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山本は俺の手を引いて廊下を逆行する間も、何だか怒っている風だった。山本の部屋に連れてこられてすぐ脱衣場に押し込まれてあれよあれよという間に衣服を取り払われバスルームに押し込まれて、振り返ろうとしたら後ろからいきなり抱き締められた。背中に布の感触。俺だけ裸って恥ずかしい。
「や……山本、さん……」
「さん、は要らない」
山本の腕が伸びてきて蛇口を捻った。シャワーから温かいお湯が降ってきて、俺は咄嗟に顔を手で覆う。山本は俺から一旦身体を離したけれど、俺が振り返る前にまた、背中から抱き締めてきた。
今度は山本も裸だ。
かぁっと顔が熱くなるのを感じた。え、な、何?どんな状態?
「……ツナ」
耳元で山本が俺を呼ぶ。気を取られていると脇腹を山本の手のひらが滑った。ボディーソープをつけた手のひらは俺の下腹部をぬるぬる撫でる。くすぐったい。身を捩っても山本の左腕は俺をがっちり抱いていて身動きが取れない。
「……アイツに、どこ触らせたの」
触らせたっていうか触られたんだけど、と抗議するより先に山本の指先は俺の足の付け根をなぞる。
「ひっ……」
際どい部分を触られて、つい声が出てしまった。
「ここ?」
言いながら、山本は遂に俺のソコを触ってきた。俺を犯そうとしてきた奴らとは全然違うソフトタッチで優しく揉むように触られて、俺のソレは正直に立ち上がってしまった。
「あ、」
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。身体中が熱い。目の前にある鏡を直視できなくて俯く。
「それとも、こっち?」
山本の手は泡を引き連れたまま腰を撫で尻を撫で、指先は割れ目をなぞってから遂にそこに到達した。
「……っ」
痛い思いばっかりしてきたせいで、俺はつい身を固くした。
「大丈夫……」
ボディーソープのせいだろうか、その言葉通り、俺のソコはすんなり山本の指を受け入れた。異物感はある。けど、痛くはない。恥ずかしくて、変な感じ。
山本の指がぐりぐりと俺の内部を探っている、気がする。ぐりんと指を回転させられて、穴の入り口部分の皮膚だか粘膜だかが擦れて変な感覚。
「や……山本……怖、い」
俺が訴えると、山本はゆっくりと埋め込んでいた指を抜いた。そしてシャワーを俺の身体にかけて泡を落とす。あぁ終わった、のか?
と思ったら大間違いだった。山本は俺の上半身を鏡に押し付け、後ろに腰を突き出す姿勢にさせた。これだけでも恥ずかしいのに山本はしゃがんで、あろうことかさっきまで指が突っ込まれていた恥ずかしい部分に舌を這わせ始めた。
「っあ、や、っ……やだっ!」
腰を掴まれていて逃げられない。それよりも身体に力が入らない。正直に言って、そうされるのはすごく気持ちよかった。ぬるっとした舌が俺の皮膚だか粘膜だかを撫でる度に甘い疼きが起こる。
「ぁ……」
もう喘ぐことしか出来なかった。シャワーの音に混じって微かに聞こえる粘液の音が俺を煽る。次第に疼くような微かな快感がじれったくなってきて、俺は思わず山本の名前を呼ぶ。
「……山本」
山本は立ち上がって、再び俺を背後から抱き締めた。さっきとは違い、今度は自分の腰を押し付けるようにして抱き締めてくる。固く熱くなった山本のそれが腰に当たって恥ずかしかった。同時に、俺なんかで興奮してくれてると思ったら嬉しくなった。何でもどうでも良くなっていて、山本の手でどろどろのぐちゃぐちゃにして欲しかった。興奮していた。
「ツナ」
熱っぽい声。
「わりー……すげー、入れたい」
入れたい。入れたいって。入れたいって。その言葉を聞いたとき、何だか嬉しくなった。山本が。俺を。変だけど。でも、でも。
「い……入れて……!」
震える声でそう告げると、一層強く抱き締められた。
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