それは、一瞬のことだった。
売り言葉に買い言葉。言葉による攻撃はエスカレートし、気がつくと殴られていた。カッとして思わず殴り返そうとするが、避けられ、行き場を失った拳が宙を舞う。それが、よけいに腹立たしかった。
きっかけになった言葉など思い当たらない。何がそんなに気に障ったのか……。
「シグルド……。骨に異常はありませんので、問題はないのですが、気休めに湿布でもしておきますか?」
黒い瞳の友人でもある医者はそう言いながら湿布薬を医療棚から取り出した。
「ああ……。この大事なときにすまんな」
「本当に……。今、仲間割れしてどうするんですか? さっさと仲直りをしてくださいね。あの子たちに動揺が広がってはいけませんからね」
三日後にデウス攻略を控えていた。
「ヒュウガ……。俺は十二年ぶりにあいつに会った…。お前は最近まであいつに会っていたと言っていたよな?」
ヒュウガはシグルドの顎に湿布薬のついたガーゼをそっと張り付けた。ひやりと冷たい感触が心地よい。
「ええ……。それが、何か?」
「十二年の間、あいつに何があった? あいつの様子はどうだったんだ?」
ヒュウガは振り向くと、いつものように口元で小さく笑った。
「それを知ってどうするんですか?」
「どうするって……」
「十二年の間、貴方はほんの一瞬でもカールのことを想ったことありますか? カールのことだけではないですよ。私やジェサイア先輩のことだって……」
「…………」
一言も返せなかった。シグルドは自分がソラリスを去ってからの、激動の十二年間に思いを馳せる。必死に記憶を辿り十二年間の中での想いを探そうとしたが、どうやって若を守り、若の家を取り戻すか……それしか考えることのできなかった自分を思い知らされるばかりだった。ラムサスやヒュウガやジェサイアのことを一瞬でも想った記憶など欠片も見つけることなどできなかった。
「無いでしょうね。無くて当たり前です。正確に言えば、まだソラリスにいて地上に戻ろうと決心したその瞬間から、貴方は、大切な若くん…たった一人の肉親のことしか頭になかった……」
「ヒュウガ……。俺は……」
ヒュウガは目を伏せ小さく息を吐いた。
「貴方を責めているわけではありません。貴方には、たった一つのそのことに集中する必要があった。それが、悪いことだと言っているのではないのですから、罪悪感を感じる必要はありません。ただ……」
ヒュウガをじっと見つめるシグルドの一つになった碧玉。
「ただ?」
その先を続けようとしないヒュウガに真摯な表情で先を促した。相変わらず、不器用な男だ。ヒュウガはくすりと笑いながら小さく首を横に振った。
「私も同罪ですからね。気にしないでください。それよりも、はやく仲直りしてください」
「また、吹雪いてきそうだ。ヒーターで雪を溶かさないと離陸できないかもしれんな……」
シグルドは薄暗くなった窓の外を眺め一人ぽつりと呟いた。
窓からは見える世界は地平線の彼方まで真っ白な雪原が続き、空との境界線はぼんやりとにじんでいる。雪の結晶がきらきらと反射させる光がこれほどまでに眩しいものだったとは……。すべての生命を拒むような汚れ無き世界に人類の最後の砦が残された。上空から見るとぼうっと温かな体温を感じさせる灯火が切ない。
我々は……俺はここを守りきれるのだろうか。
