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「…待て、どういうことだ!」
「そーねえ、本来なら長い時間かけて体得すべき能力を、外科的な手法で後付けしようっていう発想だな」
「…そんなことができるのか?」
「できる。もっとも、まじめに修業するのに比べたら当然、リスクもある。
 ま、そうは言っても、気の世界の話だから、血が出たりはしないはずだから安心しろ。ほら、腕出して」

確かに、気の世界の話なら、永川は…、前田に次ぐ、かなり信頼のおける専門家であると言えるのかもしれない。
しかし、安心しろと言われても…、それは無理な相談だ。リスクって何だ…、それ以前に、そもそも、古文書を読み返しながらだなんて。
いかにも、一度も試したことがありませんと言わんばかりではないか!

「まああれだ、言いたいことは色々あるだろうがな、今のままじゃいずれにしろパワー不足なんでね。時間もない。観念してくれ」

森野が文句を言うよりも先に、永川が決断を迫った。とはいえ、ここでYESと言う以外の選択肢がないことは森野もはじめから承知している。
そうなれば、後は永川の言うとおり、観念するかしないか、いや観念することは決まっている、ただひとつ利く自由と言えば、いまから何分後に腹を括るかだけだ。仕方がない。

「…わかった」

再び永川が森野の手首を握り、そして肘を掴む。


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