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☆ ☆ ☆

「悪いな。待たせた」
「いえ、夕べも大仕事だったのに。朝からお疲れさまです」
「ふん、お互い様だ」

森野の押し込まれた白のプレマシーが、ちょうど病院に向けて走り出すよりも少しだけ前の時刻。所沢解放戦線アジトの前庭で待つ岸の前に、別段急ぎもしない足取りで、帆足が姿を現した。
帆足がやってきたら、まずは脚の傷の具合を窺おうと思っていた岸だったが…、それよりもまず、会うなり、顔に目が奪われた。無理もない。帆足の左の目尻には、まるで塗りつぶしたかのような見事な青アザが…、その無愛想な顔の中、ひときわの存在感を放っていた。
…一体何があったんだ、昨日の任務が終わったときには確か、あんなところに傷はなかったはず。そもそも、何をやったら顔にそんなアザができるのか…、岸は思わず眉をしかめそうになった。
しかし相手が相手だ、あまりじろじろと顔を見るわけにもいかず、何があったと聞くわけにもいくまい。結局何も言えないまま、助手席に青アザの帆足を乗せると、岸は青いBMWの運転席に座ってキーを回した。

「あの、シートベルト」
「しねぇよ。あんなもん締めてたら、何かの時すぐ動けねぇだろ」
「そういうもんですかね」
「貴様はしろよ」


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