ところで
- 201 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/25(日) 08:14:38 ID:n56skbMIO
- >>200
そういうネタってスラィリー狩り本スレ向きじゃね?
あんま先の展開読むよーなこと書いてると作者さんが書きにくくならんか心配
- 202 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/25(日) 10:38:54 ID:J1EpXUnA0
- 今日で連休終了だが、終わったら続編が来る……
嬉しいような悲しいような
- 203 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/25(日) 15:41:48 ID:xiRMr9dZ0
- ああ〜2日寝ても今日があると思ってたのに2時まで寝てしまった…
寒いよ〜明日会社行きたくないよ〜
でも続き読みたいよお〜
- 204 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/25(日) 19:50:46 ID:BmHu/sQwO
- このスレを見てやっと世間では連休だったことを思い出した
- 205 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/25(日) 21:42:56 ID:fs+pZkPB0
- ところで
- 206 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/25(日) 22:51:56 ID:3vfda7AYO
- >>203
逆に考えるんだ。ちゃんと仕事に行きさえすれば続きが読めるんだ!
- 207 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 07:35:07 ID:occ2t2K5O
- 最近の楽しみはこれだけだよ…。
- 208 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/26(月) 10:52:42 ID:HUFjGkiZ0
- 歯に衣着せることのできない山崎の立ち去った直後、永川は森野の横顔を、気づかれぬように横目で見た…、しかしその表情はさほど怒っているようには見えず、ひとまず、胸をなでおろした。
しかし怒ってこそいなかったものの、森野は内心で消沈していた…、
名古屋では、ドアラマスターといえば人々から一目置かれる存在であり、子供たちにとっては憧れの的だ。それがここでは、あろうことかドアラのおまけのような扱い。
それに加え、この道場があまりに森野の頭の中に思い描いていた理想と違いすぎるのもいけなかった。
なにしろ長年の夢であり、さらに神社を改装した荘厳な雰囲気から否が応にも期待が高まってしまっていたために、普通ならば驚くほどのことでもない、
たとえば玄関のインターホンや関西弁の男にもいちいち余計に幻滅してしまっただけのことに違いない、ただそれだけのことだ、そもそも期待が過剰だったのだ…、
森野は脳内で自分にそう言い聞かせながら、しかしなおも、口から漏れ出る溜息をとどめることができなかった。
「…ま、上がってよ、上がっていいみたいだから」
その様子を見ていた永川はひきつった愛想笑いをうかべながら、玄関の中へと森野を促した。
- 209 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/26(月) 10:53:36 ID:HUFjGkiZ0
- 玄関で履物を揃えていると、ほどなくまたバタバタと足音がして、山崎が奥から姿を現す。
「ナー、お師匠さん会うてくれるて。奥の座敷におる。行こ」
そう言って山崎の指差す先には閉じた襖が見えている。あの向こうに憧れの前田智徳がいる、そう思った途端にさっきまでの消沈ぶりはどこへやら、森野ははやる気を抑えられず深呼吸を繰り返しながら山崎の後ろをついて行った。
さほど長くもない廊下を進み、襖の前まで着くと山崎は、さっきまでのドタバタと足音を立てて廊下を走っていた姿からは想像のつかないような無駄のない所作で、ス、としゃがみ、戸口を軽く二度叩いた。
その動作を見て森野は感心した、あんな風に見えてもやはり教育はできているのだ、師匠に口をきく前には自然と背筋が伸び洗練された動きをするのだな…、
「お師匠さん、森野からお越しの名古屋さんをお連れしました。入ります」
「ちょ、ちょっとやまちゃん、」さすがにそれは失礼だろ…、と永川が客人の名を正す間もなく、襖の奥から返事が聞こえた。
「ご苦労。入りんさい」
- 210 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 11:04:44 ID:occ2t2K5O
- 乙です!
山崎…ひでぇw
- 211 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 11:17:53 ID:guQB9HcE0
- 森野からお越しの名古屋さん・゚・(ノ∀`)・゚・。o
- 212 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 11:36:23 ID:0FRJIb6q0
- 山崎バロスwwwバカスwww
投下乙です!
- 213 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 12:52:28 ID:E71En5BW0
- 乙です!
山崎ひでえwww
- 214 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 12:54:23 ID:xlGrgCOMO
- 森野からお越しの名古屋さんバロッシュwwwwww
- 215 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/26(月) 13:02:30 ID:HUFjGkiZ0
- 入ってよいという返事なので、森野の名を記憶し直す機会を逸したまま、山崎は両手を使って恭しい動作で襖を開けた。するとそこには、暖かそうな絹の和服を羽織まで着込んだ男がひとり、灯油ストーブの真正面へ陣取って座っている。
「まーた、お師匠さん、火ぃくっつき過ぎたら危ないからあきまへんて、言うとるやないですか」
「近頃冷えるけぇ、火のそばへ寄るのが道理じゃ、仕方ないじゃろ」
「そう言うて、去年もお袖焦がしはったやないですか」
「うるさいわ、客人の前でする話でもなかろ、黙っとれ。…ワシは森野を存じとらんで申し訳ないが、遠くなんじゃろ、よう来たの。名古屋さん言うたか、ささ、入りんさい。
ナーも久しぶりじゃの、お前は相変わらず山から滅多に降りてこんのか、顔も見せんでからに。ほれ浩司、無駄口叩いとらんで茶と菓子な」
山崎の早口な小言を体よく制して、前田は森野、それから久しぶりに姿を見せた永川を招き入れる。それから見えたドアラの姿にぴくりと眉を動かすと、嬉しそうに、こう続けた。
「おお、これは珍しいお客じゃの。すると、お前さんドアラマスターか」
「ドアラ?これが!?」
前田の言葉を聞いて、黙っていろと言われたばかりの山崎がいきなり頓狂な声を出した。
「お師匠さん!ほんとにこいつがドアラなんですか?」
「なんじゃお前、ドアラがどんなもんか、知らんかったんか」
目をまるくして再度尋ねる山崎に対し、事もなげに前田は答える。
「そら、知っとりましたけど…。なんや、コアラに似たカッコや聞いたからどんな可愛いんか思とったのに…。なんやの…。キモー…」
大層がっかりとつぶやいて、山崎は生気のない表情のまま再び跪いて一礼し、襖を閉めて姿を消した。
- 216 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 13:11:32 ID:ipfpsK640
- 投下乙です!!
