ここは桜田家 
誰も居ない桜田家のリビングでドール達は主人の帰るまで思い思いの時間を過していた 
そこへ雛苺が顔を上気させて部屋に飛び込んで来た 
「真紅〜!翠星石〜!大変なのよ〜!」 
「うるさいわ雛苺、今クンクンの良い所なのだから」 
「そんなに慌てて何があったですか?( ゚∀゚)o彡゚」 
庭で花壇に水をあげていた翠星石が食い付いてきた 
雛苺はさも特ダネを得たことをに嬉しそうにして 
「ジュンに彼女が出来たみたいなのよ〜!!今日ふたりっきりでデートするみたいなの〜〜!!\(^O^)/」 
それまで黙ってクンクン探偵を観ていた真紅の眉がかすかにピクッと動いた 
とほぼ同時に翠星石が信じられないといった表情で驚いていた 
「ええ〜〜!?あのチビ人間に彼女が〜〜!?ですか?」 
ジュンは今や高校3年生 
すっかり引きこもり生活からは脱却して自宅から少し遠い高校生活を送っていた 
高校生になってからは背丈がグングンと伸びてすでに「チビ人間」では無くむしろ身長が高い部類にあったが 
翠星石なんかはいまだに「チビ人間」と呼んでいた 
また元々物静かな性格で背の高さとあいまってクラスの大抵の女子から気になる程度の存在になっていた 
「フ、フン!あの人間の小さいチビチビ人間に、か、彼女なんかで、出来るわけねーデス!」 
翠星石は明らかに動揺して声を震わせていた 
さらに雛苺の追い打ち 
「本当なの〜!楽しそうに電話してたし、ぱそこんのめーるも見ちゃったの〜!\(^O^)/」 
翠星石はハンカチを口にくわえながら消え入りそうな声で 
「きっと私達、用無しになってあのチビ人間に棄てられて路頭に迷うんですぅ、えうぅぅぅ、もうノリの美味しいゴハンとお菓子も食べられないんですぅ」 
それを聞いた雛苺は血の涙を流しながら 
「えぇぇぇぇえ〜!そんなの嫌なの〜!嫌なの〜!うにゅ〜!〆♀◎§♭〜うに※/!£〜ゅ〜〜!!!」 
もはや声になっていない 
たった今クンクン探偵を観終わった真紅がリモコンを静かにテーブルに置き口を開いた 
「雛苺、そのデートとやらの場所はわかる?」 
雛苺はやっと落ち着いていたものの泣き顔で 
「う、うん映画館」 
とだけ答えた 
「見にいくわよ!」 
「ですぅ!」 
かくしてドール達によるデート妨害大作戦がきって落とされた! 

騒乱篇 

真紅達は雛苺の情報からジュンの待ち合わせ場所と思われる 
人気の無い公園の植え込みで張り込みをしていた 

ガサ・ガサガサ・・・ 
草むらの中で動めくドール三体 
「雛苺、本当に此処で間違いないの?此処は虫が多くて私にふさわしい場所ではないわ」 
偽装したつもりだろうか?頭に木の枝を2本差した雛苺が反論する 
「ぜったいぜ〜たいほんとうなの〜〜!めーる見たから間違いないの〜(o~-')b 
即答である。 
雛苺は自信満々で答える 
「まったく、どこからそんな自信が出てくるです?そもそもあのチビ人間がデートだなんて 
改めて考えてみたらありえねーです!これはきっと水銀灯のワナです!(*゚Д゚)」 
もう飽きたのか翠星石は悪態を着き初めていた 
「あら?あれは?」 
ふと真紅が公園の壁に貼ってあるポスターに目をやる 
「ク、クンクン!?」 
そうである今はちびっこ映画祭りの時期で 
クンクン探偵も劇場版として全国で上映されていたのだ 
真紅は何かに取り付かれたような笑みを浮かべながら 
夢遊病者のようにフラフラと映画館の方向へ向かって行った 
「真紅そっちはだめなの〜〜〜!!うにゅ〜がだめなの〜〜!!!」 
「何してるのですか!?戻ってくるですぅ〜〜!!!」 
いきなり作戦を無視した真紅の行動に二人も錯乱気味になっていた 
それを遠くから呆れた眼差しで見つめる二人の男女 
「なにやってるんだ?あいつら?」 
「さあ?」 
ジュンとノリは訳が分からずに3体のドールの騒動を見つめていた 
終わり! 

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