「シャマル、匂いが甘い。うざい。」 そう憎まれ口を叩きながらも、 ハヤトは膝の上に乗って俺の胸に顔を埋めた。 そんな彼からは容姿に似つかわしくない煙草の匂いがする。 パソコンで仕事をしている俺には そんなに小さくもないハヤトは正直言って邪魔だったけれど、 視界の邪魔にはならなかったし腕を動かすことには不自由しないので ため息をつくだけで好きなようにさせておく。 柔らかい髪の毛が露出している首筋に当たって、たまにくすぐったい。 当たる髪の毛だけ掬って、 指に絡ませるように遊んでいると案外面白かった。 「シャマル、」 ハヤトが喋るたび胸元に息がかかる。 「ん?」 扱いが難しいそれを怒らせないように 猫なで声を出すと、またそれきり黙りこむ。 ガキの頃からそうだった。 何か嫌なことがあったりさみしかったりすると、人の上にただ座って喋らない。 そのくせ構わないとさらに機嫌が悪くなって大変だった。 その癖がこんな大きくなった今でも治ってないんだから、困ったもんだ。 だけどそれを甘やかしてる自分も自分だ。 結局は楽しいのだ。かわいくて仕方がない奴が自分にしか甘えないことが。 ぷち、と着ているシャツのボタンをハヤトが緩慢な動作で外した。 オジサン仕事が残ってるからそんな盛られても困るよー、 と頭では色々と言いつつも止めはしない。ただキーボードを打つ手は休めないけれど。 ぷち、ともうひとつ外したかと思うと今度は外したボタンを付け始めた。 意味がわからない。 ふっと小さく笑って、ずっと髪の毛をいじっていた手で頭をゆっくりと撫でた。シュガーシュガー
ぺろりとハヤトが首元を舐めた。 いやそんなことされたらオジサンが盛っちゃうよ。