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そうして彼らが呼吸を整えている間に、アレックス隊は撤収をほぼ完了していた。後には作業用の一輪車やスコップが散在するだけ。
重機の類は最初から投入されていない。現場に残していけば間違いなく破壊されてしまうし、いちいち回収するのも得策でない。
後にはひっそりとした森の空気が戻った。人間と人工物とを一切飲み込み、無に還そうとするかのような静けさの中…、
アレックスはひとり残って、巨木の陰に身を隠し、マスターの出現を待っていた。

何か手がかりが、情報が欲しい。かねて噂に聞く彼の力は、どうにも化け物じみていて…、この世のものとは思えない。噂ということを考慮して、いくらかを割り引いてもなお、事実とは到底思えないのだ。
実際にはどれくらいの強さなのか、そして、打ち破ろうと思えばどれだけの戦力が必要なのか。
マスターはいつも、先の幹英の分析が正しいと仮定するなら…、まずは人間に当てないよう、慎重に第一撃を加えてくる。そして人員の撤収が済んだのち必ず、作業現場の破壊をしている、らしいことがわかっている。
この破壊活動に使われているエネルギーは、おそらく、いつもアレックスが目撃している第一撃とは比べ物にならない。毎度地面に残されているクレータが物語るそれを、自身の目で確かめなければ。


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