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目を閉じて2、3度深呼吸をしたのち、森野はゆっくりと目をあけた。
地鶏は一羽も森野を見ていない。良し。要はこの状態を保てばいいのだ…、ただし、この数え切れないほどの鶏をすべて小屋へ運び込むまで。

「ظلانيءگةخبؤششغ(手出しするなよ)」

森野は忍び足で鶏に近づきながら言った。闘気さえ漏れていなければおそらく足音を立てたところで何でもないのにも関わらず、漫画に出てくる泥棒のような動きをする森野を見ながら、ドアラはしっかりとうなずいた。

ドアラにしてみれば、これでひとまずOK、とでもいったところだろう。自力で課題をクリアしたことになるとかならないとか言われても困るのだ。
森野は勘違いしているようだが、ここでの最終的な目的は賞金を稼ぐことであって、そこに至るまでのことはすべて手段でしかないのだから。
勿論、森野がここで桁違いに強くなって、最早ビッグ・ドメがあってもなくても関係ないくらいになるのなら、それでも一向にかまわないが、それなら尚更修業は急いでもらわねばならない。
東戦線もいつまでもつか分からないし、それに何より、こんな赤味噌もないところに長居するなんて。冗談じゃない。


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