桜田ジュンは大手洋服メーカーでデザインを担当する仕事をしている若きサラリーマン。 洋服のデザインに関して天才的なセンスを持つ彼は若手のホープと呼ばれる程の逸材であった。 と、このように会社で華々しい活躍をする彼も一度家に帰るれば、ゴミが散乱した部屋に暮らし、 食事はコンビニの安弁当で済まし、後はネットサーフィンして過ごすと言う 典型的な(?)一人暮らしの男だった。ここまで社交の場とプライベートとで差が激しい人間は珍しいだろう。 しかし、そんな彼の生活もある日を境にかすかな変化が見られるようになる。 「ジュン・・・お帰りなさい。」 部屋同様にゴミが散乱したベッドの上に、紅いドレスを着たブロンドの髪の小さな少女が座っていた。 さながら夢の島に咲く一輪の花であるかのような華やかさを持っていた少女であるが 彼女は人間ではない。ドール業界では伝説と呼ばれるローゼンメイデンと言う 生きている不思議なアンティークドールの第五ドール「真紅」 それがある日突然ジュンの部屋にやってきて、一つ屋根の下に暮らすようになった。 「ジュン、紅茶を入れて頂戴。」 「何度も言っただろ? 家に紅茶は無いって。お茶ならこれで十分!」 ジュンは帰宅途中にコンビニで買ったシャケ弁とペッドボトルに入った緑茶を出した。 ジュンにとっては当たり前の食事だが、真紅は嫌な顔をしていた。 「どうしてこんな人間にネジを巻かれてしまったの? それに狭くてこのゴミだらけの部屋・・・全く最低の下僕だわ。」 「うるさいな。住まわせてやってるだけでもありがたいと思えよ。人形のくせに飯を食うなんて・・・。」 真紅はジュンを下僕として認識しているが、プライベートでのジュンのだらしなさには呆れていた。 「ジュン・・・どうして何時もそんなお弁当なの? それじゃあ栄養が偏るわ。」 「うるさいな。嫌なら別に食べなければいいだろ?」 「部屋も片付けないの? ゴミだらけで汚らしいわ。」 「だからうるさいと言ってるだろ? さ~てと、会社の書類でも纏めるかな~っと。」 ジュンは空になった弁当箱をそのままにし、書類の整理を始めてしまったが、 その状況で良くそんな事が出来る物かと真紅は呆れていた。しかし、同時に感心する所もあった。 私生活は滅茶苦茶でも、仕事はしっかり出来ているのだから。 翌日ジュンが会社に行った後、ゴミだらけの家に一人残された真紅の姿があった。 「・・・。」 右を見回してもゴミ。左を見回してもゴミ。何処を見てもゴミ。真紅は悲しかった。 どうしてこんな所に来てしまったのか。だが、今更他所に行く事は出来ない。 「もう・・・今までにも色んな下僕と暮らして来たけどジュンは史上最低の下僕なのだわ!」 真紅は立ち上がった。 「お~い真紅~。今日は奮発して幕の内弁当だぞ~ってうわぁぁ!!」 ジュンが帰って来た時、思わず叫んでしまった。何と家中に散乱していたゴミが片付けられていたのである。 「全く最低の下僕ね。主人にこんな事をさせるなんて!」 「ま・・・まさかこれお前がやったのか!?」 疲れた面持ちの真紅がジュンを出迎えた。なんとまあ真紅は見るに見かねてジュンの家中の 掃除をやっていたのである。 「ジュン。そんなお弁当じゃ栄養が偏るわ。こっちに来なさい?」 「え?」 さらに真紅はジュンの為にご飯まで作っていたではないか。 だが、明らかに慣れていないのが分かる程滅茶苦茶な作りだった。 「こ・・・これ・・・お前が作ったのか?」 「そうよ。良いから食べなさい。」 ジュンは恐る恐る食べるが、余りの不味さに吐き出し、結局買ってきた幕の内弁当を食べてしまった。 「真紅! 不味すぎるぞ。部屋を掃除してくれたのは嬉しいけど、これはダメだ。」 「そうね・・・。」 真紅は表情一つ変えずに頷いた。と、冷静さを装っていた真紅であったが心中は穏やかでは無かった。 せっかく慣れない料理を頑張ったと言うのに不味いの一言で片付けられてしまった。 今にもジュンを殴りつけてやりたかった。しかし殴れない。料理の不味さは自分でも自覚していた事なのだから。 その日から真紅は変わった。ジュンが会社に行っている隙にパソコンを立ち上げて 試行錯誤をしながらその使い方を学び、ネット上で見付けた料理サイトを調べて それに書かれていた事を実践する。 「絶対ジュンに美味しいと言わせて見せるのだわ。」 ジュンに不味いと言われた真紅は逆に闘志を燃やしていた。絶対にジュンが満足する料理を作ってみせると・・・。 確かに下僕に対してその様な事をするのは真紅のプライドが許さない事なのかもしれない。 しかし、下僕に嘗められる事はそれ以上に許せなかった。だからこそ美味しい料理を作ってジュンをあっと言わせる。 ローゼンメイデン第五ドール真紅の名の下に・・・ だが、その時真紅は知らなかった。後にジュンとの関係が主人と下僕ではなく 殆どダメな夫としっかり者妻も同然な状態になってしまう事を。 おしまい? ――――――――――――――――――――――――― むしろ真紅の方が世話しないといけなくなってしまうくらい ジュンがグータラだったら・・・と言うコンセプトで書いてみた。
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