永遠なんて言葉は嫌い。そんなありえないものに憧憬を抱くなんて無駄なこと。 休みの日に先生の家でそう言ったとき、先生は困った顔をした。 「乙女心の欠片もないんですか、貴女は」 って。 「ま、そこが貴女のいいところでもあるんですけどね。見た目は甘いのに実は甘くない」 「でも先生は甘いですよね」 「だから、先生、はナシです」 「じゃあ先生もその言葉遣いはナシです」 「僕の場合これがデフォルトですから」 「えっちのときはちがうのに?」 ハッキリ言ってやると、先生は一瞬、お、といったような表情をして、 「僕理性飛んでるんで解りませんね」 って、はぐらかす。 私が先生と付き合い始めて1ヶ月。相変わらずこんな調子だ。 私が冷めた発言や熱っぽい発言で先生を振り回しつつ、時にはその逆も。 会話だけ見ると甘くないかもしれないが、私たちにとっては貴重な甘い時間だった。 普段人目につくデートなどできないだけに、大抵私が先生のマンションに行くか、それか…たまに気分を変えるという意味で、夜はホテルに行ったりする。 ひなせも最初は私の変化に戸惑っていたみたいだけど、今は笑顔で私を送ってくれる。 「そういえば妹さんにずいぶん妬かれてるみたいですけど、僕」 「そんなことないです。今は笑って見送ってくれますから」 「いえ、教室にいるときの目が痛いんですよ…」 苦笑する先生。その苦笑さえも綺麗だった。 私が入学してすぐ、藤沢先生と出会ったときのことを思い出す。そのときも、こんな感じで苦笑していたっけ。 「遠野さん、ちょっとこれ、教室に持って行ってもらえます?」 廊下を歩いていたら、すごく綺麗な男の人に呼ばれた。しわひとつない白衣に紺のチェックのネクタイを少しゆるめに結んでいる、ちょっとアンバランスな身なりだったけれど、とても整った、落ち着いた顔立ちのひとだった。金縁のメガネも良く似合っていて。 でも入学したてだったから、私はこのひとが誰なのか知らなかった。 「……?」 きょとんとする私に、その男の人は、一瞬「しまった」とでも言うような顔をして。 「もしかして、遠野…ひなたさんのほうですか?」 と、差し出してきた物理の教科書と指導用ノートをひっこめた。 「はい」 「すみません。うちのクラスの遠野さんに双子のお姉さんがいるとは聞いていましたが、まさかここまで似てるとは思いませんでした」 「いえ、そんな気にしないで下さい」 それが、私と先生の最初の出会い。 そういえば私が生徒会に入ったのだって、先生をもっと知りたいと思ったから、そんなあまりにも単純で不純な理由だった。 でも単純で不純なりに、一生懸命に与えられた仕事をこなし、夏の合宿で先生と一気に仲良くなったんだ。 夏の合宿。あれからもうすぐ1年になるわけだ。 「……知」 そっと、先生の名前を口にする。「先生」と呼ぶのはいつものことだけど、「知」と呼ぶのはまだ恥ずかしい。 「何?」 先生――知の口調も、変わる。 「合宿のとき、襲わないでよ」 「……さぁ?」 なんてとぼけながら、先生は私の肩を抱き寄せる。 頬に触れる先生の指は骨ばっていてごつごつしてるけど、綺麗な形で、冷たそうなのにむしろあたたかい。もっと、触れていて。知。 私の願いが通じたのかはわからないけれど、先生はそのまま私をその両腕におさめる。 「あったかい」 「僕もです」 いつもの冷静な口調はそのままに、響きだけが甘くなった声。 ああ、やっぱり私は先生が好きだ。私も先生のからだに腕を回し、しがみつく。 「ひなた、好きですよ」 「……私も」 離れたくない。ずっとずっと。 この胸がぎゅっと締め付けられる感じをずっと味わっていたい。 