濡れちゃいますよ? | |
| 陽鳥だけ濡れなさい。 | |
| これ、私の傘…。 | |
| ああもう、予報では今日は降らないって…。この時期は当てにならんなー。 ああほら!いま肘が触った! |
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| そんなに警戒しなくても…。何にもしませんよ。 | |
| ウソをつけ。 | |
| えへ、ウソ♪ | |
| …さりげなく手を握るくらいならともかく、尻を触るな尻を。 | |
| ああ…他の理由で濡れそうです…♪ | |
| たく。そういえばお姉ちゃんもかれんも傘持たずに家を出たはず…。 かれんは降る前に帰れる時間だけど。…ねえ陽鳥? |
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| なでなで。 | |
| いい加減にしろ!悪いのはこの右手か!? | |
| 痛い痛い!ああっ、愛の握手が痛い!! | |
| ちょっと遠回りになるけど、お姉ちゃんの高校に寄っていって良い? | |
| そんな…ぽっ。 | |
| ドコに照れる要素がある。 | |
| いいですよー。迎えに行くんですね。もう、そんな優しいつきひさんが…♪ | |
| ここで貸しを作って、今夜の後片づけ当番代わらせようっと。 | |
| …わぁ、仲良し姉妹だコト。 | |
| せんぱーい、ドコですかぁー!?…うう、ホントに先に行っちゃったのかな? 雨の日は電波が届かなくて困るわ…居場所もつかめない。 |
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| はう〜…早く止まないかなぁ…。天才てれびくん始まっちゃう…。 | |
| あら、あなた。 | |
| あ、かれんちゃんのお姉さんのつきひさんの同級生のとおかさんのお姉さん。 | |
| むしろ分かりにくいわよ、それ。 | |
| えへ、こんにちわ老師。傘持ってるのに何でささないんですか? …って、ええー!?濡れてない!? |
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| いいえ、先輩のことを想うだけで私はいつも濡れてしまうのよ…。 | |
| そんなセリフ数行上で聞いた気がします。 | |
| なにやってんの、本屋さんの前で。火でも付けるの?晴れの日にしなさい。 | |
| し、しませんよそんなコト!まだスタンプカードも貯まってないのに! | |
| お得意さんなのね…。で、立ち読みしてるウチに雨が降ってきて 帰れなくなった、と。買った本が濡れるから雨の中走る決心もつかない。 |
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| …えすぱー? | |
| そんな聞こえのいいモノじゃないわよ。もっと暗くて深い存在なの。 | |
| はぁ…さすが雨に濡れないだけのことはありますね。老師はドコへ… | |
| コレ。 | |
| あ、傘…。いいんですか、お借りして? | |
| 私の愛の一部だからね、ココロして使うのよ。 | |
| え、そっそんな!?こよみさんという人がありながら、私にも愛を…!?? | |
| 先輩への愛の一部。だからちゃんと返しなさいよ?本音を言うと あなたから妹君経由で先輩へ伝わってポイントアップ狙ってるんだけど。 |
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| あ…なるほど。じゃ、今日のことはかれんちゃんにしっかりお話ししますね。 | |
| グッドラック!じゃ、気を付けてね。 | |
| 行っちゃった…。グッドラックはむしろ老師にかける言葉なんじゃ? でも助かった♪帰ろうっと…わっ、きゃあっ!? |
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| ばしゃっ! | |
| ふ、ふえぇぇ…なんでこんなトコロにバナナの皮が落ちてるのぉ…? ああっ、本はおろかぱんつまでびちょびちょ…せっかく傘借りたのに…。 |
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| …もぐもぐ…。 | |
| なー!?老師、なんでいきなり脈絡もなくバナナ食べてるんですかー!? | |
| あれ…お姉ちゃん、かれん。なんで? | |
| あー、つきひ姉だー。こっち遠回りだよ?もしかして、こよみ姉迎えに? | |
| ばっ、そ、そんなワケないでしょ! こっちの方で側溝に鮎が生息してるって聞いて、見物に…。 |
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| そんなウワサ無いわよ。もう…姉妹揃って…。 | |
| あーあ、片付け当番交代計画も頓挫か。…というか、なんでかれんは 私を置いてお姉ちゃんだけ迎えに来てるんだ?私は濡れて帰れと? |
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| 何言ってるの。つきひ姉いったい何本学校に置き傘溜めてると思ってるの。 | |
| ……忘れてた……。 | |
| え、だってその傘……見たことない傘だね…誰の?まさか、盗ん…!? | |
| あらら、いやねぇ、そういうコトを罪悪感無しに出来る人って。 | |
| 違う違う!コレは陽鳥の!陽鳥の傘なの!あいつから奪って…。 | |
| 奪ってるじゃない。 | |
| あ、あわわ。いや、これにはいろいろ事情が。だってあいつ…。 | |
| っくしゅん!!うう、酷いですわつきひさん…。ちょっと○に×を△った程度で。 | |
| ……今日はよく傘を持たない知り合いに出逢う日ね。 | |
| …あ、とつきさん。どうしたんですか、傘持ってるのに濡れちゃって。 | |
| あー…まあ、いろいろね。雨を体表ではじくのも結構力使うのよ。 今日はもう限界…。ああもう、せっかくラブラブになれる予定だったのに。 |
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| ???おっしゃることがよく分かりませんが。あ、でも最後の一文は 同感です。せっかくラブラブの予定だったのに…。 |
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| あら、奇遇ね。私もよ。さっきも例の巫女娘に傘取られて。これが最後。 | |
| いちとせさんに会ったんですか。…彼女も傘を持たず? | |
| 自販機の下の小銭を拾うから貸してくれって言われて、貸してやったら 隙間に突っ込んでぶつけて折りやがった。代わりに折ってやったけどね。 |
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| な…なにを折って…ぶるぶる。 | |
| ばさっ、はい。 | |
| あ……傘。あ、ありがとうございます。 | |
| 事情はよくわかんないけど、敗残兵同士今日は潔く帰りましょう。 | |
| はい…ジューンブライドは来年までお預けですね。 | |
| …結構気が合うかもね、私たち。 | |
| …え?いや、そーかなぁ、結構気が知れませんけど。 | |
| 折るか? | |
| いえいえいえいえいえ滅相もない!!き、気が合いますよねーうふふふ。 | |
| ま、今日の敗北も電波の粒と一緒に雨が流してくれるってモンよ。 お互い、次は頑張りましょうね。 |
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| …はい!! | |
| あ、あたしンちこっち。 | |
| あ、ウチは向こうです…。 | |
| じゃ!またな! | |
| わーっ!もう相合い傘終わりですかー!?つ、つめたっ!急に雨が強く!? ちょ、ちょっとー!帰るならいつもみたいに地面から帰ってくださいよー! |
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| …はう〜……あ?師匠? | |
| …みそかちゃん…。みそかちゃんはホントの仲間よね…ずぶ濡れ仲間…。 | |
| あ!?し、師匠ダメですよこんな道路の真ん中で…! あ、でも暖かい……えへへ、ぎゅっ…。 |
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| ……なにやってんの、ふたりとも…。 | |
| なんで戻ってきますかー! | |
| あら、若いわね、ふふふ。 | |
| だからさ、自分で雨を降らせることが出来れば、もっとやりやすくなると 思わない?颯爽と傘を持って現れれば先輩も頼ってくれるわよ! あんな妹君に負けるわけには!とはいえ濡れ透けの先輩もいいなぁ! |
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| …お姉ちゃん、食事中に黒塗りの古文書めくるのやめてよ…。 |
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