今日ドールズは桜田家のテレビで戦争関係の番組を見ていた。
イラク戦争の現状から20世紀初頭〜現代の戦争に関してを振り返る番組である。
「ま〜ったく人間と言う奴は野蛮で愚かな連中ですぅ。」
「酷い話ね。」
案の定ドールズは人間の愚かさを改めて思い知り、それをネタにジュンを攻めても
可笑しくない空気となっていたのだが、その日のジュンは少し違った。
「お前達が言える立場なのか?」
「え?」
「確かにこの番組の様に人間の歴史は戦争の歴史でもあるけど…だからってお前達だって
アリスゲームとか言って姉妹同士で殺しあっているじゃないか。それも野蛮で愚かな事じゃないのか?」
「それは…。」
ジュンに睨み付けられてドールズも気まずくなった。続けてジュンはテレビを指差す。
「例えアリスゲームに勝っても無傷なんてあり得ないから…結局その結末はあれだぞ。」
「!」
テレビに映し出されていたのは戦争被害者達の映像。
戦争で傷付いた兵士、腕や脚を失い寝たきりの生活を余儀無くされた者達、理不尽な爆撃で
家族を失った物達など、戦争の悲惨さを象徴する様々な映像が映し出されていた。
「こ…怖いの〜…。」
テレビ画面の向こうで繰り広げられる戦争の悲惨さを訴える映像をドールズは
自分に投影した。もし自分もアリスゲームによって腕や脚を失って
寝たきりの生活をしなければならないと思うと…。ドールズは恐怖した。
「ごめんですぅ…。やっぱり姉妹同士で争うなんてやっちゃいけないですぅ…。」
「ジュンの言う通りね。」
そうしてドールズはジュンに謝り、事はそこで終わるかと思われたその時突然水銀燈が現れた。
「貴女達揃いも揃ってお馬鹿さぁん。」
「水銀燈!?」
「人間なんかに言いくるめられてアリスゲームをやらないなんてお父様はお嘆きよぉ。」
己とお父様以外の全てを見下すような目でジュンとドールズを見つめる水銀燈。
「まあいいわぁ。あんた達が腑抜けになればそれだけ私がやりやすくなるし…。」
そう言って笑いながら水銀燈は帰って行った。

ローゼンメイデン7体が集結し、アリスゲームも最終局面を迎えていた。
「アリスになってお父様に会うのは私よぉ!」
水銀燈は鬼神のごとく戦った。そして姉妹のローザミスティカを次々に奪い取り、
ついには自分以外の6体全てのドールのローザミスティカを手に入れた。
しかし…その勝利も決して無傷とは言えなかった。いや…むしろこれは勝利と言えるのか
どうかさえ分からない程水銀燈の受けた被害も甚大な物だった。
真紅の拳で顔を潰され、雪華綺晶に腕を食われ、蒼星石の鋏で脚を切り落され、
金糸雀のバイオリンから放たれる音波攻撃によってドレスは吹き飛び、
翠星石の伸ばした蔓と雛苺の伸ばした苺わだちから脱出する際に翼は?がれ
長い銀髪も全て抜け落ちてしまった。
確かに水銀燈はローザミスティカを全て集めた。しかし、こんな姿で果たしてアリスと言えるのか?
両腕・両脚・翼を失い、整っていた美しい顔は醜く潰れ、美しい漆黒のドレスも
ビリビリに切り裂かれ、美しく流れるような長い銀髪も全て抜け落ち丸坊主になった
こんな姿で果たして本当にアリスと言えるのか? 答えは否。
いかにローザミスティカを全て集めようともこんな無様な姿でアリスになれるはずがない。
それだけではない。この状態では水銀燈自身も何も出来ない。
ドールに死は無いかもしれないが、何も出来なければそれこそ地獄。
水銀燈はその場で身動きする事さえ出来ない地獄へ落とされてしまった。
「誰か…助けて…誰か…。」
いくら助けを呼べどここはnのフィールドのど真ん中。誰も助けに来る事は無かった…

「うわぁぁぁぁ!」
水銀燈は目を覚ました。勿論五体満足で…
「あ…脚がある…う…腕も…。もしかして…夢?」
彼女の言う通り全ては夢だった。しかし、本当にアリスゲームを戦えば
この夢も正夢となるのかもしれない。そう予感した水銀燈は真っ青になった。
翌日、水銀燈はドールズに謝った。やはり平和が一番である。
               おわり


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最後あたりの展開がもしかしたらグロいと言えるかもしれないけど
あくまで水銀燈の見た夢って事で勘弁して頂戴






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