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恋に似たもの

機械遺跡、調律者、融機人、召喚兵器ゲイル、豊穣の天使アルミネ。

禁忌の森で知った真実はマグナやアメルだけではなく、彼に引き寄せられるようにして集まった仲間たちにとっても、衝撃的なものだった。

ギブソン邸の居間で、ネスティの口から語られた、クレスメントの一族とライルの一族、さらに召喚兵器ゲイルに関する因縁話は、どうにもやりきれない思いを皆に共有させることになった。

何故黙っていたと、掴みかかり、憤りを露わにする、フォルテの反応は正統なものだった。

マグナとネスティ、二人の遠い祖先が犯した重い罪。

そして、現在に生まれた二人の境遇は、似ていて対照的だった。

知っていて、罰を甘んじて受けていたネスティ。何も知らなかった故、恵まれなかった身の上を一族に負わされた罰であったといううことを、微塵も知らなかったマグナ。

慰めの言葉も、希望に繋がる言葉も、嘆息すらなく、ただ重く沈黙した。

だが、落ち込んでいる暇はなかった。これからのことを考えねば。

重い現実を抱え、黙ったまま皆、立ち上がった。

あれほど憤ったフォルテが「辛いのはおまえさんだったのに、済まなかったな」とネスティの肩に手を置きぽつりと謝り、居間を出た。

そのショックを引きずりつつも、皆、表面的には落ち着きを取り戻し、前を見つめようとしていた。

ただ一人、マグナを除いて。

――僕たち一族が背負ってきた、義務

導きの庭園には明るい光が降り注いでいた。ゼラムの人々にとって憩いの場であるここは、梢を抜ける風も心地よく、空気は澄んで清々しい。楽しげに語らう恋人達、家族。明るく、隠し事など何もないような空間は、だが、ネスティにとって、まるで遠い異世界、どこか現実感に乏しい世界だった。

一族が過去に犯した、罪の深さに、自棄になるほど、今のマグナは荒れていた。部屋に閉じこもり誰とも顔を合わせようとしない。

一生、何も知らないままで暮らしていく方が幸せだと思っていた。背負っていくのは、自分一人で十分だ。だから、一生、打ち明けることなどできない秘密だった。それこそが、マグナを守ることだと信じていた。

何も知らずに、無邪気に明るく振る舞う彼を、憎んだ。

何も知らないからこそ自分に向けてくることのできる、屈託のない笑顔に焦がれた。

だが、ネスティがずっと、隠し通さなければならなかった秘密は、もう何も有りはしない。結局、動き始めた運命の中で、自分が彼にしてやれたことなど、何も無かった。

もう少し早く打ち明けていたら、もう少し自分に勇気があったのなら、彼はここまで傷つかなかっただろうか。時間をかけ、少しずつ明らかにしていけば、彼はここまでショックを受けなかったのだろうか。重い現実を受け止められるようようになったことを見計らって告白すれば、良かったのか。

どちらにしても、あまり変わりはしないのだということをネスティは理解していた。

それでも……。

ネスティは空を仰いだ。

「ネス……」

呼ぶ、声がした。

振り返る。

「マグナ?」

目と目が合う。一瞬戸惑ったように、目を伏せるが、直ぐに真っ直ぐ、マグナはネスティの正面で向かい合った。黙ったまま、視線が静かに、触れ合った。

マグナの唇がゆっくりと動いた。

「もう、俺は逃げないよ だから、ネス、話してくれないか。今、思っていることのすべてを……」

静かに迫ってくる、はっきりとした意志。

彼は、もう今と未来を見ていた。一族の罪、その事実を受け入れ、今すべきことを模索しはじめていた。

結局、一人でマグナは乗り越えたではないか。

遺伝子に継承された、記憶が、にわかざわめきだす。

クレスメントの一族だけが、ライルの一族にとって、たった一つの安らぎだった。かけがいのない対等な友人であり、希望であったのだと。

そして、自分の魂が、彼と共にあることを渇望しているのだと、理解した。

「……わかった」

彼は口許に微かな笑みを浮かべ、頷いた。

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