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「なんだよ、その顔。俺が悪いのかよ。悪いのは英心だろ。違うのか」
「それは違いない、何も異論はない、が…、なぜ今、このタイミングで。最近は、さほど暴れまわってる話も聞こえてこないのに」
「東南の風が吹いたんでね。急いで乗らなきゃならないんだ。
 それに何だって、近頃はさほどでもないって言った?今年、あいつのせいとわかってるだけでも、すでに何人か犠牲になってるぞ、怪我人はもっといるだろうな、それが大したことないってのか。随分だな」
「それは…」
「前はもっと殺していたのが、これでも大人しくなったんだから皆さん我慢して下さいってか」
「……」
「そうなのか、何とか言えよ!」

突如、何かのスイッチが入ったかのように苛烈な言葉を次々に浴びせる永川に対し、倉はじっと黙ったまま、そして表情を動かさないままに、どうにか視線で対抗している。
確かに…、暴力的に降りかかる正義に対して彼のできることと言えば、ただその首を縦に振らないことくらいだろう。
その目を見据えて永川も黙る。視線に火花が散る…、が、勝負で言えば、すでに土俵際である。いつ押し切られるか。今か。それとも三秒後か…、その視線が突然、遮られた。
いつの間にか、音も立てずに脇から出てきたマサユキが、間にのっそりと立ち塞がったのだ。

「なんだ、お前」
「…アニぃをいじめんな」
「引っ込んでろ。お前には関係ない話だ」
「は?何それ、お前何サマ?」
「何でもいい。どうせ言っても何もわからないくせに、しゃしゃり出てくるな、どけ!」
「どかねー!てめーうぜぇんだよ、でけー声出しやがって!」
「マサユキ、止しなさい」

少しの間、呆気にとられていた倉がハッと我に返り、背後からマサユキの両肩を掴んで引いた。しかしマサユキは下がろうとしない。

「ほら、アニぃも言ってんだろう。言う事聞けよ」
「な、気にしなくていいんだ、お前には関わりのないことだからね…、」



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