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「けど、革命成功してから、ココも急に人ふえたでしょ。岸者若いから、そのへんよく知らないかな?
「知識としては。なんとか存じてます」
「そう。そんなら話早いね。とにかく急に、帆者本人と関わったことない人増えたあるね、そのころからかな。ほら、ウワサの一人歩きね。
捕まえたときにも死人出してるしね、あれはほんとに札付きのちんぴらで、狂犬どころか鬼神みたいだったよ。コレは有名な話だし、ボクもあの光景を忘れないよ。
 とにかく、ウワサが広まったら、だんだん本人もウワサどおりになってったあるね。どっちが先てはっきり言えないあるけど、ボク自身は…、そね、ウワサが先、思うね。仲間なってみたら、帆者はべつに狂犬じゃなかったよ。せいぜい猛犬くらいよ」
「…」
「答えになった?」

許はすこし首をかしげ、口元に笑みをたたえて言った。それに岸はあわてて頭を下げ、礼を述べる。

「え、あ、はい。ありがとうございます」
「そう、良かった。ボクは最近はあんまり帆者と関わりないけど、帆者悪い子ないあるね。知らないほうがいいこともあるね、岸者自身何もされてないなら、嫌いならないであげてね」
「あっ、はい」

岸の返事を聞き届けると、許は軽く右手を振ってその場を立ち去った。岸もまた一礼し、許の去った反対側、自分の部屋へ向かって足を進めはじめる。

…許は帆足を悪く言わなかった。いま聞いた話を纏めるなら…、元々の素因があったために群衆からまず恐れられ敬遠されるようになり、
それにつれて本人の素行もだんだん先鋭化していった、ということになるだろうか。これはよくある、見た目で不良と決め付けられたためにひねくれて本当に不良になるという話にも似ている。
岸が最初に解放戦線に身を投じたときも、まず最初にチームリーダーから言われたものだった。もし運よく幹部に近づく機会があっても、帆者にだけは関わるな、と。


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