「ひなた。ひとつ聞きますけど、合宿でしたくないって言っておきながらこの前学校でしたのは何だったんですか?」 「……だって知が誘うから」 「じゃあ僕が誘えば、いいんですね?」 「何言って」 先生の唇が、私の唇をふさぐ。でも乱暴にじゃない。優しく。奪うんじゃなく逆に与えてくれるような、恋人同士のキスだ。 「……いい?」 ゾクゾクした。先生が、先生でなくなる瞬間がきた。 返事の代わりに、私は先生のネクタイをそっと緩める。先生が私の身体をベッドに押し付けるように、押し倒した。 先生は、全然こういうことに興味なさそうだけれど、実は全然そんなことはなかった。むしろ私が恥ずかしがるようなことをするのが好きみたいだった。 でも、私のことを本当に大切にしてくれてる、それは間違いなかった。 「だってひなた、壊れそうだから」 言いながら、先生は私の体のすみずみまでキスを落とす。 でも先生の言うことは事実、かもしれない。 もともと背が低く、細身で華奢だと(友達に)言われる私と、長身でほどよく筋肉のついた先生だ。私からすると先生の何もかもが大きくて、時々自分が壊れてしまうのではないかと思うほどだ。 壊れてしまうのが怖い、でも、壊して欲しい。 私はそれを先生にこっそり耳打ちしてみた。 先生が驚いた表情で私を見つめてくる。うなずくと、 「いいよ」 って、何か企むような表情で微笑み、明かりをつけた。 「え、さと……」 「だって、恥ずかしいことしてほしいんでしょう?」 「でも、そんな」 「ひなたが言い出したんだから。僕の言うこと聞いて」 手首を頭のうえで押さえつけられる。動けない。 「どう?」 「どうって、わかんない……」 わかんない、というより正直怖かった。でも怖いといえば知はきっとやめてしまうだろう。そんなの、嫌だ。 「わかんない、か」 床にぐちゃぐちゃになって落ちた私たちの服の中から、私の制服のリボンを取り出す先生。まさか、これって。 手首にするりとした柔らかいリボンの感触。それがかたく結ばれた。 ベッドの上にまで結び付けられて、身動きが取れない。 「や、知、動けない」 「動けないと、恥ずかしいこといっぱいできるから」 痛いぐらい両方の胸を掴まれた。 「いたぁ……」 「すぐよくなる」 知は嫌がる私に見向きもしないで、私の胸を弄び続ける。そのうち先生の言葉は真実だったと身体で知ることになる。 ゾクゾクする。先生にはどうしても抗えない。壊される。崩れていく。 胸を揉みほぐされながら首筋にキスを落とされただけで、大きな声が喉から零れた。 「あ……ッ」 「でしょう?」 先生の唇が首筋から胸へ、私の脇腹へ、と、ゆっくり落ちてくる。時折いたずらな舌が私の身体をちろりと這うのが、たまらない。 膝を折られ、そのまま大きく開かされた。そうしないと先生を受け入れることはできないのだけれど、今回はいつもと違う。 先生は私の中に入ってこようとしていないのだから。むしろ私のそこを見て楽しんでいるみたい。 「すっげ、綺麗。このままスケッチしてもいい?」 「やだ……それやだぁ」 じっくりと見られたことなんてなくて、恥ずかしくて。私は半分泣きそうな状態。もしかしたら知は私を泣かせてみたいのかもしれない。 「だって色も形も、完璧。ほら、なんか溢れてるし」 じっとりと柔らかく濡れたものがそこを捕らえ、入口のあたりから私の一番気持ちいいところへと這っていく。 「思った通り。すっげ甘い」 見られるだけでも恥ずかしい、それは付き合い始めて1ヶ月経っても変わらない。しかもこんな明るいところで見られるのは初めてなのだ。見られるだけでなく、更にそこを舌で弄ばれるなんて。 