森野から来た名古屋さんで話すすんでるしwww
山崎の妄想ドアラはかわいかったのかww
- 217 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 14:10:04 ID:d3UkBr2W0
- 乙です!
ナーよ、早いとこ名前を訂正してやってくれwww
- 218 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/26(月) 15:24:47 ID:HUFjGkiZ0
- 「…まあ、子供の教育が悪うて申し訳ない。ほれ、座りんさい」
「は、はい」
襖が閉められたことでにわかに開放感の失われた和室で、机ごしの真正面から前田に声をかけられ、緊張した面持ちで森野は返事をした。
横から永川が座布団を二枚、森野のほうへ押して寄越す。そのうち一枚を自分の隣に置いてドアラを座らせると、森野も続いて腰を下ろした。
「お師匠さん、その仰りようは。あいつもいい加減、子供って歳じゃないでしょう、俺と一緒ですよ」
「お前も見とったじゃろが。いつまで経っても大人らしゅうならん、子供で充分じゃ」
「そう言って子供扱いをなさるから、いつまで経ってもああなんでは」
「なんじゃい、お前まで説教か。どいつもこいつも、そんなとこだけ老けよって。かなわんわ」
ひとしきり頭をかくと、前田は腕組みをして、森野のほうへ向き直った。
「さて、名古屋さん、ワシに何ぞ、用かの」
森野としては、折角会えた前田に名前を間違えられたままでは死んでも死に切れないから、どうしてもそこは訂正したい。しかし、たったいま勿体なくも真正面から前田に名を呼ばれた手前、呼んで貰ったそばからその御言葉を訂正するのも憚られる…。
「…ええと、改めまして、お初にお目にかかります。自分は………、」
一瞬の沈黙。前田は当然ながら喋っている森野のほうを注視し、続く言葉を待っている。
「名古屋……将彦と申しまして…、東のかたより参りました者です」
ちらりと左を見ると、永川は向こう側へ視線をそらしている。
「以前、お師匠様のお噂を耳にしましてからは、是非、是非とも一度お会いしたく存じまして…、今日、こうしてお会いできて光栄であります、ホントに…」
「そうかそうか、そんならつまり、別に用事はないちゅう事じゃな。見てのとおり、なんもないとこじゃが…、ゆっくりして行きんさい」
「は、はあ」
前田のミもフタもない暖かい言葉に森野はただ恐縮し、膝の上に拳を固くのせたまま、うなずいた。
- 219 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 15:28:10 ID:JjRf0/GK0
- 乙です(`・ω・´)
・・・って森野それでいいのかwww名古屋さんのままでww
- 220 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 15:43:24 ID:GVfDTVNX0
- 名古屋将彦ワロス
続きwktk
- 221 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/26(月) 16:42:19 ID:HUFjGkiZ0
- 「さて、そんじゃあ、そっちの用事を聞こうかの…」
前田は腕組みを解いて、机に片肘を乗せると、永川のほうへ体を向けた。
「ただ客人を連れてきたわけでもなかろ。お前がここへ顔出すんは、厄介ごとの時と決まっとるけ」
「いや、まあ、そんな。ハハハ」
伸ばしたもみあげを人差し指でポリポリと掻きながら、永川は人懐こい笑顔を見せた。
「図星か。そんで、何事じゃ」
「英心を…、いや」
耳慣れない名を永川が口にしたその瞬間、前田の表情がさっと険しくなるのを森野は見逃さなかった。
「スラィリーマスターを、討伐に参ろうかと思いまして」
「何じゃと」
「討伐に参ろうかと思いまして。スラィリーマスターを」
「ひっくり返して言わんでもええ。大体何を寝ボケとる、まさかわからんのか、今のお前じゃ、彼奴の相手にならんぞ」
「わかってます。しかし、時期を待とうにも、予想に反して、あいつは年々力をつけるばかりで」
「それは…、確かにの…」
- 222 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/26(月) 16:42:51 ID:HUFjGkiZ0
- 前田は渋い顔をした。永川ほどの実力があってもスラィリーマスターには肩を並べるべくもないのかという、朝の森野の想像が正しかったことを、その表情が如実に伝える。
「…しかし、そう言い出すからには、なにか勝算はあるんか」
「それなんですが、こちらの、モ…、その、えと、ドアラマスターの、モ………、な、名古屋さんと組めば、あるいはと思いまして」
ああ、またやっちまった、俺ってだめな奴…、と永川は思った。
最早森野の名を訂正できるのは自分しかいない、そのことを永川は重々承知していた、
しかし師匠の興味は最早そんなところになく、いかにしてスラィリーマスターを倒す気かとその鋭い視線を自分の眉間へ容赦なく向けてくるものだから、
そこで話の腰を折って名を訂正するのも気が引けて、遂に名古屋と呼んでしまったのだ。
ちらりと右を見ると、案の定森野は微妙にうつむいている。その横顔がいたたまれなくてさらに向こうのドアラを見れば、マスターである森野の緊張感が伝わっているのか、きちんと姿勢を正して大人しく座っている。
いや、俺のせいじゃないだろ、間違えたのはやまちゃんだし、大体自分で訂正できないのに俺に期待してもらっても困るもん…、
無意識のうちに自分自身に対する言い訳を考えると同時に永川は、たとえ必要に迫られてもこれしきの話の腰が折れない自分を、とても腹立たしく思うのだった。
- 223 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/26(月) 16:45:10 ID:HUFjGkiZ0
- 本日はここまでです。
- 224 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 16:53:43 ID:NwPSkAkQ0
- >>223
乙です!
