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その大沼の表情が気に入らないのだろう、帆足は顔を歪め、きわめて攻撃的にそう言った。
しかし大沼は、その帆足の意図を汲み取るでもなく…、突然、噴き出すように笑い声を上げた。

「…何がおかしい」
「ぶふ、いや、悪い悪い。そのことなら心配しなくてもいい、向こうももう、まっぴら御免だそうだ。ま、力者が実戦ダメなのは俺もわかってる」
「わかってて寄越しやがったのか。じゃあ奴を責めるのはお門違いだな。全く、貴様のせいで岸者を死なすところだったんだぞ!」

歯を剥いて声を荒げる帆足の顔を見ず、大沼は傷口の汚れを丁寧に拭き取りながら、頭上から降り注ぐ文句を聞き流す。

「カリカリすんなよ。お前がついてりゃ大丈夫だと思ったんだ。それで実際、怪我もなく帰ってきたんだから、問題ないだろ?」
「俺は怪我したがな」
「お前はいいだろ」


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