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123:時間[ジギー+モモ]
※XenosagaPiedPiperネタ少し入ります。
記憶はどこにあるのだろう
そして、忘却は?
「ヴォイジャーーッ!!」
絶叫した。
父さんは何の為に死んだのか。
市民の安全の為、使命を果たすためだったのだと母は言った。
父の顔は思い出せなかった。
いつも家にいない人だったから。
今は、母の顔も思い出せない。
妻シャロンの顔も、息子ホアキンの顔も。
時間と共に思い出は断片化し、破損していく。破損した記憶がノイズとなり、ジギーを苦しめた。
記憶断片させ消去してしまえば、完全にヒトではないサイボーグとして生きられる。
ただの道具になりたかった。
今の自分は何の為に死ぬことが許されないのか。
それに、どのような意味があるのか。
シャロンとホアキンのいない世界なんて、どのような価値があるというのだろうか。
――……ギー、ジギー
呼ぶ声が聞こえた。
うっすらと目を開けば、覗き込む桃色の瞳が目に入った。
「モモ……か」
「はい、調整は終わりましたよ。ジギー、眠っていましたね。疲れていたのですか?」
「いや、気持ちよかったのだろう」
ジギーは調整用のチェアからゆっくりと体を起こした。
「それはよかったです」
モモは満面に笑みを浮かべた。
その屈託のない笑顔にジギーは、しばしみとれる。じんわりと暖かいものがゆっくりと胸を満たしていった。
長い時間の中風化し色褪せていった幸せの記憶が――ホアキンとシャロンの笑顔がはっきりと蘇った瞬間だった、
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