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決断を迫られたアレックスは、現状で取り得る手段、自分に残された道を探した。誰かいるのか、という言い草から察するに、そこに人間がいること自体はすでに知れているのに違いない。つまり、このまま隠れてやり過ごすという選択肢はない。
また、背後を狙って不意打ちするならともかく、単身、正面から撃ち合って、彼に勝つのは不可能だろう。いま、この銃は役に立たない。
とすれば、後は…、大人しく姿を現すしかない。攻撃されるかもしれないが、されないかもしれない。彼は我々の敵ではない…、という幹英の言葉を、彼は祈る気持ちで胸の内に復唱した。
これを聞かされたときには、正直に言って、話半分に聞いたものだった。しかし今この極限の状況で思い返すと、それがまんざら気休めでもないような気がしてくるから皮肉なものだ。
事実、梵は声をかける前にまず攻撃を加える手段を持ちながら、それをしなかった…、

一瞬の逡巡の末、アレックスは、その場にドサリと銃を捨てた。そして両手を挙げ…、巨木の陰からゆっくりと姿を現した。


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