スラィリーマスターの正体がwwwwww
そして森野アワレwwww
- 225 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 17:37:36 ID:6jRqNh870
- 乙です
きちんと姿勢を正して大人しく座っているドアラてw
- 226 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 19:28:02 ID:Qcdly+PI0
- 乙です。続きが楽しみだ
- 227 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 21:22:23 ID:thmC9+EK0
- 山崎が可愛すぎる・・・
- 228 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 21:36:05 ID:gj7Q0ttX0
- いちいち面白い。センスあるぅ
- 229 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 22:38:49 ID:ipfpsK640
- スラィリーマスターの正体がwwww
( :;@梵@)とナと名古屋さんの対面にwktkwwww
- 230 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 23:41:52 ID:UFEcnY8B0
- >俺に期待してもらっても困るもん…、
ナww 可愛いぞwww
- 231 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/26(月) 23:50:30 ID:XnIk+Qky0
- 乙です。ドアラを想像する度に吹くwww
- 232 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 00:29:58 ID:fdTebVf+0
- 森野自分で訂正しなきゃダメだろw
そしてとうとうスラィリーマスターくるか
- 233 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 01:51:57 ID:MpNnR8m60
-
- 234 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 03:09:27 ID:xJ1HrbfA0
- 保守代わりにスラィリーマスター
ttp://baseball.fan-site.net/uhyo/tree/img/2740.jpg
- 235 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 03:25:30 ID:SeN0RCZu0
- 乙です!
姿勢を正して座布団に座ってるドアラを想像して吹いたwww
スラィリーマスターと名古屋さんの対面が楽しみだ
- 236 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 05:03:39 ID:veBIAtrr0
- 乙です!
森野からお越しの名古屋さんに梅酒噴いたwwwww
戦うスレといい此処といい、広島関連スレは飲食禁止だなw
- 237 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/27(火) 11:16:48 ID:KLe+4h/P0
- 「ドアラマスターと組む、か。成程な。しかし、組んでどうするつもりなんか、もう少し具体的に聞かせて貰わんことには」
「勿論です。それを今から話します。話しますが…」
そこまで言って、永川は一度言葉を切った。廊下から山崎の足音が聞こえてきたためだ。
「やまちゃんに聞かれたくない部分が、少し…」
「ふむ」
声を低めて言う永川に、前田は訳知り顔でうなずく。そして程なく、襖ごしに山崎の声がした。
「お茶と菓子、お持ちしました」
「ご苦労」
盆に載せてきた5人分の紅茶とプリンを配り終わると、山崎は上座の前田の隣へ座ろうとする。それを制して前田は言った。
「こら、お前は掃除が途中じゃろ。ちゃっかり自分の分まで用意してきおって」
「ええー、後でちゃんとやりますよ。そんな、厄介払いせんかっても、ええやないですか」
いくらなんでも先刻の永川の言ったことが山崎に聞こえているはずはないから、言葉のあやには違いないが、『厄介払い』という言葉が出たことで永川は内心ヒヤリとした。
偶然だか勘がいいのか判然としないが、山崎は昔からこういうことがよくあるのだ。
「いけん。物事には順序があるけえ、お前は掃除が先じゃ」
「じゃあ、プリンは…」
山崎はいっそう不服そうに口をとがらせる。
「…そんなもん、やること終わってから食うたらええ事じゃろ。そんな顔するな」
「わあ、ええんですか!やったあ、ほんなら、失礼します!!」
さっきまでの顔はどこへやら、パッと顔を輝かせると、自分のところへ置いた紅茶とプリンを目にも留まらぬ速さで盆へ回収し、山崎は部屋を出て行った。
- 238 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 11:38:39 ID:qbN69/vjO
- 職人さん投下乙ですw
山崎がいい味出してるなあ
- 239 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/27(火) 14:11:54 ID:KLe+4h/P0
- 「さて、これで当分ヤツは戻ってこんじゃろ。…ああ、気にせんでええんよ、あいつがいると進む話も進まんけぇ。
それと、これはワシのお気に入りの菓子じゃ。神戸から取り寄せたもんでの、ウマイんよ、遠慮いらん、食べんさい。それで、何だったかの」
「…随分甘いですね。俺たちがここで修業したころには、お師匠さんのお取り寄せスイーツ(笑)なんて頂いたことはなかったのに」
プリンをみつめたまま固まる森野に軽く状況の説明をして、前田は永川に話の続きを促す。しかし永川は白い目で前田を見ると、突然、恨み言を口にした。
「そ、そうだったかの。しかしな、あいつを追い払いたい言うたのはお前じゃろ」
「掃除をきつく言いつければいいことじゃないですか。大体、昔はそうだったはずです」
「あいつはそれで納得しないタチなんよ」
「それは普段からお師匠さんが甘やかしているから……、」
師弟のやりとりを片耳で聞きながら森野は、これは単なる食い物の恨みなどではなく、もっと別の問題だと考えた。
永川と山崎は同い年だと先刻言っていたのを聞いたから、昔の永川、つまり今の山崎よりもずっと年若いはずの永川に、前田はもっと厳しく接していたことが伺い知れる。
「過ぎたことをいつまでもグチグチ言うでないわ、時効じゃ時効。今食わせてやっとるんじゃけ、文句言うな」
もちろん、前田が歳をとって人間がまるくなったなどとも考えられるだろうが、おそらくもっと大きい要因は、二人のキャラクターの差だ。
「そういう問題じゃありません。失礼ですが、あいつをきちんと育てるつもりがおありですかと聞いてるのです」
推測の域を出ないが、永川の修業は前田のペースで進んだのに対し、山崎の修業は前田も気づかないうちに山崎のペースで進められているのだろう。
ぷるぷるとおいしそうに揺れるプリンの角にスプーンを入れながら森野は、コイツ損な性格だな、と心の中で勝手に永川を憐れんだ。
- 240 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/27(火) 14:53:36 ID:KLe+4h/P0
- 今日はここまでになりそうです。
いつも感想レスありがとうございます。励みになります。
- 241 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 15:02:23 ID:yG9moO6x0
- 乙です!
