●2003年12月
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| はいはい、ちょっと待っててね。呼んでくるから。 | |
| お姉ちゃん、お客さん? | |
| あ、ちょうど良かった、つきひちゃんによ。 | |
| え、私?……………げ。 | |
| ・・・・・・・・・・・・・・・。 | |
| い、意味ありげな上目遣いで見つめないでくれるかなぁ…。 | |
| がちゃ、ただい〜わっぷ。 ご、ごめんなさい、お客さん? |
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| く、来るなぁ!かれん! | |
| かれん、このコよ、この人がつきひちゃんのクラス委員長。 | |
| 陽鳥(ひどり)です。はじめまして、かれんさん。 | |
| あ、どうも、はじめまして…。へぇ、つきひ姉の 話っぷりだともっと変な人かと思ったけど…。 |
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| ぇえ?もう、どんな風に私のことを話して らっしゃるんですか?つきひさん。ぷんぷん…。 |
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| 今どきぷんぷんとか言ってる時点で変人だと思うが。 | |
| なんでそんなに邪険なの?つきひ姉ったら…。 あ、どうぞあがってください、陽鳥さん。狭い家ですけど。 |
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| え〜!?あげるの!? | |
| クラスメートが家にあがったらおかしい? | |
| いや、クラスメートだけどさ、それよりなんていうか、こう、 もっと複雑な事情とか渡る世間はONIばかりというか…。 |
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| あ、おいしい♪いい葉をお使いですね。 | |
| よかった〜。陽鳥さんは絶対和茶派だと思ったんだ〜。 | |
| すでにあがってるし!茶、振る舞ってるし! | |
| つきひさんもいっしょにどうです? 温度といい蒸らし具合といい最高ですよ♪ |
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| やだもう、陽鳥さんたらお世辞ばっかり☆ | |
| いえ、本当ですよ。もう余所のお茶は飲めないくらい。 | |
| そうなの…?私はかれんの淹れるお茶しか知らないから…。 | |
| もーっ、そう言うところがつきひ姉の足りないところなの。 あーあ、陽鳥さんがお姉ちゃんだったらなぁ。 |
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| もう取り入ってるわね。早く手を打たないとホントに かれんちゃんに「要らないお姉ちゃん」扱いされちゃうわよ。 |
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| かれんにどう思われるかは興味ないけど、委員長に 負けるのはシャクだな…。 |
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| 素直じゃないんだから。 | |
| つきひさんも隣にどうぞ。いっしょに頂きましょう。 | |
| 私は飲み慣れてるんだけどなぁ…。 | |
| はい、どうぞ。湯飲み熱いから気をつけて。 | |
| ありがと…ずずず、ん、いつも通り。これが一般では 旨い茶なんだ…。 |
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| おいしく、ありませんか…? | |
| いや、そう言われれば確かに美味しい…、てか なんで委員長が尋ねるの? |
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| あ、つきひ姉、それ…。 | |
| 陽鳥ちゃんが使った湯飲みだわね。 | |
| ぶ〜〜〜〜〜〜っ! | |
| おいしいって、言ってくださいましたね、嬉しい…。 | |
| な、べ、べ、べ、別に関節キスくらい…どってこと…。 | |
| ちょっと…意識して、多めに唾液を戻してみたり…。 | |
| ぶ〜〜〜〜〜〜っ! | |
| おお、これが話に聞く…。 | |
| 一途なレズっ娘歪んだ愛情表現ってヤツか。 | |
| …そんなの話に聞いたことないぞ…。 | |
| あの、わたし、別にレズとかじゃありません。 | |
| いや、レズだろ。 | |
| そんな、たまたま好きになった人が つきひちゃんだっただけで、女の子なら誰でもいいという わけじゃないんです。つきひちゃんじゃなきゃダメなんです。 |
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| いや、そういうのをレズっていうの。 | |
| じゃ、レズです。 | |
| 折れるの早! | |
| 呼び方なんてどうでもいいんです。つきひちゃんを好きな 私と、私を好きなつきひちゃんがいれば、もうそれで。 |
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| だから、私は別に委員長を好きなワケじゃないし。 | |
| んん〜、今どき一途ないい子じゃない…。お姉ちゃん、 ちょっと泣けちゃった…。 |
