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そうして書きあがった問診票をもう一度頭から見直し、内容に間違いのないことを確かめて…、森野は受付へ向かった。
背後から永川と井生の話し声が聞こえる。

「でも今、ちょっと混んでるから時間かかるよ。なんなら、先に上でも」
「じゃあ、そうするか…、」
「あ、その前に受付行ってちょーだい。お見舞いも受付必須よ」
「わかってる」
「んなこと言って、こないだ受付行ってないでしょ。わかってんだからねー」

そこまで言われてはさすがの永川も返す言葉がないらしかった。彼は面倒くさそうに受付へと進んでくると、真横からおもむろに森野を見下ろした。

「ん、何か」
「…体重85キロ」
「見るなよ!」

慌てて森野は問診票を裏返す。受付の女性が口元を隠して笑っている。

「嘘つけ、もっとあるだろ」
「本当だって!」
「…えと、こいつは予防注射を、あと入院患者の見舞いを4名。4階梅津智弘です」

森野の抗議にかまわず、永川はサラリと用件を述べる。そのシレッとした横顔を見て、森野は鼻からひとつ溜息をついた。

「貴哉、チビ、行くぞ」

永川は振り返らずに後方の二人を呼ぶと、受付脇の薄暗い階段をさっさと上りはじめた。
チビというのはこの場合東出のことを指しているのだろうが…、チビと言われて何も反論の言葉がないということは、これが通称なのだろうということを森野は理解した。
おそらくは現在に至るまで、幼少時からずっと小柄だったのだろうことが伺える。


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