続き楽しみにしてます
- 242 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 15:05:59 ID:vh6AKvrY0
- スイーツ(笑)wwwwww
- 243 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 16:30:21 ID:XOoa/wY20
- 乙です
ナと森野のお互いの印象ワロスwww
前田プリンで餌付けされてるよwww
- 244 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 17:25:12 ID:/c+nBM8SO
- なg…
…森野w
- 245 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 17:39:10 ID:jsAo45ayO
- お取り寄せスイーツ(笑)
投下の度にいちいちツボにハマるわw
- 246 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 19:27:52 ID:VntpCUQ60
- だめだこれはwwww
- 247 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 20:25:53 ID:R7CzbYno0
- 早くも来季の広島中日戦が楽しみだw
しかしみんないいキャラしてるなあ
- 248 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 21:15:10 ID:yYYbN32C0
- 前田やっぱりプリンかwwwwwwwwwww
嫁さんにまた叱られるぞwwwwwwww
- 249 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 23:15:41 ID:9IyFtDF30
- 前田登場時にプリンだけは外せないと思ってたので
願いがかなって嬉しいですw
- 250 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 23:36:32 ID:jsAo45ayO
- 来期の開幕戦が中日‐広島だwww
楽しみが増えたw
- 251 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 23:55:37 ID:FvZiSTaX0
- 想像していた憧れの前田像がどんどん崩されていく森野がwww
開幕戦が中日-広島とは、もはや神の采配としか(ry
- 252 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/27(火) 23:56:34 ID:PFLs7EzlO
- ドラファンの俺に前田さんとプリンの関係を産業で、よろしこ
- 253 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 00:09:53 ID:NTbopkiNO
- Maeda
Loves
Pudding
- 254 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 00:17:04 ID:/y1ZrFTe0
- お前に言われんでもクリーミィのAAはじめて見たとき吹いたのを覚えてる
- 255 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 09:26:13 ID:lxfjNHrh0
- 私としては前田智徳といえばアイス(しかも氷菓)というイメージ。
まあ甘いものならなんでもいいんだろうけどw
プリン=嶋というイメージ。
捕手ついでにどうでもいいこと書いてスミマセン。
楽しみに読ませていただいてます。
- 256 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 10:59:43 ID:6AKeaT0hO
- いつも乙です
続きをwktkしつつ待ってます
正座するドアラ
ttp://gban.jp/i/46pikr
- 257 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 11:00:31 ID:U+26yC2k0
- ニコニコでアイスについて熱くかたる前田があったんだんけど、消されちゃったのかな?
アイスに話題がいったらテンション上がりまくりでワロタwww
- 258 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/28(水) 11:08:03 ID:7ivYoRHk0
- 「とりあえず、あの、先刻のお話を先に…」
プリンを半分ほど食べても口論の終わる様子がないので、見かねて森野は口をはさんだ。
「おお、そうじゃったの。そうそう、それよ、名古屋さん、本題に入る前に、お前さんにはあらかじめ、どうしても聞いといてもらわんとならん話があるんよ」
実のところ山崎を甘やかしている自覚があり、永川に対してややバツが悪かった前田は、渡りに舟とばかりに森野のほうへ向き直る。
「と言うても、ナーからすでに聞いとるかもしれんがの。スラィリーマスターを討とうとするんなら、ワシもできる限りのサポートはするが…、
たとえば作戦通りに事が運ばなかったり、なんやかんやで不測の事態になった時は、ナーの身の安全が最優先じゃ」
そういえば前日、永川も、俺はともかくあんたの命の保障ができない、と言っていた記憶がたしかにある。
しかし前田があまりにもきっぱりとそう言うので、森野は面食らった。所詮よそ者の自分にくらべ永川は前田の弟子、それもここまでの情報から推測するとおそらくは一番弟子なのだろうが、
内容はともかく、普通はもう少し相手に配慮した物言いをするものではないのか?
その森野の頭に浮かんだ当然の疑問に対する答えを明らかにすべく、前田は続ける。
「別に身びいきでそう言うとるわけじゃないんよ。気を悪くせんで言うても無理じゃろうが、これにはワケがあっての…」
「…」
「…」
前田は意味深に言葉を止めて、紅茶を口へ運んだ。沈黙がしばらく続く。
「…ほれ、ナー、早うワケをお聞かせせんか」
「え、俺が喋るんですか」
「お前の身の上じゃけ、お前が喋るのが筋じゃろ。大体ワシャ細かいとこまでは知らん」
「それは承知ですが、俺の身の上を俺が語るのも恥ずかしいじゃないですか。細かいところは補足しますから、お願いします」
「んー、この話は長くなるけぇ、たいぎぃのぉ…」
「俺にだってそのくらいして下さってもいいでしょうに。あいつには簡単にプリンを」
「わかった、わかった!そんかわり、この件はこれでチャラじゃぞ、いつまでもプリンプリン言われよったらかなわんけぇの!」
「ええ結構です結構です。それで充分です。どうぞお願いいたします」
「そうじゃの、ええと、何から話せばええんじゃ…、そうじゃな…、そもそもの話から始めるか」
- 259 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/28(水) 11:41:20 ID:7ivYoRHk0
- 「スラィリーハンターと呼ばれるもんにはの、本来2つの力が必要なんじゃ。ひとつは体力。もうひとつが気力。
気力ちゅうのは根性とかそういう意味じゃのうて、人間誰でも持っとる気の流れちゅうか、なんて言うたらええんかの」
「誰でも、ですか?」
「そう、誰でも。お前さんも持っとる。流れの速さ強さは個人差あるが、誰でも持っとることは持っとるんよ。それを訓練してある程度操れるようになると、いろいろ常人にはできんことができると、そういうわけじゃ。
お前さんドアラマスターなんじゃろ、意識はしとらんかもしらんが、マスコットマスターも多かれ少なかれ気の力を使うとるんよ、
たとえ言葉が通じんでも不思議と意志の疎通ができるんは、マスコットとの間に気の流れができとるせいじゃけ。
お前さんは見たとこ、相当な使い手じゃの」
