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「お前じゃなかったら誰なん。大体、もう目ぇ醒めたんじゃけ、そんなペッタリ部屋にくっついて居られても気詰まりじゃろー」
「いや、そんな事もあれへんけど…」
「えーから気使わんで。ほら本ばっかり読んどらんでちーと手伝えよ。昨日からなんで俺ばっかり何度も出たり入ったりしとんじゃ」
「…仕方ないな」

言うが早いか、永川は椅子から立ち上がり、後は振り向きもせずに出て行ってしまった。

「やっと動きよった。…ほうじゃ、お前に差し入れ預かってきたんよー」
「僕に?」
「昨日車乗せてきてくれたおっちゃんがの、お好み焼き屋やっとるんじゃけど、さっき行ったらこれ持たしてくれたんよ。腹すかしとるじゃろーて」

そう言って梵はビニール袋の中から透明のパックに入った何かを取り出し、ベッド脇のテーブルの上へと置いた。


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