知が私のそこを吸い上げると、吸われた分以上に溢れ出してくる。 次第に例の水音は大きくなって、柔らかいタッチでつぼみを噛まれると反射的に涙と蜜のようなものがどっと溢れた。 「んぁぁ!!知ぅ……」 「可愛い。もっとしていい?」 「やだ、変になりそ……」 「なればいいのに」 じゅる、ぐちゅ。それこそ、成人指定の漫画にでも出てきそうな音だ。 押さえつけられた脚をどうにかしたいけどできない。だって私は自由を奪われているのだから。 知の思うがまま。知の玩具に。……それでもいい。 「ひなた」 知が私のそこから唇を離した。 「俺のも、できる?……いや、やっぱりして」 口調が変わった。これは知が完全に理性を失った合図でもある。私の口元に先生の大きなものが突きつけられる。私の想像以上にそれは大きくてグロテスクなもので、繊細な知の表情や身体の他の部位とは全く別物に感じた。 でも、これも私の好きな知の一部なのだ。 「強制?」 「強制!」 半端に口を開いたのを狙われた。強引に口の中に押し込まれる。 知のものは大きすぎて、私にはちょっと、いやかなり苦しい。 「苦しくない?」 知が腰を引いた。理性を失っていても私への優しさだけは変わらないのだ。 「ん……ちょっとだけ」 「じゃあちょっとずつ……ここのところ、舐めてみて」 言われるままに、先端の赤黒いところに舌を這わせる。もっとごつごつしたものかと思ったけれど実際にはそんなことはなく、むしろ滑らかと言ったほうが正しいような気がした。 「知、なんかぬるぬるしてる」 「ひなた、巧いから……」 少しずつ、少しずつ口の中にそれを収めていく。大好きな知の一部なのだから、抵抗感はまったくなかった。でもやっぱり、全部咥えこもうとするとのどにつっかえてしまう。 「んぐ……っ」 吐き気がこみ上げてくると、知は「無理しないで」なんて言いながらまた腰を引く。 「いいの……」 「ひなた、これ、好き?」 うなずいて、また全部咥えこもうとする。無理だと判断したところで戻る。そうやって頭を上下させると、知のモノがピクンと跳ねた。 「もう少し、舌使ってみて」 知の声が、いつもとは明らかに異質なものになってきた。そう、私が知を逆に犯しているような。 頭の上下のスピードを速め、さらに知のモノに舌を絡めてみる。きっとこうすればいいんだと思う。 「そう、そうやって……ああ、やっぱりもういいよ」 「なんで?」 「コッチのが、欲しい」 「ちょっと、何言って……」 反論する余裕は与えてもらえなかった。膝が胸につくほどに高く折られ、さらに知を受け入れるために大きく開かされる。 「もっと濡れてる。俺の、してるうちに欲しくなったんでしょう」 耳に吹き込まれる低音に身体が震えた。ぶるっと。 「いいよ。たくさんあげるから……!」 「いやあぁぁ!」 知に貫かれる感触には未だに慣れない。一瞬体が引き裂かれそうな錯覚に陥るのだけれど、それは痛みじゃなく快楽で。 「うわ……そんなに欲しかった?」 「ほしかったのぉ……んぅ……」 私は怯えた仔犬みたいに、ぎゅっとシーツをつかもうとする。でもそれは縛られた手ではかなわないこと。手を動かそうとするとぎりっと手首が締まって痛い。 「遠慮しないよ。俺も欲しかったから」 ぐっとからだの奥をえぐられる感覚。ちょっと痛いけど、それ以上に、気持ちよかった。知のものは大きいから受け入れるのが大変だけど、一度受け入れてしまえばしっくりとなじんでしまう。知に言わせれば、「私が吸いついて離れようとしない」らしいけど。 「ああ、ああ……ッ」 遠慮なく突き上げられて、そのリズムと一緒に恥ずかしい声が出てしまう。