129
さて、前田に鶏の回収を言いつけられた森野は一体どうしただろうか。
時間をすこし遡って、永川たちがちょうど青木の事務所を訪問した頃…、森野は無数の地鶏にぐるりを包囲され、その場に立ち尽くしていた。
見える、今の森野には見える、鶏たちの一羽一羽から、オーラのようなもの、つまり気が立ち昇っているのが。
これは穏やかでないな、と森野は思った。先刻の山崎も、手合わせの最中には闘気が陽炎のように見えていたが、勝負が終わった途端にそれが見えなくなったのだから、この鶏たちが自分を敵視していることは、気を見ることで手にとるようにわかる…、
いや…、
気など見るまでもない!不意に、鶏たちのうちの数羽が一斉に地面を蹴り、森野に向かって襲い掛かってきたのだ!
「ぎゃああああぁあぁっ!!」
[NEXT]
[TOP]
[BACK]