プルルル・・・プルルル・・・ガチャ
「はい、もしもし、桜田です」
「もしもし、ヒナよ、ヒナかしら〜」
「あら、雛ちゃん散歩中よね。どうしたの?」
「お腹が空いたのかしら〜倒れそうなのかしら〜」
「あらあら、大変。夕飯用意しておくから早く帰ってらっしゃい」
「それでは間に合わないのかしら〜玉子焼きをタッパーに詰めて二丁目の神社に持ってくるのかしら〜」
「わかったわ、雛ちゃん待っててね」
「急がないとお腹が空いて死んでしまうのかしら〜」
ガチャ
ノリは大急ぎで玉子焼きを作り始める。
「うっふっふ、薔薇乙女一の策士、この金糸雀が楽してズルして玉子焼きをゲットかしら〜」
ピチカートが不安そうに飛び回る。
「大丈夫よ、ピチカート。雛苺が散歩中なのは調査済みかしら〜
そしてみっちゃんから借りた金髪ウィッグとピンクのパジャマを着れば雛苺に変身かしら〜」
「雛ちゃん、すぐ玉子焼き持って行くからね、雛ちゃんの好きな苺ジャムを玉子焼きに入れてと・・・」
「ただいまなの〜、お散歩楽しかったの〜〜」
「あら、雛ちゃん!大丈夫?お腹が空いたのじゃなかったの?」
「うん!お腹ぺこぺこなの〜、あ〜〜玉子焼きの匂いなの〜〜」
「夕飯すぐ用意できるから座っててね、雛ちゃんも電話ができるなんて立派になったわね」
「うゆ〜???・・・うん!ひなはがんばってるの〜」
「引き続き待機よ、ピチカート。身代金誘拐は現金引渡しが一番重要、油断は禁物かしら〜」
ぐぅぅうう〜〜きゅるる〜〜
「しっ!静かに!ピチカート!あともう少しで玉子焼きをゲットかしら〜」
3時間後、金糸雀は泣きながら家に帰った。
「あ〜〜〜ん、カナのパジャマ姿もカワイイ〜〜〜」
「みっちゃん、もうすぐ金糸雀は死ぬのかしら・・・玉子焼きの幻が見えるのかしら・・・ぱくっモグモグ・・・」
「カナ!!それはピチカートよ!!食べちゃダメ!今すぐ玉子焼き作るから!!」
みっちゃんに特大玉子焼きを食べさせてもらった金糸雀は幸せに涙するのでした。