森野が驚いた顔でうなずくと同時に、永川も思わずへぇと声を出す。
「ワシがここで何しよるか言うと、それを武術に活かすことを教えとる。広島は古来からこのテのことが盛んでの。ワシも若いころ、やっぱり師匠に習うた。
師匠は山本ピーコ言うて、若いころは広島にその人ありと言われた名うてのスラィリーハンターじゃった、もっともワシが習うた頃には、すでにご隠居じゃったがの。思えばあのお人は…、」
「お師匠さん、思い出はいいですから、先の話を」
「うん、そんでの、なんで武術の師匠がスラィリーハンターなんか、ちゅう話じゃが、これは簡単なことでの、
昔はそんくらいの事ができんかったら、スラィリーを仕留めるなんて事は到底無理じゃったんよ。
スラィリーの毛皮は厚いけぇ、ただの刃物じゃ傷つけることもできん。銃ならちょいとは違ってくるが、
鹿撃ちの猟銃程度ならやっぱり至近距離でブッ放さんといけんし、そんな事しよったら、その前にピロられる。
おまけにヤツら馬鹿力で知恵もあるけ、金網やら罠を仕掛けても、どうもならん」
「しかし実際は、もっといい銃が出回って…、」
- 260 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 11:59:46 ID:zq39iLTk0
- 乙です
徐々に御磨衛尼流が明らかになっていく
にしても前田のキャラがいかにもでワロス
- 261 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/28(水) 13:23:15 ID:7ivYoRHk0
- 「それは最近の話じゃ。具体的にはスラィリーマスターが現れてから、つまり、ここ数年の話じゃの。それまではいくら獰猛なスラィリーといえども、
人間の目につくところへ現れることも滅多になかったし、スラィリー肉も広島の一部にしか出回らん幻の珍味での、全国的にはそんな食い物があることすら、ろくに知れておらんかったんじゃなかろうか、
じゃけぇ、元々稀少な品で、高級品ではあったが、今みたいにアホみたいな値がつくことものうて、
つまりスラィリーもハンターも肉の需要も少ない、狭い範囲に完結した話じゃったんよな。
それが、スラィリーマスターが山へ棲みつくようになってからというもの、スラィリーの目撃情報が爆発的に増えた。
当然、一人前まで長年の修練を必要とする従来のハンターだけでは駆除が追いつかん。
じゃけぇ、広島政府も危険じゃ言うことは判っとったんじゃが、猟期には大型の銃の使用を認めて全国から急造のハンターを募ろうとしたんよ、それがどういう結果を招いたか…、それは現場の人間が一番わかっとるじゃろ、ナー」
「ええ、確かに、銃に関する規制を緩めたことで、素人でもスラィリーを倒せる可能性が出てきました。しかし成功率は高いとは言えず、そのために発生する犠牲は毎年増えるばかり」
「こいつなんぞは折角鍛えた技があるっちゅうに、便乗して銃に頼り切ってラクしとる。まったく」
「いやあ、本気出すと疲れるもので」
「まあええ。とにかく、最近の研究では、『スラィリーにピロられた人間はやがてスラィリーになる』ちゅう民間伝承もおそらく正しいとか言われとる、そんならスラィリー自体の数も増加の一途じゃ。
しかし今更スラィリーハントを制限しようにも、これだけ需要が拡大して価格が高騰した今となってはの、法で禁じても密猟者が出るだけじゃろ。最早、あとには引けん。
もっとも、あの西宮が一向に広島へ攻めて来んのも、スラィリー増加のせいだとも言われとるが…」
- 262 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 14:47:40 ID:Ev3WGDjVO
- ァャャャャャャャャャ話がなんかすごいことに…。
…ところで、いつまで名古屋さんなんだろう…?
- 263 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/28(水) 16:52:56 ID:7ivYoRHk0
- そこまで一気に喋ると、一息ついて、前田はプリンをすくって口へ運んだ。
「まあ、少し脱線した話になったが、スラィリーハントのざっとした歴史は、そんなもんじゃ。
しかし、ここ三次はスラィリーの多く棲む山が近うての。はぐれたスラィリーが里へ降りてきて、人を襲うことも、まれにじゃが、昔からあったんよ。
…お前さん、スラィリー折伏の総本山て、知っとるか?」
「名前だけは、存じております。たしか『梵倉寺』と」
「そうそう、それじゃ。その寺にはの、昔から、スラィリーに対しては必殺の、絶対的効力をもつ折伏の秘術が伝わっとる。
スラィリーが里に現れるようなことがあれば、間違いなく撃退できるようにと、寺に生まれた子供に代々伝えられてきたんじゃな。
これは気の修業と違って、まだ子供が幼いうちから徹底的に叩き込まんとならん。ワシャ理由は知らんが、大人になってからでは身につかんもんらしい」
前田の話に何度目かわからない相槌を打った森野は、ふと隣のドアラが飽きてきている気配を感じた。無理もない。しかし話はおそらくここからが佳境である、森野は悪いと思いながらもドアラの尻をつねって我慢を促す。
「そんで、寺には子供がひとりおった。名前は英心、言うての」
それを聞いて、森野はハッとした。それはさっき永川が口走った名ではないのか。
しかし森野の表情から気配を察したのか、前田は森野が口をひらく前に、その疑問を制し、続けた。
- 264 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/28(水) 16:54:01 ID:7ivYoRHk0
- ※ この物語はフィクションであり、実在の人物、団体、寺院などには一切関係ありません
- 265 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/28(水) 16:57:05 ID:7ivYoRHk0
- 半端なとこですみませんが今日はここまでです。
- 266 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 17:03:10 ID:MxUnqZqD0
- 乙です
∧_,,∧ お茶でもどうぞ〜♪
(* ^ω^) _。_
/ J つc(__アi! トポトポ
しー-J 旦~
- 267 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 17:07:48 ID:QiYVW7t3O
- 職人さん乙です
そうか、ドアラ飽きてきたんだな…w
言葉が解るのかはわからんが(笑)
- 268 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 17:21:20 ID:WVOKuMwr0
- 乙です
梵倉てwww
- 269 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 17:28:58 ID:pFwtlO3V0
- 職人さん乙です
壮大な話になってきたなwww
- 270 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 18:39:57 ID:pw6ilR/Z0
- つねられたドアラがまっすぐに飛びあがる図が見える
- 271 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 18:54:15 ID:N8Jyjrz50
- http://ex20.2ch.net/test/read.cgi/base/1189605831/384
- 272 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/28(水) 20:10:01 ID:U+26yC2k0
- 梵倉寺wwwwwwww
ドアラは飽きてるけど我慢して座ってるのか、そこは空気読めるんだなwww
- 273 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/29(木) 09:18:56 ID:QmJpmcMD0
