●2005年2月
![]() |
L size 1280x960 310k |
| M size 1024x768 216k |
|
| S size 800x600 145k |
| ダメです。 | |
| …まだ何も言ってないんだけど。 | |
| 言わなくても解ります。ダメです。 | |
| なんで〜?ケチー。 | |
| ダメです。 | |
| ………何してるの、あんたたち。 | |
| あー、つきひ姉。つきひ姉は私の味方だよね? | |
| 何言ってるの、こっち側よ。負け組なんだから。 | |
| …飲み込めないけど、いま失礼な事言ったな?な? | |
| 毎年恒例のアレですよ。 今年もかれんさんがチョコを手作りしたいって。 |
|
| そ。で、今年も台所を引っかき回されるのは御免こうむるので こうして阻止してるわけ。今日は私が夕食当番なんだから。 |
|
| ああ…なるほど。それは、どっちかといえばお姉側だな。 | |
| …突っ込まれないこの寂寥。 | |
| なにさ、二人ともチョコあげる相手がいないからって。 私だって特定人物がいるワケじゃないんだから。 |
|
| 知ってるわよ。ばらまいて脈を掴もうとしてる事。 | |
| …そして、それが功を奏していない事。 | |
| っき〜〜!別に人気がないワケじゃないモン! 逆にありすぎて高嶺の花なんだもん! |
|
| はいはい、言い訳は署で聞くから。とりあえず意味のない チョコ作りに台所を明け渡すわけにはいかないの。 |
|
| あ…あの、提案。 | |
| なに、部外者。 | |
| つめたっ!…いや、それなら、三人で一緒にチョコ作り したらどうですか?かれんさんを見張れるし。 |
|
| それは何の解決になってるんだ。 | |
| そーだよ、二人は相手もいないってさっきから言ってるのに。 | |
| …繰り返されるとなおのこと腹が立つけど、その通り。 | |
| …ちょいちょい。 | |
| …なに?自分を指さして。 | |
| わたし、わたし。 | |
| ……はぁぁあ〜? | |
| うわ、すっげえイヤミなリアクション。 | |
| とりあえず、そういう時は親指で自分を指し示すのは 渋すぎると思うわよ、陽鳥ちゃん。 |
|
| 何?二人ともとつきさんや陽鳥さんにあげないの? | |
| やるかよ。 | |
| あげる相手もいないって言ったの、かれんじゃない。 | |
| それは男子の話。私はみそかちゃんにもあげるよ? | |
| 喜びの余り失禁しそうだな、それは。 | |
| ……弟子のくせに…!! | |
| いい?かれん。バレンタインチョコってのは、義理でも友情でも、 もろちん愛情でも、好意を持った相手に送るモノでしょ? |
|
| うん。当然。 | |
| つまり、好意のない相手に送る必要はまったく… | |
| ヴァーーー!! | |
| バタン! | |
| …泣き叫びながら飛び出して行っちゃったわね。 | |
| ……つきひ姉、言い過ぎ。 | |
| な…私が悪いの? | |
| そうよ…いくらなんでも本人の前で…。 | |
| ……そうですよね…本人の前で…非道いですよね…。 | |
| ぎくっっ!? | |
| うわぁぁ!とつきさん!いつの間に背後に!? | |
| ずっといたわよ…。センパイが朝のシャワーを浴びる前から。 | |
| ざっと5時間は前だな。てか覗いてたな。 | |
| あ、あのね?今のは口が滑ったというか、本音がポロリと言うか、 とにかくね?き、聞き流して…。 |
|
| …言い訳は署で聞きます。さ、任意同行…。 | |
| 強制連行じゃない!!そ、その今まで見せた事のない うつろな瞳はやめてぇぇ!! |
|
| ……署ってトイレなのか。二人であんな狭いところに…。 | |
| さ、じゃつきひ姉はこっち。 | |
| …なに? | |
| 一緒に作るの、チョコ。さあ。 | |
| なんで私まで…。こよみ姉は消えたんだし、一人でやれば…。 | |
| いいから。送る相手、いるでしょ? | |
| ………………。 | |
| あれ?師匠じゃないですか?一人で公園ですか? | |
| あ…憎き弟子。 | |
| …憎きって…。そろそろ日も暮れますよ?今日も冷えるって…。 | |
| いいの。ほっておいて。 | |
| はぁ…。あ、そうだ。明日のチョコ準備出来ました? 私も、かれんちゃんに喜んで貰おうと最高級の…。 |
|
| ほっておいて! | |
| …!!は…はい。じゃあ、あの、失礼します…。 | |
| …………ぐす…。 | |
| …あ、つきひお義姉様。 | |
| ………! | |
| まったく…ウチにも帰ってないし、探したじゃないの。 | |
| え…あの、つきひさん…。 | |
| ん。 | |
| ………。 | |
| は、半分以上かれんが作ったし、味の保証はないけど…。 いっとくけど、いちとせやとおかにもあげるんだからね!? 自分が特別だなんて思わないでよ?大体コレというのも… |
|
| は……ありがとうございます、つきひさん! | |
| わ!ちょ、調子の乗るなっての!離れなさい! | |
| 今だけ、今だけ…。今日はこれ以上はしませんから…。 | |
| …明日からはまたするってことね…。 | |
| …なんだか知らないけど、良かったですね、師匠…。 | |
| あ、そうだ。かれんがみそかちゃんにもチョコ作ってたけど、 貰いに来る? |
|
| ええええええええっっ!!?本当ですか!? 行きます、行かせて頂きます!!ちょうど渡すチョコも持ってるし。 |
|
| ん。ついでに夕食でも一緒に。……で、あんたはどうするの? | |
| …え。 | |
| 夕食。何人分でも一緒だし、…食べたければ。 | |
| あ…はい!ご一緒させて下さい! | |
| ふぅ…じゃ、帰りますか。今頃お姉ちゃんが夕飯を…。 | |
| あ……あへ…。 | |
| 作ってなかったな。 | |
| トイレから出てきた時は一人きりで、それっきりこの状態…。 | |
| さすがです、老師。 | |
| あはは…私も見習おうかな。 | |
| あ、あの、つきひさん。これ、私からの媚薬入りのチョコレート。 | |
| いらん。 |
| back |