結構広いよな?もう忘れたか?結構前になるからなあ。あ、そっちの道、行き止まりだからな。お前が無理に拡げようとして潰れた部屋だから。・・・ん?よく覚えてるって?そりゃ、あれからずっとここに住んでるから。忘れようがないだろ。お前はもう忘れたかも知れないけどな。・・・え?まだ覚えてるのか?へえ。
な、食糧、これぐらいしか今無いんだ。ごめんな、もう少し早くお前が来るって分かってれば、何か集めといたんだけど。・・・平気だよ、これくらいあれば、冬は越せる。心配するなよ。もう子供じゃないんだ。・・・まあ、少しは少ないかな、って思わなくもなかったけどさ。
なあ、お前がいなくなってから、どれくらい経ったかなあ。よく分かんないけど、すごく長かった気がする。もう年老いて死ぬかと思ったもん。・・・ああ、でもちゃんと待ってただろ?こうして、さ。
でも、ほんと、間に合って良かった。はっきり言ってさ、今年の冬越す自信なかったんだ。え?違うって、夏に怠けてたからじゃないよ・・・でもマジで、もうちょっと集めとくんだった。今度こそ、もう忘れたかと思った。それならそれで良いかなって思ったしさ。・・・でも、間に合ったな。それならこれで、間違ってなかったんだよな。おい、そんな考え込むなって。冗談でも傷付くから。・・・いいよ、そんなあやまんなくて。気にしてない。
でも、遅かったことは・・・すごく怖かった。今度こそ、一人で死んでく覚悟決めたくらいだったから。今度こそ、もう来ないかも知れないって・・・。大丈夫。分かってる。いくら理性でそう思いこもうとしたって、感情は納得してない。絶対来る、来なきゃこっちから探しに行こう、って思ってた。
なあ。多分、もうすぐ死ぬことになると思うけど、また最後まで傍にいてくれよ?それで、なるべく早く、戻って来るから。生まれ変わってくるから。絶対、忘れないから。それで、次に死ぬまで一緒にいるから。だから、待っててくれよ?
この時だけ、いつも思うんだ。蟻で良かった、って。すぐに、生まれ変われるから。またいっしょに居れるから。・・・本当に良かった。
よか っ
2008.1.1.
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