まだこの声を聞かれるのは恥ずかしいけど、でも、恥ずかしさでいっそう気持ちよくなってる自分がいる。 「すごい、ひなた……いつもより濡れてる」 そういう知のも、いつもより大きい。そういえば私、知のを口でしたのって初めてかもしれない。 「だって、知がぁ……んは、は、ぁ……」 「俺が何?」 いつになく知の動きは性急なものだった。いつものように私が嫌がると止める、そんな感じは微塵もない。 「なにって、こんなぁ」 「ホントは……全身縛っても、よかったんだけど」 その言葉に、身体の奥から熱いものが一気に溢れ出した。どうしてなのかはわからないけど。全身縛られるなんて、怖いし恥ずかしいのに。 「いやぁ、はなして、ぁう、怖いよぉ」 「嫌だ」 知が怖い、初めてそう思った。でも同時に、こんな知を見るのは初めてだったから嬉しい。そうやってもっと壊してほしい。心からそう思った。私ももっと壊れたい。 「わたしも、ぁ、これじゃいやぁ……足りないの、もっとぉ……」 「もっと?」 意味ありげな微笑を私に向け、更に知の動きが激しくなる。 「ああぁ、あっ……は、はぁ、ぁ」 声なんてもう出なかった。全身が震えて怖いけど、知なら。 それにされるがままなんて、知だってつまんないに決まってる。 私ももっと、欲しい。 ちょっと難しいけど、知の動きにあわせて頑張って腰を動かしてみた。無意識ではしていたのかもしれないけど、意識してこんなことするの初めてだ。 何処が気持ちいいのか探り当てる。ここだ、と思うところに知のものをこすりつける。知の熱も脈動も直接伝わってくるから、いつものなんて目じゃないぐらい気持ちいい。 「なんか、いつものひなたじゃない」 「ひああぁ、だって、さとるが、こんなぁ……」 縛られた手首がぎりぎりと軋む。私の濡れそぼったそこが知のものを追い出そうとするかのようにしめつける。 「馬鹿っ、そんな締めんな」 「わたし、わるくない……っ、あ、もう……」 知を求めすぎて腰を動かし、私のほうが先に限界を迎えてしまいそうだ。 「もう、何?」 言わせようとしてるんだ。 「も、私、いっちゃうよぉ……」 もはや声にならず、吐息で喋っているような感じだ。もう声なんて出せない。 「俺も。いくよ?」 「きて、あ、あうぅ、そう、このまま、あ、ああああぁぁぁっ!!」 ありったけの声を出し、知と私の間に隙間がないほどぐっとしがみつく。程なく待っていた感覚が訪れた。 私の中に注がれる熱い粘液、そしてそれを必死に受け止めようと収縮する私の中。身体がばらばらになってしまいそうなほどの強い快楽。 かろうじて、意識は保つことができた。でも一歩踏み込んで耐えないと、いつ意識が飛んでもおかしくなかった。 ――お姉ちゃんがいない時間を狙ってよかった。 宅配便の配達員に代引き料金を支払い、ちょっと大きめの荷物を受け取る。 そしてもう一度、誰も周りにいないことを確かめ――もっとも、この広い家で暮らすのはあたしとお姉ちゃんだけだから誰もいないのは確かだけれど――あたしは部屋に入り、荷物を開けた。 「お姉ちゃんが悪いんだ」 言いながら、丁寧に包まれたその箱から注文したものを出す。 男性のとても口に出してはいえない部分をかたどった玩具と、ピンク色のころんとした玩具、そして避妊具。 それは、お姉ちゃんのいない時間を埋めるためのものたち。 ちょうどシャワーから出てきたところだったから、一度は着たお姉ちゃんとおそろいのパジャマを脱ぎ捨てた。 お姉ちゃんと同じ姿形をしたあたしの裸身が鏡に映る。体型の割に大きな胸でいつも服をもてあましているのはあたしもお姉ちゃんも一緒。 