舐める

「ほら、動かない!」
真面目な声で諭されても、指先をかすめる舌の感覚がくすぐったくて仕方ない。

指先に刺さった小さな刺。
目に見えないほど小さいのに、チクチクと痛んでしかたない。
そのうち化膿して、自然に取れるだろうとは思っても気持ち悪くて。
ザックスが針で取ってくれると言い出した。

器用そうには見えない彼の指に挟まれた鋭い針。
怖がっているとは思われたくないけど、逆にそっちの方が痛そうだ。
そんなことを考えて躊躇していると、急に指を舐められてビックリした。
「目に見えないから、こうやって探さないと」
妙に生真面目な顔をして集中するザックスと、柔らかい感触。
触っているのは指先だけのハズなのに、じれったい感覚がつま先をくすぐる。
ただの手当だと必死に平静を保とうとするのに、目眩が止まらない。

「みっけ」と次は指先と針に集中する蒼い瞳。
いつもの鋭い勘はどこいったんだよ、もう。

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2006.5.8
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