125:飲む[オールキャラ]
「当然、ケーキに合わせるとしたら、紅茶だろう。この芳醇でふくよかな香り……」
紅茶を一口含み、目を閉じうっとりと呟くいい年した男。優男風の美青年であるギブソンが言うから様になっているといえば様になっている。
甘い物好きということで、ギブソンと意気投合したルウがうんうんとにこにこ笑って頷いていた。
「紅茶には、ブランデーよね」
と、ミモザがブランデーのボトルを取り出しカップにドボドボと注いだ。
「何をするんだ? 紅茶のせっかくの香りが飛んでしまうではないか」
ギブソンが慌ててボトルを取り上げる。
「飲むといったら、俺様はコーヒーだったな。署の不味いコーヒーがなつかしぜ」
そう言いながらも、レナードは紅茶をおいしそうに飲んでいた。
「おかわりはいかがですか?」
ギブソンのカップが空になっていることに気が付いて、アメルはポットを手に取る。黙ってカップを差し出すギブソンにコポコポと注いだ。
「ありがとう」
「どういたしまして。ギブソンさんのおかげで、紅茶がとても好きになりました。私の育った村では、庭にできたハーブをお茶にして飲んでいました。だから、紅茶はほとんど飲んだことなくて」
ずずずず……。
その誇示するような茶をするる音に、視線が一斉に集まった。
「茶……といえば、拙者は緑茶でござる」
カザミネが湯飲みから顔を上げ、おもむろにモンブランを口に入れた。
「そうよね、紅茶ももちろん好きだけど、結局緑茶にもどってしまうかしらね。意外にケーキにも合うのよ。特に栗を使ったケーキなんかにはね」
ケイナも同意する。
「飲むって言ったら、茶じゃなくて酒……イテッ!!」
へらへら笑いながらフォルテが何かを言おうとしたが最後まで言わせてもらえなかった。ケイナにつねられたらしい。
「俺は、緑茶も紅茶も好きだな。もちろん、アメルがいれてくれたハーブティも好きだよ……、なあ、ネス」
マグナは緑茶と紅茶を今後に飲みながら、隣に座る兄弟子に同意を求めた。
言われて、ネスティは難しい顔をしてカップとにらめっこをしている。
ネスティのカップの中を覗き込んで、マグナは素っ頓狂な声を上げた。
「ネス……なんだよ、そのお茶の色は、紅茶でも緑茶でもない。どのポットをいれたのさ」
「そのポットだが……」
ネスティが指したポットを見て、ケイナが慌てて立ち上がった。
「ネスティ……それ、胃の煎じ薬よ。最近、フォルテ酒の飲み過ぎで胃をやられているから、煎じたの。だ、だいじょうぶだった? センブリがたくさん入っているからものすごく苦いはずよ。フォルテなんて押さえつけて無理やり口に入れない限り絶対に飲もうとしないくらい」
「そうだ、そんなもの飲むくらいなら、胃に穴が開いたほうがマシ……イテッ!!」
またつねられたらしい。
ネスティは困惑の色を深くし、カップを凝視している。
「僕には……、紅茶と、緑茶と、これとどう違うのかさっぱりわからない……」