「う〜ん」また唸っていた。この10分間で100回は唸っている気がする。
「何か良い案はないかねぇ」これは200回は口にしたのではないか。金糸雀はその男の前でそう考えていた。
男──山本勘助は金糸雀にたずねた。「なあ金糸雀や、おまえさんも何か良い考えはもっておらんか」
「ふっふっふー、ローゼンメーデン1の策士この金糸雀に不可能はないのかしら!」
「何か考えがあるのか?」勘助は地獄の中で仏にも出会ったかの様に顔をほころばせた。
といっても傍目には顔を醜くく歪めたようにしか見えなかったが。
金糸雀は姿勢を正して勘助に自分の案を披露する。それは金糸雀が寝る時間を30分も潰して考え抜いた案だった。
興奮で顔を赤らめながら何か良からぬ事を企むように上目使いに話し始める。
「簡単かしら。謙信が篭ってる山の後ろから奇襲をかけて追い出したところを待ち構えて・・・完璧かしら!」
「おお!さすが西洋のからくり人形は凄いのぉ。それは良い案だ。しかしあの謙信がちょっとやそこらの奇襲で逃げるかが問題だ。」
勘助は手を叩いて喜んだ。さらに金糸雀が策を練っていく。
「相手は手強いのかしら。だから奇襲はできるだけ大人数で行くのかしら。」
大人数で行軍すれば奇襲もへったくれも無い気がするがここは何か隠れ蓑となる何かを考えるとしよう。
勘助は心の中で考えつつ金糸雀に饅頭を勧めた。ありがとうかしらー!と元気に礼をしつつ手は既に饅頭へとかかっている。
自分は妻もいないしもちろん子供だっていない。しかし子供ができたらこの様に楽しいものなのだろうか。
勘助は苦笑しつつ馬場信春と共に信玄へ献策すべく本陣へと急いだ。明日の決戦が楽しみだった。
                  〜〜終〜〜






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