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「こうやって気脈が一部分で破壊されても、全体として気は循環しようとするから、またそこに通り道ができるだろ、それを利用するんだよ。
 それを踏まえたうえで、全身の気脈を一度にブチブチ千切ったら、どうなると思う」
「どうって」

森野は少し考えた。頭の中に、畑の間を縫って流れる水路のイメージが浮かぶ。それを万遍なく破壊したら…、
流路が消え、そこらじゅうが水浸しになってしまった。

「気が回らなくなる…、とか」
「そう。まあ、それでも、人によって気の流れるルートは決まっているから、いずれは再生するのかも知れんが…、
 少なくとも当分、まともな生活ができなくなるだろう。今回もな、本当は肩からやりたいんだが、欲張って失敗すると嫌だから、肘下だけ。
 これだけなら、半日かからずに再生するはずだ」

永川は喋りながらまた森野の腕の一点を押した。痛みもさながら、振動が骨を伝わって全身へ伝播するような感覚が実に気持ち悪い。背筋がざわつく。森野は思わず身震いをした。

「まあなんだ、もう少しだから、頑張ってくれ」
「…もう少しだと、嘘つくな。まだ腕の半分も行ってないじゃないか」
「嘘とは心外だな。気休めと言ってもらいたいね」


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