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「わかった」

アレックスは渋々といった様子で返事をした。それを聞いたブラウンは、満足そうにうなずくと、笑顔で「よろしく頼む」と言い残し、早々に司令室を出ていった。
各方面で動かさねばならない物事がまだたくさんあるのだろう。千載一遇のチャンスを得て、ブラウンは実に生き生きと、寸暇も惜しんで動き回っている。

「…アレックス、すまないな。結局はムリを聞いてもらうような形になってしまって」

アレックスと共にその場に残された幹英が言った。

「キミが謝ることじゃない。それに、マーティの気持ちはともかく、キミの気持ちは俺にも分かるさ。なにしろ、祖国の独立を果たすところをその目で見られるかもしれないんだ、エキサイトしないほうがおかしい」
「何を。俺はそんなつもりでさっきの…、決してあんたを利用するために、」
「そんなことは言っていないさ」

また早口になる幹英を制し、アレックスは笑った。

「キミがそんな奴じゃないことは俺がわかってる。だが、自然な心理だ」
「だから違うんだ、俺は軍人として、私情に左右されることなく客観的な事実を述べたにすぎないッ」
「わかったわかった、それでいい、落ち着いてくれ」

落ち着けと言われ、ハッと我に返ったように幹英は唾を飲み込んだ。


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