- 「まあ、聞きんさい。…その子は学校に上がる前から、住職でもある父親の手で修練を受け、順調に腕を上げていったんじゃがの、その間、寺になかなか次の子供が生まれんかった。
秘術を継承するのがたったひとりでは、そのひとりに何かあったらまずいことになるじゃろ。そこで、その子が数えで十になった年に…、」
前田はチラ、と永川のほうを見た。つられて森野もそちらを見ると、永川はすっかり冷めてしまった紅茶の液面を見つめている。
「…近所の檀家の子供で、その子とも仲がよかったナーを寺で預かり受け、二人目の継承者として育てることにしたんじゃ。
ま、ワシはそのころ、まだ傭兵稼業をしとっての…、留守にしとることも多かったけぇ、後から聞いた話なんじゃが、
ナー、ここまで間違いなんかはないかの」
「はい、まあ、大体…」
細かいことを言えば、別に当時は特別に仲が良かったわけではない。英心が一方的に、永川を子分として気に入っていただけのことだ。
もちろん、仲が悪かったとは言わないが、快活なガキ大将で、悪童という表現がぴったりな英心に「お前来いよ」などと言われれば、大人しくてどちらかといえばマジメな優等生の永川としては、断る術がなかったのである。
だから、二人の仲がまっとうな親友に発展するのは、寺やこの道場で共同生活をするようになった後のことだ…、
しかしそれは話の本筋と関係ないので、永川は前田の問いに対し、ただ静かに、うなずいた。
- 274 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/29(木) 09:20:58 ID:QmJpmcMD0
- 「ナーの両親もな、こいつが図体のでかいわりにおっとりして泣き虫じゃったもんで、寺で鍛えて貰えるなら、ちゅうくらいの気持ちで承諾したと思うんよ。
実際、スラィリーが人里へ降りてくるなんちゅうことは、さっきも言うたが滅多にのうて、次の世代が育つまでのせいぜい三十年ばかしのあいだに、スラィリー折伏を本当に行う機会なんて、一度あるかどうかもわからん。
それに大体、寺の跡継ぎが健在なら、ナーは別に何もすることはないんじゃからの。今時、十まで育った子が、その後若いうちに命を落とすなんちゅう確率は、
そりゃ全くないとは言わんが、戦争にでも巻き込まれん限りは低いじゃろ。普通は、まさか何事かあるとも思わん」
スプーンを手先でぶらぶらさせながら、前田は森野を見た。森野はそれに応え、首を縦に振る。
「しかしのぉ…、そのまさかが、起こったんじゃな」
「…」
永川は黙って下を向いている。前田は永川を気遣うようにその横顔をしばらく見やったが、やがてまた、口を開いた。
「今から五、六年前、そんときは二人ともここで修業しとって、ワシが預かっておったんじゃが、英心の様子がちょいとおかしゅうなっての。
考え事をしよる時間が多くなったんよ、昔なら考えるより前に体が動くような奴じゃったのに。
ただ、それも今にして思えば、ちゅう程度じゃけ、当時はワシもナーも、誰も、特に何も気にすることはなかったんよ。
じゃが、しばらくして突然、あいつは姿を消しよった。その年の秋じゃな、山でスラィリーマスターらしいもんを見た、ちゅう噂が聞こえはじめたんは…」
- 275 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 10:00:23 ID:qnTZJHRX0
- 福原の家は専法寺の檀家らしいね。
永川二岡の家は知らんけど。
リアル三次ローカル情報はさておき
引き続き投下を待つ。
- 276 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 14:17:33 ID:BpdmDo110
- 乙!
話しが佳境に入ってきたケけどドアラちゃんと聞いてるのかな??
- 277 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/29(木) 16:24:18 ID:QmJpmcMD0
- ひと通りのことを喋り終えたらしく、前田は黙った。永川は相変わらず俯いたまま顔を上げない。致し方ないことだと森野は思った、このあたりのことが永川にとって、あまりほじくり返されたくない記憶なのであろうことは容易に想像がつく。
話によれば子供のころから兄弟同然に育てられ、一緒に厳しい修練に耐えてきた、唯一無二の存在であろう友の蒸発、そして、やがて耳に入ったのは、最悪に近い形での消息。
加えて、そのスラィリーマスターの出現により、スラィリーと人間の関係は、にわかに激変してしまった。当然、永川が背負ったものの重さもまた、桁違いに跳ね上がったのだ。
「…ま、そういうわけでだ…、俺はちょっと、死ねない立場になっちゃっててさ…、それにね、もうひとつ理由があって…。
スラィリーマスターってのは、広島の民話やら昔話にはたびたび登場するけど、
実は有史以来、たしかに存在したっていう信頼できる記録は、どこにも残ってないんだ。
古文書の記録が歴史のすべてだなんて、勿論、俺も思わないけど…、あんたもドアラマスターだったらわかるだろ。あれを手なずけるのは、無理だって」
「確かに」
永川の言葉に、森野は確信をもって同意する。
「マスコットマスターにとって一番大切なのはマスコットとの信頼関係だからな。俺はドアラのことしかわからんから、ドアラの例で言うと…、
まず前提としてドアラに好かれやすい、という天性の素質は必要だが、その後マスターと呼ばれるまでになるには、多くの時間を共有しなければならない」
「そうだろ。実際あいつは子供のころから、トンビやら猫やら、動物を手なずけることは異様に上手かったけど、
だからといってそれだけで、そもそもがあんなに凶暴なスラィリーを自在に使役できるほど飼い慣らすなんて、普通はできないはずなんだ。
それがなんで、しかも、何頭も一度に動かすような真似ができるのかって考えると、例の秘術をなんらかの形で使ってる可能性が高いなあ、と」
「ふむ…」
「だとすれば、その術を破れるのは、同じ秘術を覚えさせられた俺しかいないってことになるわけでさ…」
「なるほど…」
- 278 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/29(木) 17:09:48 ID:QmJpmcMD0
- 簡単に決死の覚悟をしてはいけない、それがどれだけ難しいことか、名古屋で幾度も死線をくぐっている森野には理解できる。
しかしそれでも、森野と永川には決定的な違いがある…、誤解を恐れず述べるならば、軍という大きな組織の中で動いている森野が死んでも、代わりがきかないことはない。しかし永川が死んでしまったら、最早代わりは誰もいない。
永川はスラィリーマスターと闘ううえでは不可欠であると同時に、今回での討伐の成否より、誰の命より、何より優先しなければならない心臓と言える存在、
…つまり逆に言えば、永川以外の要素はすべて切り離しのきくトカゲの尻尾でなければならないのだ。
二兎を追えば一兎をも得ず。何を最優先すべきかは常にはっきりしていなければならない。それは古来より兵法の鉄則であり、森野も当然、心得ている。
しかし森野の目に映る永川は、とてもそんなことを自分自身に納得させられそうな男ではない。沈痛な面持ちが如実にそれを物語る。
「まあそういうわけで…、繰り返しになるがの、こいつ自身の望む望まざるに関わらず、場合によってはお前さんを見捨てることになるかもしれん。
じゃけぇ、もう一度、よう考えてほしいんよ。
お前さんにとって、スラィリーマスターを討ち取ることで得られるもんが、それだけの価値を持つんか、どうかを」
- 279 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/29(木) 17:12:33 ID:QmJpmcMD0
- 今日はここまでな感じです。もしかしたら夜来れるかもしれません。
- 280 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 17:23:12 ID:WMNZ56kc0
- 今日も乙です!