想像もできなかった。ユグドラシルのクルーたちの誰よりも、アヴェ奪回のその後に迎え撃つはずのものについて理解しているつもりだった。自分にとっての最終の敵はソラリスだった。だが、ソラリスも地上人もシェバトも、そして自分の内で色分けしていた敵も味方もその本来の意味を失う。
大切な人の家を取り戻したというのに、取り戻したということすら意味を失うのか……。
スタートは? 最初の敵はクーデターを起こし若の家を奪った宰相シャーカーンだった。シャーカーンを倒しアヴェを取り戻すという一点のみに集中する必要があった若をはじめユグドラシルの仲間たちには、そのバックにある更に巨大な敵について明かすことはできなかった。更なる敵ソラリスを迎え撃つのは次のステージのはずだった。だが、予定よりもずっと早く打ち明けなければならない日が訪れた。
救出したマルーの口から思いがけぬ人の名を聞いた。
『ゲブラー総司令 カーラン・ラムサス』
既に、忘れかけていた旧い友人の名前。そうか、敵として直接戦うのか……ぼんやりとそう思っていた。そして、どうやってあの厄介な男から若を守るかということに考えを集中した。
ソラリスという偽りの世界で偽りの自分を演じさせられてきた時に出会った友人。刷り込まれた理想を熱く語り合った友。束の間の夢。
ソラリスのネットから偶然入手したアヴェクーデターの情報は、既に解けかかっていたマインドコントロールを完全にうち破ってくれた。
俺の居場所はここではない。俺の守るべき大切な人は他にいる。
「大切な人の側に帰るのだ」
ソラリスに拉致されてからの俺のすべては偽りだったことを知る。
偽の記憶、偽の想い、偽の友情、偽の信頼、偽の理想。
この嘘で固められた天上に浮かぶ国ソラリスなどに何の未練もなかった。すべてが偽りのものだったのだから裏切った訳ではない。
ふと、ヒュウガの言葉が頭をよぎる。
「あれで、人間不信に磨きがかかったようですよ……」
カール……。
妙な奴だった。戦闘能力、統率力、判断力も申し分なく、信頼も厚い。いつも自信に満ち不安を感じさせることなどなかった。勉学や戦闘訓練いずれにおいても、まったく隙はなくすべて完璧にこなしていた。日常の友人付き合いの中でたまにかます“天然ぼけ”が微笑ましかった。
メルカバーの中で救出されたラムサスと十二年ぶりの再開を果たした。見る影もなかった。かつて我々の希望の星であり、自信に満ちた完璧な司令官であったはずの男、カーラン・ラムサスの変貌に愕然とする。眉間に深く刻まれた皺がこの男の苦悩を教えてくれた。
不思議だな……と思う。ヒュウガに再会した時もそうだったが、十二年ぶりの再会はあやふやになりつつあった旧い記憶を鮮明に蘇らせる。
「雪?」
「そうだよ……雪だ」
金色の瞳が好奇心にきらきらと輝いていた。シグルドは子供のような邪気のない表情をしている友人の顔をまじまじと見つめた。どうやら、今日のユーゲントでの講義「気象条件と地上戦」の中で、「雪」という気象現象にえらく興味を持ったらしい。
「雪なんて見たこと無いぞ。おぼろげだが、俺のイメージする地上は焼け付くような強い日光と乾燥した空気と砂だらけの平地だ。地上一面がかき氷などというものの記憶は全くない」
「そうか……」
いかにも、がっかりしたというように溜息をつくラムサスの表情があまりにも子供じみて見えシグルドは小さく吹き出した。
さっきから、にこにこしながら二人の会話を聞いていたヒュウガが口を挟む。
