079:ソックス[ジン+シオン+アレン]
※074パジャマの続きです。
「主任、本当にごめんなさい」
赤く腫れた頬を冷やしながらアレンは謝罪の言葉を口にした。
「すみませんね、シオン。まさかこんなことになるとは」
ジンも妹にすまなさそうに謝った。
シオンは大きくため息をつく。
「まったく、呆れたわ。Jr.君も謝っていた。結局Jr.君に押し切られたのね」
「まあ、そうなんですが、全面的に私の責任です。このムービーはですね、私がすでに家を離れて暮らしていたときに、父さんが送ってくれたんですよ」
「知らなかったわ。でも、そんなものエルザに持ち込まないでよね」
「ええ……。これだけは何故か手元に置いておきたくて。まさかあなたまでエルザ乗り込むことになるとは思っていませんでしたから」
ジンは照れくさそうに微笑んだ。
「でも、主任はお兄さんに愛されていますね」
「なによ、アレン君まで」
そう口を尖らせアレンを睨むが、さほど嫌そうではない。
ジンがぽつりと言う。
「たまに家へ帰るとですね、小さなシオンがよく靴下を私のところへ持ってくるんですよ。無言で手渡すのですが、履かせて欲しい……ってことなんですね」
「それ、何となく覚えているわ」
「でも……おや? あのムービーより大きくなったときもでしたね。あんなにちゃんとパジャマを一人で着ることができたのに」
「あ……」
シオンとジンは同時に気が付き、顔を見合わせた。
シオンは、顔を赤らめ「もう、兄さんったら、変なこと言わないでよね」と立ち上がった。
「あ、すみませんシオン」
ジンはまたまた謝るはめになる。
そこへ何もピンときていないアレンが二人の顔を交互に覗き込んで、困ったように笑った。