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その理由はいくつかあるだろう。聖都神宮から報復宣言を受けており、名古屋軍を総攻撃している。ここまでは予想の範囲内だった…、しかし理由は不明ながら、所沢が確実に敵に回っている。
その件を横浜に絡めてこなかったのは、やはり、今現在、横浜海軍までまともに相手している余裕はないという判断だろう。大矢が当初思っていたよりも、文京軍は慎重だ。
これなら、政治的な交渉で、少なくとも直近の戦争は回避できる可能性が高い。
仮にこれで終わってくれたなら、普段よりも陸軍の警備体制を強化するだけで、だいぶ事は有利に運べるだろう。
しかし大矢長官は、もうひとつ、頭の痛い問題を抱えていた。むしろ、問題としてはこちらがメインである。
これはあまりの難題のため、自分ひとりでは決めかねた。そこで…、提督、将校、副官と呼ばれる連中を招集したのだ。
彼らは普段お世辞にも真面目で勤勉とは言えないが、やはり海上での実力、指導力、集中力、人徳、そしてそれらに引き寄せられる天運には、大矢長官も一目置いており、頼りにしている人材なのだ。
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