______
/ :::::::::::: ヽ
/〜〜〜〜〜〜〜 ヽ とろける食感 コクのある甘さ
/"'==、ハ,==": ::::::::::ヽ お前に言われんでもクリーミィ
/ `=・=` ':-・=' :::::::::::::::::ヽ
/ , ヽ :::::::::::::| 前田のとろとろプリンを ご賞味ください
| `ー´ ::::::::::;::::|
| , -−-、 :::::::::::| 食べてみんさい うまいけん
| ''"'' .....::::::::::::::::::/.
ヽ .....::::::::::::::::::::::::<. 前 田 食 品
- 281 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 17:47:18 ID:bjeNn8o50
- 職人さん乙です!
∧__∧ ∧__∧ ___
〔*-上-〕 (‘ё ’ ) _| CD│
( つ旦O~ O旦と ) (・▲・`)⌒)
と__)__) ┳━┳ (__(_つ uu_)o
- 282 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 20:32:41 ID:3GJFmL3O0
- >>279
乙です
ナも実は飼いならされてるんじゃw
>>280
ちょwwwwシリアスな空気ぶっ飛んだwww自重wwww
- 283 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 20:37:36 ID:80nEH//00
- 挿絵職人も乙
- 284 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 20:42:13 ID:wWEU8DuY0
- >>281
なぜ、上田さんなんだ。
- 285 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 20:54:30 ID:iH9izIyo0
- >>279
乙です!シリアスな展開になってきましたね。
>>280
今さっきプリンの話題してたから吹いたwwwwwwwwwwwwwww
ここにも飲食厳禁の注意書きいるぞw
- 286 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/29(木) 21:25:23 ID:J6UtJ3Yp0
- 最近、毎日帰宅して一番にこのスレ開く
職人さん乙です
トンビエピソードktkr 地味に嬉しいw
- 287 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/29(木) 23:51:35 ID:zPO0pqRHO
- うpしようと思ったら規制wwwwマジがっかりwwwうぇww
寝るwwwww
>>282
その発想はなかった
そのほうが面白かったなあ。思いつかんかった…
- 288 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 00:25:43 ID:upcCyANq0
- _
/〜ヽ ∧__∧::::::
(。`仝´) q(‘ё ’;)::: ・・・
゚し-J゚ ⊂ し):::::
┳━┳ (__(_つ:::::
- 289 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 00:33:06 ID:wfGVf3Wz0
- >>287
規制ですか・・・朝待ってます!
>>282は適当にいったんで作者さんの思いついたまんまでいいですから!!
>>284
キャー上田さんwwが森野の癒しだから・・・チームドアラの相手に疲れたとき上田さんとこにひっつく
>>288
ちょwwwwモレノwww
- 290 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 01:49:15 ID:Kg5xHVsx0
- 386 名前:代打名無し@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 12:21:03 ID:voA1gpCA0
∧,,,∧
( :;@梵@)^)
(つ゚\,、/゚,,
ゞミ゙,、∧,、ミ
ミミ<(・)(・)ゝ , , , これなら落ちないな
ミ/ ( ` ̄ ;;oo;
/´ ̄`ヾ| ̄ ̄`゙`゙ m mn
/η \ヽ VS ) ) | ___,,,,,,,,,,,r───''''" ̄"ヽ
/μ /ミ,,ヽ し し廴,,,___,,,,___ ヽ \
| o ゙゙ ミ ミ} r-──-. `-.○\ ヽ ヽ
|___゙ミ∠,,,) / ̄\|_CD_/  ̄`ヽノ / .|
;;゙``゙` ` ノ l r'~ヽ ゝ__.ノ/~ ヽ l ノ
゙`;;'゙丶、、,,,, ミ | | l´‘ ‥ ’;l U | | ./ ,,,
ミ ミ ミ ミ ゝ::--ゝ,__e_ノヽ--::ノ__,,∠_∩/ |
( ̄ ゙̄ヽ( ̄ ゙̄ヽ  ̄ヾ ,,_,,ゞ,,__,ヽ.___,,____ノ
``~~~′ ``~~~′
- 291 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 02:44:52 ID:481zZejz0
- 規制解除されるまで続編は無理ってことか?そんな…
>>288
wwwwwww
- 292 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 09:32:22 ID:zIpyyd6yO
- tanisige
- 293 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/30(金) 09:56:00 ID:545PHURa0
- 先ほど山崎とふざけていた時とは別人のような強い眼力で、前田は森野を見つめた。しかしその威圧感に臆することなく、森野は一言、短く答える。
「故郷の大事」
それはとても静かな、しかしきっぱりとした口調だった。
「名古屋防衛軍に志願しましたその日から、覚悟はとうに決めてあります。今は名古屋の存亡が懸かる一大事。この命など天秤にかける所以もない」
有無を言わさぬ雰囲気に、前田は、ふーむ、と嘆息した。
「…戦場に立たず畳に座してなお、その眼か…、」
それはかつて、前田が共に戦場を駆けた幾多の戦友たちの眼だ。前田の記憶に残る彼らはみな一様にその眼をしていた。
昨日の友は今日の敵、所詮は金と打算で動く傭兵の前田には到底真似のできない瞳の色をして、彼らは信ずるもののため死んでいった。
それがどこか羨ましいような気さえしながら、自分にはきっと一生理解し得ない境地だろう、と思うことで前田は戦場を生き抜いてきた、
もちろん一線を退いてからも、弟子たちにそんな教育はしていない。
しかし、この森野の瞳に、前田はふと、また昔日のように自分が魅入られそうになるのを感じた…、それは夕刻の迫る強い日差しのような眩しさ、
このとき森野の隣に座ったドアラが器用にも姿勢を正したまま居眠りしているのがもしも視界の隅に入らなければ、前田はそのまま森野に多少なりとも共感を覚えていたかもしれない。
やれやれ、これだから軍人って奴は厄介なんじゃ、と前田は胸中で悪態をついた。
「…わかった、もうええ、ワシは何も言わん。さすがは難攻不落の名古屋防衛軍じゃの、うちのひよっ子どもとは、肝から違うわ」
前田は両目をつぶってかぶりを振った。これ以上感化される訳にはいかない。彼らは違う世界の住人。影響を受ければ火傷をするだけ、そんな事は随分前からわかりきっていることなのだから。
