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一通りの自己紹介を終えた一行は事務所を出発して、軽トラックを駆り、一路、現場へ向かった。
「さてどうやって追い込もうか。禁猟区だから、銃は使えないか」
助手席で地図を広げた永川が独り言のようにつぶやく。その声に、煙管をくわえたままハンドルを握る青木が返事をした。
「いちおう許可は取っておいたがね」
「かといって、民家までこの距離じゃなあ…、」
「大丈夫だと思うよ、戸締りして家から出ないように、って行政から勧告出てるし」
「勇人さん、もしものこと全然考えてないでしょ?」
地図から目を離して、永川は運転席をチラリと睨む。
「ハハ、まあね、でもキミならうまくやるでしょ」
「そういう油断がね、一番怖いんだよ、ってあんたなら、言われんでもわかってるでしょうに」
「…ああ、まあ、そうだな。ここにいるとどうも、平和ボケしちまっていけねぇや」
青木は苦笑いしながらボリボリと頭を掻いた。
不意に、ふ、と会話が途切れる、その隙間に入り込むように、車窓の外から声が聞こえる。

――ちょっとぉ!!あんまり飛ばさんといて!怖い!怖いて!!あーもー!死ぬ〜〜!!!

「…ほんとに荷台で良かったのかな?」
少し申し訳なさそうに言う青木に対し、永川は平然と言い放った。
「しょうがないじゃない、定員オーバーだもん」


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