262:ハイウェイ [Jr.+ジギー]
「ハンドルを持つと性格が変わる奴ってたまにいるけどよ、まさかモモがそうだとは知らなかったぜ」
「あれには俺も驚いた」
モモをシェリィに預けJr.とジギーは一息ついていた。モモは明日、U.M.N.管理センターで解析されることになる。
ミルチア宙港へと降り、リムジンに乗り込んだJr.たちはU-TIC機関のまわしものらしきA.M.W.S.に追いかけ回され散々な目に遭った。
オートでは振り切れない。
そのとき、自ら進んでモモがハンドルを握った。オートの時とは比較にならない速度とキレでハイウェイを吹っ飛ぶリムジン。
あの時は無我夢中だったからどうとも億も和無かったが、よくよく考えてみれば普通じゃないかもしれない。今時、オートで事足りるのだから運転テクニックを磨く奴などよほどのマニアかスピード狂だ。
「モモは百式プロトタイプですから」
とにっこり笑ったが、そりゃ関係ねーだろーとJr.は思う。
なんせ、ハンドルを握っていたときのあの嬉々としたした表情は、ほんと楽しくて楽しくて仕方ないって顔だった。
「意外な一面だよなぁ。レアリエンは人間に負けず劣らず複雑なものだ。いや、レアリエンとか人間とか言う前に女か」
頬杖をついてため息をつくJr.にジギーは微かに笑う。
「意外か。それは、変だな」
「変って、何がだよ。おっさん、あのモモは意外じゃなかったのか? 驚いたって言っていただろう」
「驚いたが意外とは思わなかった。『意外な』ということは、意外ではない、元々モモとはこういう女の子だという基本のイメージを持っているということだ」
Jr.は腕を組んで難しい顔をした。
少なくてもサクラはハンドルを握らない。
モモとサクラは違う。それを誰よりも理解しているつもりだった。でも、無意識のうちにサクラと重ねていた。モモと知り合ってからさほど長くはないから、知ったつもりになっているだけなのだ。
「ちっ、やなこと言うおっさんだぜ」
Jr.は舌打ちをして持ち上げた腕を後頭部で組んだ。
短いな(笑)
にしても、モモのスピード狂設定はEP2以降も…生かし切れていませんでしたね。面白いのに。