そんな前田の胸中を知らず森野は前田の言葉に恐縮し、しかし同時に、前田が自分と同じ価値観を持たないことを、敏感に感じ取ったのだった。
- 294 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/30(金) 11:00:41 ID:545PHURa0
- >>288
ちょwww
>>289
いえいえ、読む人の数だけ視点があるな、と思っただけのことなんで、気にしないで。
感想から予定になかったイメージが膨らむことだってあります。
逆もありますがw
>>291
規制されたのは自宅ですんで今日の日中は問題ないですが、その間に解除されなければ週末はうpできないっすね。
楽しみにしていただいてるのに申し訳ないですが、こればっかりはどうにも…。
>>292
話に登場させたくなったwどうしてくれるww
- 295 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 11:20:42 ID:pJXDPWqr0
- ドアラ寝てたのかw
- 296 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 12:14:50 ID:upcCyANq0
- ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵|::::::::: :::::::::::::
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴|::::: ____ :::::::::::::::
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵| /∵∴∵∴\ :::::::::::::::::
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴| /∵/∴∵\∵\
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵|/∵ <O>∴∴.<O>| 既に>>294も覗かれている
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴||∵∵ / ○\ ∵| 期待に満ちた目で
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵||∵∴/三 | 三|∵| tanisigeが>>294を見ている
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴||∵;;| _|_, |∵|
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵|\__| === |/
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴| /\___/\
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵|∴ ====( i)== ∴;\
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴|∴∴ / ヽ∴∴|
- 297 :代打名無し@実況は実況板で:2007/11/30(金) 13:32:02 ID:JC71PHH0O
- 話に出て来ないと思ったらドアラwwwwww
>>296
………ウギャァァア!!
- 298 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/30(金) 15:08:45 ID:545PHURa0
- 「さて、これでやっと、最初の話に戻れることになりますけども…、」
突然横から聞こえてきた永川のその言葉に、前田と森野ははっとして振り向いた。
当人たちにしかわからない一瞬の視線の攻防があった、どうもそのあたりから永川の存在は二人の意識から追い出されていた…、
もっとわかりやすく言うならば、永川はこの一瞬の間に、二人から忘れ去られていたらしかった。
「…お師匠さんも、そんな驚いた顔しなくてもいいじゃないですか。次に話したいのは、組んでどうするのかってことです」
「そ、そうじゃな。まずは、ナー、お前の考えから聞かせてみい」
「まあ、相手は英心ですから…、俺の手の内は知っています。でも彼らの力量は知らないわけで、そこを利用したいと」
「ふむ」
「これまでの調べでわかっていることは…、英心は川沿いの崖の下を中心にして、半径3キロ程度の結界というか、
警戒線を張ってるってことだ。これはかなり半径が広いから、実際接触しても弾き返されたり怪我をしたりはしないだろうけど、
おそらく、破られたことが英心にはすぐに察知できる仕組みになってると思うわけ」
「まあ、それじゃわからんじゃろ、ほれ」
永川が机の上に指で線を描きながら森野に向かって説明を始めたのを見て、前田は自分の背後、電話の横に置いてあった鉛筆とメモを取って渡した。
「ありがとうございます。ええと、まず外側の円があって、これが3キロ、と。それで、その奥に、さらに結界がある。
これは実際に見たわけじゃないからはっきりした半径はわからん、1キロはないと思うけど…、そのかわり、おそらく相当の衝撃に耐える」
「…その間には、何もないのか?」
「ないといえばないけど、スラィリーが多数、放し飼いされてる。英心が命令すれば…、いや、しなくても、近づけば一斉に襲ってくるだろうね」
「なるほどな」
- 299 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/30(金) 15:51:20 ID:545PHURa0
- 「で、この両方の円の中心になる位置にちょっと広い洞穴があるから、ヤツはそこを根城にしてるだろう。
大まかな構造はこれで間違いないと思うけど…、念のために、決行直前にできるだけ偵察はしておきたいと思ってる。
…といっても俺はそういうの苦手だから、そのへんは得意な人に頼むことになるけど」
「得意な人、のぉ…」
前田が意味ありげにつぶやく。森野はそれが少し気になったが、永川が構わず話を続けるようとするので、ひとまず置くことにした。
「この構造を踏まえてどうしたいかというと、余計なスラィリーは極力相手にしたくないから、警戒線を破って向こうに感づかれることを避けたい」
「それはそうだが、破らなければ、近づけないのでは?」
「そう、だから今まで攻めあぐねてきたんだけど、そこはほら、あんたの出番」
「???」
永川の言うことが理解できず、森野は目をぱちくりさせる。
- 300 : ◆4P6Fp0aKPs :2007/11/30(金) 15:52:30 ID:545PHURa0
- 「あんたの評判は聞いてるぞ。竹槍で戦闘機も落とすっていう。戦闘機が落とせるなら有効射程は10キロ以上だろ、
それだけの威力があれば、警戒線を破るとほぼ同時に内側の結界も破ることができるはずだ。
新たに結界を張るにはそれなりの準備が必要だから、一度破られればすぐには修復できない、
おまけにあいつは結界張りとかそういうチマチマした作業はヘタだし、手早くやっても10分以上はかかるはず、その間に全速力で接近して…、」
「ナー、こら、ちょっと待て」
熱を帯びた口調で喋る永川を、横から前田が制した。
「なんでしょうか」
「演説中悪いがの、竹槍で戦闘機を落とすなんちゅう真似は、人間にはどだい無理ではないんか、とワシは思うわけなんじゃが」
「でも、彼が気の力をうまく使えているのなら」
「仮にそんでも無理じゃないんかと思うんじゃが、まあ、本人に訊くんが早かろ。どうなん、そこらへん」
「いやあ、それは」
前田の懐疑的な視線と永川の期待のこもった視線を適当にかわし、森野は答えた。
「無理ですね」