「一面のかき氷ですか……。そんな風景なんでしょうね。地上の水分が太陽熱にて水蒸気となり遙か上空で、冷やされ、小さな氷の結晶を創る。それが、重みで地上に落ちて行くんですが、大抵は地上に落ちるまでに水になる。でも地上の温度が低ければ雪となり、地表の温度が零度近ければ、それが積もり、景色を真っ白にする。冷蔵庫にいるみたいな温度ですよ。子供の頃、絵本にある雪について祖父から説明を受けたとき不思議でしたから。でも、綺麗でしょうね」
「綺麗とかじゃなくて、具体的にどういったものか知っている人間から話を聞ければ参考になると思っただけだ」
ラムサスは、少し憮然として言い放つ。冷徹で完璧な軍人であろうとした彼は、綺麗だとか、憧れなどという素直な情緒、感情を無用なものとして意識的に切り捨てようとしていた。
シグルドはその拗ねた口調に笑いを噛み殺しながら、ラムサスを見る。
「まあ、三人とも見ていないんだから、おあいこだな。そのうち、みんなで見られるさ」
「では、その時はかき氷用のシロップを持っていきましょうね」
ヒュウガも、笑いながらなだめるようにラムサスの肩を軽く叩いた。
「おい! 何の話だ?」
と、いきなり背後ろから聞こえる声に三人が振り返ると、プラチナブロンドの大柄な男が立っている。口を開かなければ、いかにもガゼルといった貴族的な風貌ではあるこの男は、破天荒で豪快な性格で関わる人間を振り回してくれた。
「先輩。大した話ではないですよ。地上では一面にかき氷だらけの所があるらしい……というおとぎ話です」
ヒュウガが説明する。
「かき氷か、そりゃいいぜ。これから、かき氷食いにいこうぜ。俺のおごりだ」
「先輩……かき氷って……」
シグルドはイヤーな予感に警戒の視線をジェサイアに向けた。
「先輩。私とカールのシロップにはアルコールが少々入っていてもいいですけど、シグルドにはアルコールフリーのイチゴシロップかなんかにしてくださいね」
いち早く察したヒュウガがフォローを入れる。
よく、喧嘩もした。些細な言い争いもあった。そんなとき、ジェサイアは納得できるだけの資料と理屈を用意し、根気よく論してくれた。ヒュウガはどんなに言い争っても、次の朝には何時もと変わらない笑顔を向けてくれた。
カールは? カールだけはお互いに意地を張り合って、どちらからも折れることをしなかった。
そんな時、ユーゲントの校庭のベンチに一人分のスペースを空けて並んで座る。黙ったまま、どちらからも声をかけることもできずにただ座り続けた。そのうち、二人を取り巻く空気が柔らかくなると、同時に立ち上がり、軽く視線を合わせ直ぐにお互いに背を向けその場を去った。
ユーゲント。何もかもが人工のもので成り立っている天空の都市国家で、自然物は自分たちの生身の体だけ、温かみのある物はお互いに感じていた繋がりだけだったかもしれない。
ソラリスを脱出してから否定した友情や想い。ソラリスに拉致さえされなければ、俺がアヴェを離れさえしなければ、父親であるアヴェ国王も若もマルー様も守れたかもしれないのに。だから、ソラリスに属するものすべてを憎みもした。
ソラリスは敵だったのだ。アヴェに介入する限り、かつての僚友達は敵となり、若を守る為にはそこに感傷の入る余地などなかった。
「敵」
そう言い聞かせていたから、忘れていたのだ。感じていた強い想いを。
あいつは、俺のような実験動物に与えられている境遇を我が身のことのように顔を真っ赤にしてに怒っていた。それは、子供じみた感傷にしか過ぎないものだったが、ラムサスの垣間見せるそんな素直な優しさが嬉しかった。
何故、忘れていたのだろうか?
