019:イエー!!![Jr.+モモ+シオン]
「帰ったらパーティーしようぜ!」
それが戦闘終了時におけるJr.の決め台詞だった。
実は、その台詞の内容について誰も意味があるとは思っていない。何しろノリで発している台詞としか思えない。だから、誰もパーティが開かれる可能性について考えたこともなかったのだ。
だが、Jr.は本気だった。
あれだけ、「パーティしようぜ!」と呼びかけているのに、何故皆乗ってこないのだろうか。
かといって今更、真顔で「パーティーしませんか」などと聞けない。
クーカイファンデーションのチビ旦那として、仕事上のおつきあいパーティに出席できないわけではない。だが、Jr.はそんなパーティは願い下げだと思う。
あんなものガイナンに任せておけば十分だ。
「Jr.さん、どうしたんですか? なんか元気無いですよー」
モモが、ひょこっと身体を前に乗り出して、Jr.の顔をのぞき込んだ。
「ああ、モモか。別に何でもねーよ」
「そうですか? 本当に?」
「心配するなって」
Jr.は笑った。
「あのー、今日の戦いが終わったときですけど……」
Jr.が顔を上げた。
いいぜ、モモ。そうだ、戦い終了時のことだ。
このまま一気にパーティの話題に突入できそうな展開に、Jr.は思わず身を乗り出した。
「で、どうかしたのか? モモ」
「えーとですね、シオンさんジンさんに『帰ったら修行です』なーんて言われてました。でも、ジンさんすごくシオンさんのこと心配していて、お兄さんがいるのが、モモうらやましかったです」
Jr.はがっくし肩を落とす。
「どうしたんですか? Jr.さん、モモなんか変なこと言いました?」
「いや、なんでもないぜ、モモ。モモはいい子だなー」
Jr.は「あはは……」と乾いた声で笑った。
「あ、いたいた、Jr.くん」
声をかけてきたのは、シオンだった。
「なんだ、シオンか」
シオンはにっこり笑って言った。
「主役がどこ行っちゃったのかと思ったわ」
「主役? なんだそりゃ」
「パーティの主役よ。Jr.くん誕生日でしょう。ガイナンさんが出航する前にこっそり、耳打ちしてくれたの。エルザで祝ってやってくれって。プレゼントも預かっているわ。アレンくんも、ジギーも、モモちゃんも、Jr.くんに気づかれないように色々準備手伝ってくれたのよ」
誕生日……。
すっかり忘れていた。
しばし、呆気にとられていた。
そんなJr.の手を掴んでモモは引きずっていった。
「行きましょう、Jr.さん」
ドアが開く。
一斉にクラッカーが鳴り響いた。
「ハッピーバースデー、Jr.」