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まず、誰が行くのか。本来ならば、撤退時に取り残された部隊の回収など味方の捜索を得意とし、それで数々の功績を挙げ、「帰りますよ」の決め台詞で知られる井端自身が出向くのが、一番手っ取り早い方法であることは誰の目にも疑いない。
しかし現在の井端は基地をひとつ任される身である。すぐれた判断力を買われての、異例の若さでの抜擢であるが、その立場のせいで、もうひとつの彼の長所であった機動力が発揮できなくなってしまっているのだ。
仮にそうでなくとも、現在は戦線の維持だけで手一杯の状態。そこからさらに誰かが抜けたとして、その間一体どうするのか。
召集されたメンバーを見ても、皆一様に頭を垂れて、井端と目をあわせようとはしない。自分のところから出せる人員はないという無言のアピールだ。
それが出し惜しみでないことは、指揮官である自分がよくわかっている。
「…もう、俺らだけじゃどうにもならんよ。限界だ。もうプライドだとか言ってられん、
 このかんの文京からの猛攻がひと段落するまで、西基地から人を回して貰って、一時の急を凌ぐしかないだろ」


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