ソラリスでの生活は何もかもが悪いことではなかったのだ。こんなにも、幸せだったことも思い出せる。
「おい、シグルド。何、雪なんか見て感傷に耽っているんだ?」
「先輩?」
後ろから聞こえた声に我に返り、振り向くと腕を組んでジェサイアがにやにやと人の悪そうな笑みを浮かべていた。
「おーおー。派手にやられたな」
ジェサイアは顎に貼り付けられた湿布を指でちょいとつつく。痛みに顔を歪めシグルドは抗議の声を上げた。
「痛っ! 先輩、やめてください」
ふと、シグルドはジェサイアの後ろに隠れるようにしながら、横を向き突っ立っているラムサスの姿に気が付いた。
「おらよ、加害者がおめぇーに謝りたいってよ」
「別に、謝りたい訳じゃ……」
「まあ、素直になれって、どっちでもいいじゃないか。俺は戻るからな、仲直りしておけよ」
決まり悪そうに否定するラムサスとシグルドをその場に残し、ジェサイアは立ち去った。
少しの沈黙のあと、ラムサスはシグルドに視線を向けないままぽつりと言った。
「悪かったな」
「いや……。それよりも、何がそんなに気に障ったんだ? あの時、ソラリスを去ってからの苦労話なんかを少ししていただけじゃないか」
「不公平だと思った」
「は?」
「お前、俺にアヴェを奪回するまでの話をしたな」
「それのどこがいけない? 久しぶりに会っても共通の話題など有るわけないだろう」
「それは、悪くない。その後、楽しそうにソラリスを脱出してからの弟の話を延々と聞かせた」
「だから、それのどこが……」
「お前の裏切りにどれほど、俺が傷つき苦しんだかなど、欠片も想像していなかっただろう」
「俺は、裏切ったわけでは………」
「俺は、お前を友達だと信じていた。なのに、お前はその言葉ではっきりとそれを否定してくれた『俺は利用するためにこの国にいた』とな。その言葉を聞いて一体どうすれば、裏切りではないと思える? お前が俺のことを友達だと思っていたなどと何故思える! 俺一人、俺一人で……馬鹿みたいに傷ついて……不公平じゃないか」
「カ、カール…あれは、言葉のあやで……」
「あんまり楽しそうに弟の話をするから、『ブラコン』と言ってやった」
確かに、その言葉にカッとして、子供のような罵り合いが延々と続いたような気がする。
シグルドは、呆然とラムサスを見つめていた。そして、やっとのことで、苦しげな声を絞り出した。
「俺は……。仕方なかったんだ。戻らねばいけなかったんだ。お前は大丈夫だと思っていたから」
「解っている。そんなことはとっくに解っている。お前は他に選択の余地はなかったのだろう。だから、お前が悪い訳ではない。ただの八つ当たりさ」
シグルドの脳裏にあのソラリスを立ち去る十二年前の光景が蘇った。
「シグルド、なぜお前はこの国を捨てる!? 俺達の理想国家実現の為、力を貸してくれるんじゃなかったのか?」
「捨てるわけじゃないさ。俺は、最初から、この国の技術を盗む為に生きてきたんだ。それに俺には待っている人がいるんだ恨むなよ。お前達と語った束の間の夢、悪くは、なかったぜ」
この選択は仕方がなかったのだ。だから後悔はしていなし、謝る気もシグルドにはなかった。だが、さっきから、胸の奥が疼くように痛がっているのをシグルドは感じていた。
ふと、ヒュウガに言われた言葉が気にかかる。
「罪悪感を感じる必要はありません。ただ……」
ただ? 何なのだろうか?
シグルドは言葉を返せないまま、ラムサスの横顔を黙って見つめた。だいぶ落ち着きを取り戻したとはいえ、体力が回復していないのか、顔色も悪く、かなりやつれて見える。窓から外を眺めながらぽつりとラムサスは呟いた。
「やっと、四人揃って雪を見ることができたな……」
シグルドの胸の奥の痛みは更に大きいものになっていた。ソラリスを去るあの時のシーンが何度も何度も心の中でリプレイされていた。その度に胸の奥の痛みが増していく。
これは……。これは、ラムサスの感じていた痛み…なんだろうか? 傷つけるつもりは無かった。傷つけてしまったつもりもなかった。
あのソラリスを去る直前、自分の口から投げ出された言葉が耐え難いほどの痛みをこの友人に与えてしまったことをシグルドは今やっと理解する。
