めぐは心臓を病んでいる。それ故に長い間入院しているのだが、その為なのだろう。
彼女はすっかり生きる意欲と言う物を失ってしまった。
しかし医者とて何もしていないワケではない。今日も彼女の病気を治そうと
頑張っているのである。そして、物語は一人の医者が有栖川病院に呼ばれる所から始まる。
「めぐちゃ〜ん。今日はめぐちゃんの為に凄い人が来てくれたのよ〜。」
「あっそう、帰って。」
笑顔で部屋に入ってくる看護士に対しめぐはそう吐き捨てる。
何時死んでも良いと考えている彼女は看護士や医者の存在を煩わしく考えている。
その為病院食もまともに食べなくなった彼女だが、そんな事は今や
病院の人間にとっても良く分かっている。
「この子かね? 患者は…。」
「あ、先生…。」
一人の男が病室に入って来た。背中まで伸びる長い髪の美形の男。
しかし、首から下はその美形に不似合いな程大きく、ガッチリした体付きをしていた。
一応医者らしく白衣を身に付けていたが、その大きな身体は隠せない。
へヴィ級ボクサーの瞬発性! スプリンターの機動性! アマチュアレスラーの柔軟性!
そしてマラソンランナーの持久性! 全てが備わった超肉体を持つ
スポーツ選手や格闘家でも違和感無い程の筋肉を持った医者だった。
「先生はね、20代にして医学を究めた天才医師で名前はしの…。」
「能書きは良いでしょう。ここは私に任せて下さい。彼女の心臓の病…治して見せましょう。」
「冗談じゃない! そんな事出来るワケないわ! そして私は死ぬの! 天に昇るの!」
めぐは嫌な予感を感じた。この超肉体を持つ医者からは恐ろしい何かを感じる。
「私は死ぬの! あんた何かいらない! 帰って!」
「ダメよめぐちゃん! 生きなきゃ! 生きなきゃダメよ!」
めぐは手に届く所にある様々な物を医者に投げ付けるが、見て分かる鍛えられた肉体は
怯む事さえ無く悠々と近付いて来た。
「死ぬの生きるのと大変な騒ぎようだが…我々医師にとって生死の沙汰は日常茶飯事。
大騒ぎする程の事では無い…。」
超肉体医師はポケットから一本の虫ピンを取り出し、めぐの左腹部に軽く刺し、
それだけでめぐは死んだように動かなくなった。
「めぐちゃん!」
「お安心を。麻酔をしただけです。」
超肉体医師はめぐの胸に耳を当て、それだけでどうすれば良いかが分かった様子だった。
「なるほど…かなり心臓が弱っているな。しかし…人体を完全に熟知するなら…
皮膚を傷付けずに心臓をコントロールする事など造作な事では無い。
勿論この子の心臓を治す事も私ならば可能だ。だが、多少荒めの衝撃を与えねばならない。」
彼はめぐをゆっくりと起こすと、左手を大きく振り上げ…
「打震だッッッッッッ!」
強靭な筋力によってめぐの胸、心臓の部分に叩き付けられた掌の一撃に、めぐの口やら
耳やら目やらから一斉に血が吹き出したではないか。
「以上! 多少荒療治ですが、これで彼女の心臓は元通り健康になるはず。」
そうして謎の超肉体医師は有栖川病院から去って言ったが、
本当にめぐの心臓の病が治ったかどうかは…各自の想像にお任せしたい。
                おわり


またやっちまいましたよ先生orz
それぞれのファンには申し訳ないとしか言えない






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