ただいまー……って、あれ?ザックス寝てるのか?
ったく……ソファーで寝るんならベッドまで行けっての。平和そうな顔して。全く。
ん、今笑った?
ホントは起きてんだろ。
ほら、布団行けよ。起きろ。歩け。……重くて俺一人じゃ運べないな。まあいいか。
あ、ラッキー。
夕飯ロールキャベツだ。
何で分かったんだろ、俺の食べたかった物。
へへへ。
まだ冷たくなってないし。
なあ、3個食べて良い?……良いよな?
返事しないんなら食べちゃうからな。
うわ、スープはねた。
……あれ、前作ってもらった時より味濃くした?
今日のターゲット、変なやつだった。
妙に悟ったような顔してさ、俺が行くこと分かってたみたいでさ。
消されるの分かってるのに逃げないやついないよな。
だから多分はったりだったんじゃないかと思うけど、気持ち悪いよな。
でさ、変なこと言うんだ……俺のこと、知ってたんだってさ。
俺が来る事じゃなくて、もっと個人的なことをさ。
俺に直接会ったことはないけど、頼まれてたんだって言ってた……あんたから。
馬鹿みたいだろ?信じられないよな。
なんであんたが知らないやつに俺のこと頼むんだよ。何を頼むんだよ。
同郷だったとか言ってさ、あんたがゴンガガ出身なのまで知ってたんだ。
どっかから情報漏れてたのかな。気持ち悪い。
黒猫。
猫が……ううん、なんでもない。
そう言えば俺さ、喋る猫見たことあるんだ。
あん時アンタ寝てたからな。
覚えてないかも知れないけど。
夢、だったのかな。現実にあるわけ無いよな?
アンタは物じゃない。
物になんてなってないんだよ。
生きてる。
ここで生きてる。
そうだろ?
だってさ、一緒に何でも屋やってるもんな?
ロールキャベツも作っといてくれたしさ。
元気だよな。
毎日うるさいよな。
な?
変な話、してやろうか。
どっか北の方の迷信。
猫が……猫が死体またぐと、死体が起きあがるんだってさ!
そんなことあるわけ無い。
あるわけ無いだろ?!
もっとさ、科学的に考えろよ。
おかしい、おかしいだろ?
なあ!
インスパイアだってさ!
インスパイア!
馬っ鹿じゃねえの?
そんなん出来るはず無い。
信じられないだろ?
物に命を吹き込む?
病院行けよ、マジ!
でさ。
でさ、そいつ言ったんだ。
アンタは死んでるんだってさ!
あれか?『お前はもう死んでいる』って?古っ。
テレビの見過ぎ。
ああそうだよ、アイツ速攻消してやったよ依頼人のお望み通りな!
……。
……。
……。
嘘だよな?
……。
なあ……何で、さっきからアンタ全然起きないんだ?
2006.4.3
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