『ただ』の後、たぶん、ヒュウガはこう続けたかったのだろう。「ただ、彼の感じた痛みを解ってください」……と。
「先輩。悪趣味ですよ。立ち聞きなんて」
背後から聞こえてくる、生意気な後輩の声にジェサイアは振り返る。
「あー? いいいじゃねぇか。おもしれぇぜ。まったく、子供の喧嘩だな。シグルドのやつもっと大人かと思ったが、中身はガキだな」
「彼は、十七の時から、冷静沈着な大人の副長さんを演じてきたんですよ。無理もないでしょう。もう、立ち聞きしていないで、こちらへいらっしゃいませんか? お茶でも煎れますよ」
「茶ぁだぁ? 酒にしろ。酒に」
「はいはい……。そういえば、シロップ忘れちゃいましたねぇ」
「シロップ?」
ヒュウガはくすくす笑いながら、怪訝な顔をしているジェサイを引きずっていった。ふと、二人は立ち止まり振り返ると、どちらからともなく目を合わせ笑った。
「雪に触ってみたいな……。外へ出ては駄目か?」
黙って窓の外の雪を眺めていたラムサスがぽつりと呟いた。
「あ、ああ。お前は雪原アジトに移ってから、ずっとベッドの上だったからな。少し外へ出てみるか」
シグルドもラムサスの提案に同意した。
雪原アジトの外は、藍色の闇にすっかりと覆われていた。僅かに漏れてくる、アジトからの明かりが蒼白く二人を照らす中、ラムサスはしゃがんで雪を掴んだ。冷たい風がラムサスの絹糸のような淡い金の髪を揺らしているのをシグルドは黙って見つめていた。
「おい……。冷たいぞ」
いきなり、素っ頓狂な声を上げるラムサスを呆れ顔でまじまじと見た。
「雪なんだから当たり前だろ……」
口に出してから、自分もまったく同じ台詞をヒュウガに向かって言ったことを思い出し、シグルドは薄苦笑いを浮かべた。
ラムサスは素手で雪を握りしめてから掌をそっと開きじっと見つめていた。
「こんなに寒いのに、掌の中では雪が少しは溶けるんだな……」
「当たり前だ。いい加減にしないと、凍傷になるぞ」
シグルドはラムサスの掌から雪をはらい、自分の手を重ねる。雪を掴んでいたラムサスの掌は冷たい。ラムサスは、顔を上げ意外そうな表情でシグルドの碧い瞳を見るが、すぐに重ねられている褐色の手に視線を戻し目を閉じた。
「温かいな……。お前の手は」
「これだけ、冷えていたら誰の手でも温かく感じるさ」
そして、シグルドはそのまま友人の白い手を握りながら、無意識のうちににある言葉を口にしていた。
「すまなかったな……」
一瞬、丸くなる金色の瞳。そして、すぐに口元に笑みを浮かべ、背筋を伸ばし真っ直ぐラムサスはシグルドと向かい合った。
「謝らなくてもいい。お前が悪い訳ではない」
その、再会してから初めて見せてくれた微笑みにシグルドもつられるように微笑んだ。
たぶん、ラムサスは誤解している。自分がソラリスを去ったという裏切り行為に対しての謝罪だと思っているだろう。実際のところ、そんなことに対して謝りたかったのではなかったが、それをわざわざ説明する気もシグルドにはなかった。だが、それでいいと思っていた。それでも謝りたかった。ラムサスを裏切ったことにではなく、あの時、彼の中にある痛みを感じることが出来なかった……と、いうことに対して。
シグルドはラムサスの冷え切った身体を胸の中に引き寄せると強く抱きしめていた。自己満足にしか過ぎないことは解っていた。
最近知った彼の出生の秘密。
過去、幼い時にも、誰からも守られたことも優しく抱きしめられたこともなかったラムサスの生い立ちを思うと、そうせずにはいられなかった。
「おい……。どうしたんだ? シグルド」
何を言っても何も答えようとしないシグルドの腕の中でラムサスは諦めたように一つ息を大きく吐く。そして、吐き出され真っ白になって漂う息を不思議そうに眺めていた。ラムサスはシグルドの静かな息を耳元で聞きながら温かな体温の心地よさに目を閉じた。
ラムサスの身体が温まっていくに従い、胸の奥の疼くような痛みが徐々に薄らいでいくのをシグルドは感じていた。
雪原アジトからの明かりが一つずつ落ちていき、闇は徐々に深くなっていく。冷たい雪原の中で、うっすらとした蒼白い雪明かりだけが不思議な暖かさでもって、二人を包んでいた。
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