<div class="boxp">
<p class="i0">「少々飲み過ぎたかな」</p>
<p>ラムサスは宙を仰いで言った。</p>
<p>久々に四人で飲むことになった。</p>
<p>飲むはめになった理由は、何かあったような気はするが、覚えていない。その程度のどうでもいい理由だったのだろう。</p>
<p>飲んだ後、ヒュウガはやり残したことがあると言ってそのままラボへ。ジェサイアはめずらしくまっすぐ家に帰っていった。</p>
<p>今、ラムサスはシグルドと一緒に、寮に帰る途中だった。</p>
<p>飲み過ぎたとはいえ、体質的に酒に弱いわけではないラムサスにとって、少々酔いがまわったというレベルだった。</p>
</div>
<div class="boxp">

<p>若干低めの大気温に設定されたソラリスの夜。</p>
<p>肌寒いくらいのはずだが、アルコールのせいか頬が熱い。</p>
<p class="i0">「シグルド……おまえ、一滴も飲んでいなかったな。訓練してなんとか飲めるようにとかならないのか?」</p>
<p class="i0">「ああ、体質的にアルコールを分解できないから、訓練してどうこうなる問題ではないらしい。無理して飲むと肝臓を壊すとヒュウガにも言われた」</p>
<p class="i0">「そうか」</p>
<p>ラムサスは下を向く。</p>
<p>シグルドはアルコールに極端に弱い。</p>
<p>どのくらい弱いかと言えば、一口飲めばぶったおれるくらい弱いのだ。それなのに、他三人の飲み会にいつもジュースでつきあっている。</p>
<p class="i0">「いつも、つきあわせて悪いな」</p>
<p class="i0">「いや、別にかまわない。……ただ、不満はあるがな」</p>
<p class="i0">「不満?」</p>
<p class="i0">「酔った勢いとか、酔いにまかせて……といったことに無縁であることが、不満だ。そりゃ一口でも飲めば酔うが、酔った勢いで何かする前にぶったおれている」</p>
<p class="i0">「何故、そんなことに不満になる?」</p>
<p class="i0">「酔った勢いでついやってしまったことに対して世間は甘い。それに何よりも、自分自身を納得させる理由になる。『まあ、仕方ないか』ってな」</p>
<p class="i0">「酔った勢いで、普段できないような大胆なことをするってことだろう? それは最低のことだぞ」</p>
<p class="i0">「そうでもないさ。たとえば」</p>
<p>シグルドは笑って、ラムサスの顔をのぞき込んでいた。じっと見つめてくる瞳。吸い込まれそうな深い青。見とれていたら、シグルドの顔がいきなり近づいてくる。唇に柔らかく生温かいものが一瞬触れて、離れた。</p>
<p>ラムサスは呆気にとられてシグルドを見つめる。シグルドはにやりと笑った。</p>
<p class="i0">「酔うことができれば、こんなことをもう随分前にやっていただろう。しかも、もっと抵抗なくな。まあ、その程度のことだが」</p>
<p>シグルドはいたずらっぽく笑った。</p>
<p>しばらく呆然と立ちすくんでいたが、ラムサスは気を取り直して言った。</p>
<p class="i0">「シグルド、おまえからかったな」</p>
<p class="i0">「まあ、酔った勢いってことで忘れてくれ」</p>
<p>おまえは酔っていないだろう、という言葉をラムサスは飲み込んだ。そして、薄苦笑いを浮かべて言った。</p>
<p class="i0">「そうだな。酔った勢いのことだ」</p>
<p>二人は目を合わせて笑った。</p>
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<div class="hosoku">
<p>ソラリスって、飲酒の年齢制限無いのでしょうか。シグルドがソラリスを出たときは十七歳のはずで、ゲーム中の会話から、みなさんそれ以前に平気で飲酒していたんですけどね。もっとも、日本の飲酒は二十歳からですけど、これも国によって違いますね。年齢制限無い国やもっと若くから飲める国もあったかと。</p>
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