ただあたしと違うのはお姉ちゃんの身体には藤沢先生につけられた所有の証がついていること。 ――お姉ちゃんはどんな風に先生に抱かれるんだろう。 自分を鏡に映したままで、身体のあちこちに触れる。これはたまにしていたことだけれど、いつもと違うのは声を殺さなくてもいいこと、玩具で自分の身体に触れていること。 「っは、は、……ぁう」 「声出すと……まずいぞ?」 お姉ちゃんの甘い声。すごく気持ちよさそうだった。 それを思い出しながら、鏡の前にもかかわらず両脚を大きく開いた。 卵形のオモチャで、一番気持ちいいところを存分にかわいがる。 「っ、あ、おねえちゃ……ん」 お姉ちゃんが先生の愛撫に合わせて身体をくねらせているのを想像する。それだけで身体の奥から何かが溢れてくる。 あたしのベッドはいつになくじっとりと湿っていた。 「やだ……こんな」 初めてだった。自分の気持ちに気づいてしまったら身体まで正直になってしまったみたいだった。 もちろん、濡れてるのはシーツだけじゃない。あたしの脚の間もすっかりぬかるんでいた。 もう、十分だよね。 そう思って、ちょっと大きめのバイブレーターを手に取り、一瞬の躊躇いはあったけど、それを押しきって自分の身体の中に少しずつ埋め込んでいく。 「っ……」 声を殺す必要なんてないのに。ネットで調べたら「一般的な男性のサイズ」らしいけど、あたしにはちょっと大きかったかもしれない。 それでもあたしのそこはもうドロドロにとろけきっていたから、多少苦しい感じはあっても痛みは感じない。お姉ちゃんが先生を受け入れるときもこんな感じなんだろうか。 先生にその身体を突き上げられて泣き叫ぶお姉ちゃん。すごく綺麗。 「あうっ、ん、うぅ……」 やっぱり身体に馴染むのにはまだ時間がかかるみたいだった。どうせなら一気に馴染ませてやろう、お姉ちゃんの身体がそうであるように。 スイッチをスライドさせると、身体の中を大きな塊がぐるぐるとかき回していく。 「きゃ……!な、これ……!」 すぐに止めようと思ったけどできなかった。いきなり強くしすぎたみたいで少し痛かったけれど、それは遠慮せずに私のそこをぐちゃぐちゃとかき混ぜていくから、否応なく体が慣れていく。それに私の中が吸い付いていくような。 「んあ……」 声も、本当に自分のものかと疑うぐらい甘いものが出てくる。あたし、こんな声出せるんだ。お姉ちゃんみたいな声……。 「ふぁ、あ、お、おねえちゃ……ぁん」 それがあたしの中の一番気持ちいいところをこすり上げるたびに身体が勝手にビクビクと震える。人じゃなく機械だから容赦なんてない。自分で弱くしようと思っているつもりでも、スイッチは逆に強くなるほうにスライドされていく。 あたし、欲しがってるんだ。 やがて回転運動だけでは物足りなくなり、あたしは自分からそれを突き上げるように動かし始めた。 かき混ぜられながら突き上げられる。この感覚、初めてだ。 「ぁう、やだ、やだぁぁ!」 やだなんて言いながらもあたしの右手は更に激しくそれを動かしている。いやじゃないのだ、もっとほしがっているのだ。 手に何か生暖かい液体がかかった、と同時にあたしの快感が爆発する。 「おねえちゃん……」 できるなら、お姉ちゃんをここまで気持ちよくしてあげたい。先生になんかできない方法で。大好きなお姉ちゃん、先生に渡したくない。お姉ちゃんはあたしのお姉ちゃんなんだから。 後始末をするのは少し虚しいものがあったけれど、でもこれでお姉ちゃんを気持ちよくしてあげるっていうのを考えたら、そういう虚しさは全部吹っ飛んでいった。 ――待っててね、お姉ちゃん。 鏡の向こうのあたしの目は爛々と輝いていた。 ←back next→ |