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青木はそう言ってケタケタと笑った。青木はこうして事もなげにサラリと口にするが、人間爆弾とはただごとでない。
普通であれば、そんな危険なもの、逆らう以前に寝食を共にすること自体が憚られるが…、それでも組織が成り立っているのは、おそらく人徳によるものなのだろう、と永川は推測した。

「つまり、すごい実力を持ったチキンハートの総帥だからこそ万事上手いこといってるわけだ」
「そそ、そういうこと。どっちが欠けても上手くいかないだろうね。力がなけりゃそもそも話にならんし、あれで性格まで強引だったら、人がついてこないだろう、まあ、現状では理想的なんじゃないの。
 末端はどうだかわからんけど、わりとやりやすかったよ、幹部としては」
「勇人さん、向こうじゃ偉かったんやなぁ」
「偉くはないけどさ。まあ責任と仕事はあったね、それなりに危険な奴がね」
「例えば?どんなん?」
「そうね…、ドラッグの製造販売から軍用物資の掠奪、銀行強盗、爆破テロ、要人の誘拐、狙撃、黒くないほうでは支持基盤拡大のために炊き出しやら子守りやら、学校教師の代わりまで、なんでも、色々」

賞金つきの都市間指名手配というのだから、恐らく相当な犯罪行為に手を染めているあろうことは山崎にも永川にも想像はついていたが、
ここに挙げ連ねた内容をたったひとこと「色々」と言って片付け、挙句にニヤと笑ってみせる青木の顔を見て、二人は思わず顔を見合わせた。
その笑顔の造作自体は特に悪人面ではない、どちらかと言えば童顔の、いつも通りの青木の顔に違いないが、そんな顔して、口から次々飛び出すのは、目を見張るような凶悪犯罪が目白押し。そのギャップが実に気持ち悪い。


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