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いままで山崎が嗅いだことのないくらいにやたらと香り高いコーヒーを、これまた高そうなカップに注ぎ、それを各人の前へ並べながら、青木は果たして褒めているのかわからない表現で先刻の永川を評した。

「いやあ、まあ。夜には戻りますって言って出てきちゃったもんだから。それに、助手がいたからこそ、さ」
「そういえば…、突然彼を連れてきたのはどういう風の吹き回しだったんだ?」
「別に、あんたがよこしたメール見たら、人手があったほうがいいと思うのが普通だろ。俺そのときたまたま道場にいたもんで、手近にいたから連れてきた。ついでに社会勉強にもなるだろうしさ。
 いい若いもんが道場で年寄りの相手ばっかしてんだもの、たまには外で苦労させないと」
「社会勉強て何やねん。適当な事。ちょい聞いてーな勇人さん、コイツ最初何も言わんかってんで?黙って連れ出して、ここ来る途中でいきなり仕事手伝え言いだしてん」
「当り前じゃん。最初からスラィリーハント手伝えなんて言ったらお前ついてこないだろ」

口をとがらせて主張を展開する山崎とそれを軽くあしらう永川のやりとりを聞いて、青木は思わず苦笑する。

「なんだ騙して連れてきたのか、無茶するね」
「人聞きの悪い。ちゃんと報酬の話もしたし、それで合意したんだから、問題ないだろ」
「報酬云々以前に、未経験者をいきなり路上スカウトだなんて。クレイジーだぜ。人手なら言ってくれれば他に確保できたのに」

この青木の一見何気ない一言に、これまで涼しい顔をしていた永川が突然噛み付いた。


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