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| 私も…ちょっと、じん、ってなった…。 つきひ姉、もうちょっと心を開いたら? |
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| か、懐柔されるんじゃない!私は普通の女子中学生なの! | |
| 好きな相手に素直に好きって言うのは、普通じゃないの? | |
| だから好きじゃないって!いつの間にか手を握るな! もう、そもそも何しに来たのよ!? |
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| あ、そうでした…あの、イブの晩、空いてますか…? | |
| ええ、空いてますよ。別に姉妹三人で寂しく クリスマスを迎える予定なんてさらさらありません。 |
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| なんでお姉ちゃんが答えるの!聞いたとおり三人で 過ごすから!用事終了!帰宅! |
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| いいよ、私は別に…。二人でデートしてきなよ。駅前の イルミネーションが綺麗らしいよ。近所のケーキ屋が、また。 |
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| ヘンにけしかけるなよ!てかなんで下調べ済みなのよ! さては貴様も予約が入ってるのか!? |
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| え?そうなのかれんちゃん?私、イブはひとりなの? | |
| ひとりって!?私も残るから!お願い残して! | |
| …大丈夫、遺憾ながら予定は来年以降に延期となりました。 | |
| ああ、良かった。二人で一緒につまらないクリスマス特番 見ながらケーキに付いてきた安物のシャンパン飲もうね。 |
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| ネガティブに緻密な計画たてるな!だから三人だって! | |
| あんまり怒鳴るとお肌に悪いですよ。 | |
| 誰のせいだ、誰の!? | |
| いえ、あの、最後まで聞いてください。デートじゃなくって… ウチの店でイベントやるんです。それで。 |
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| ウチの店? | |
| あ、ウチ、ゲームセンターなんです。それで、スト15周年と バーチャ10周年を記念して元祖ストUとバーチャで 同時に大会を開くことに…。 |
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| …聖夜にやることか…?それ…。 | |
| あ、でもつきひちゃんには効果絶大みたいよ。 | |
| ぐ、ぐおお…なんでそんなに魅力的なイベントを… だめ、イブは三人で…ああ、右手がPP→PKを勝手に…。 |
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| …姉妹で過ごすイブより、ゲームの方がいいの…? | |
| かれんちゃん…? | |
| 陽鳥さんいい人だから、応援してあげたいと思うけど… ゲームなんかにつきひ姉のイブを取られるのは、イヤ…。 |
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| …もう、冗談よ、冗談。クリスマスイブよりパラサイトイブよ。 | |
| 何を言っているのかわからない。 | |
| …そうですよね、ごめんなさい。ヘンに水を差して…。 ゲームで釣るなんて最低ですよね。 |
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| いや、現に釣られかけてたし。 | |
| あの、陽鳥さん、良かったらイブの晩、ウチで過ごしませんか? | |
| いや、だから大会が…。 | |
| え!?いいんですか!?嬉しいです!! | |
| はぁ。…え?いや、大会は!?バーチャは? | |
| 私関わってませんから。24日はオフですから。 | |
| 本当に誘うためだけの口実だったわけだ…。 見かけに寄らず食わせ物ね…。 |
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| じゃあなんですか?ノコノコ出掛けていったら観戦どころか 私服の委員長に拉致されてイブはふたりっきりだったですか? |
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| イブの夜は4人で楽しみましょうね♪つきひさん。 | |
| ちょ、聞いたでしょ!?この子はこういうコなの!! ねえったら!! |
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| ねえ、折角だからケーキは駅前の店で買わない? | |
| ダメよ、あそこはシャンパンくれないから。 | |
| 聞けよ…。 | |
| 楽しみだなぁ…あ、プレゼント交換とかしましょうね♪ |
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